食いしん坊、北米でヴィーガンになる

北米で植物性食品を食べて強く生きる記録

Love You Cookies(ヴィーガン)と、老いについて

クッキーが好きな義母のために、今回も焼いて持って行きました、自称、Love You Cookiesです。

チョコレートたっぷりのアメリカ〜ンな味のクッキー(そうです、甘さが大胆不敵です。日本の甘さ控えめをお好みの向きは、砂糖注意。)

 

私自身が甘い物好きでないため、甘いもののレシピは次にそれを使おうと思ってもどこに挟んでおいたやら、、、ということが結構あります。

特に、クッキーとかマフィンとかって、自分がどうでもいいと思っているせいか、行方不明になる率が高いです。

ブログに書いておけば検索してささっと見つかるだろう!というわけで、こちらにメモしておきます。

 

参考にしたのはこちらのサイトで紹介されているレシピ

レシピはNew York はBrooklyn にある Ovenlyという焼き菓子屋さんのAgatha Kulaga & Erin Patinkinさんのものだということで、私はこのお店のことは知りませんでしたが、なんだか評判のいいお店らしくて、、、このレシピを見て焼いたクッキーも好評でした。

http://www.oven.ly

 

材料は、

  • オールパーパス・フラワー  
  • ベーキング・パウダー
  • ベーキング・ソーダ
  • ダーク・チョコレート・チップス(の代わりに、私は製菓用の本物のチョコレートを包丁で大まかに刻んで入れました。スーパーの普通の売り場に置いてあるチョコレートチップスは、本物のチョコレートじゃないことが多いので。)
  • 精製度の低めの砂糖と、ブラウンシュガー 
  • グレープシード・オイル(家にあったので)
  • 塩 (最後にパラパラとふりかける。私はこれ忘れてました。笑)

 

きちんとした分量は上記サイトでご確認ください。ここにリストしてある材料の順番はサイトの通りですので、英語に自信のない方でもパッと見たらわかると思います。アラビア数字は世界共通語ですからね。

 

これを普通に混ぜて焼くだけ、、なんですけど、ちょっと秘密があるんですよ!

卵や卵の代替品が入っていないのに、ちゃんとまとまりのいいしっとりしたクッキーになる秘密は、砂糖とオイルをぐるぐるっとよーく混ぜ合わせて、それと粉ミックス(チョコレートも合わせておく)を混ぜ、生地を冷蔵庫で12〜24時間寝かせるのです。

 

実はこれを焼こうと思い立ったのが、出かける週の前の日曜日の昼時で、材料を混ぜながらレシピを追っていって「あれ、12時間以上寝かせろって、、あれあれ、そしたら焼き始めるのは夜中、まずい」と気がついたのです。

24時間後だと仕事中ですから、やっぱり焼くことはできない時間帯です。

 

というわけで、無視して12時間未満後(もしくは24時間以降)に焼いてもあんまり変わらないのかもしれませんけれど、とりあえず初めてのレシピでしたし、ここは冷凍しちゃえ!と。

本当はどうしたら一番レシピに忠実になるのかはやっぱり確信ありませんけれど、生地をまとめてから夕飯が終わるまで冷蔵庫に入れておき、食事の片付けをする頃に生地をスクープで一個ぶんずつに取り分けて丸いボールを成形し、大きなタッパに入れて冷凍庫に入れました。

翌日は仕事から帰ってすぐに冷蔵庫に生地を移し、夕食が終わってから焼きました。

350℉ で12〜13分です。

北米サイズのでっかいクッキーが18枚ほど焼けるレシピですので、北米っぽい中がしっとりした焼き上がりを達成するために、18枚になるようなサイズに丸めて焼いたら、みんなが大好きなクッキーに仕上がりました。

 

 

このクッキー、初日は義母の食欲がイマイチだったのか、口元に持っていってほんの数ミリほどかじった後は食が進まず。

 

ムムム、美味しくないのかな?

 

などと思いつつ、夫の弟や妹が家族を連れてきていたので、彼らにも振舞いました。

皆さんが普通に美味しいと言って食べ、しかもヴェジな姪たちが「これ何入れたの?普通のヴィーガン・クッキーっていうとボソボソしてたりもろもろっと崩れたりするけど、これは普通のクッキーみたい」と聞きに来たりして、一般受けは良いようで。

 

翌日は普通に食べてくれましたので、やっぱりクッキーじゃなくて、食欲の問題か、疲れていたのか、ということだったのかなと。

 

かなり衰弱が進んでいる義母ですので、ホームでの食事も基本的にはマッシュ・ポテト、マッシュ・ポテトに細かくした魚や肉が混ぜてあるもの、および野菜とマッシュ・ポテトが混ぜてあるもの(そこまでしてジャガイモを混ぜるのはなぜ?とも思いますけど)で、流動食とまでは言わないけれど、喉につかえないように、食べやすいように、という意図が見られます。

前回訪問した時、私がクッキーをそのまんま義母の手に持たせてあげてるのを見た看護婦に、「喉が詰まると行けないから、細かく割ったのをあなたが一口ずつ口に入れてあげて」と言われたこともあります。

 

でもね、私はそれをしたくない。

義母も、私に病人扱いされたくないと思います。

 

楽しむために食べてもらいたいんです。自分のペースで、自分の手で食べたいように食べられないなら、楽しみも半減します。

義母本人が、手にクッキーを持つ力を失ったり、齧る顎の力がなくなったのではないなら、本人が食べさせてくれと意思表示するまでは、クッキーは丸ごと渡します。

 

ずいぶん前に、ボランティアで老人ホームに伺っていたことがあるんですが、そこでよくお話をしていた当時90歳のムッシューがよく言っていたんです。

「自分は90まで生きるなんて思ってなかった。今の命はボーナスみたいなもので、いつ死んでもいいと思っている。だから、余命を少しでも長くしようという医療チームの計らいで、減塩食とか旨くもないものを食べさせられるのは嫌なんだ。これが最後のディナーかもしれないんだから、塩や脂肪がちょっと多いからって、それがどうしたっていうんだ。」

 

義母は味気ない食事に文句を言う元気もないほど弱っているのですが、夫に言わせると、多分食事そのものにはそれほど文句はないと思うよと。

もともと料理が嫌いな人で(遊びに行くたびにそれを確認させられるようなまずいものが食卓に並んでいました、)食事の味に文句を言うなんて罰当たりな、、って言う感じのストイックなカルヴァニスト系カソリック教徒なのですけれど、クッキーが大好きな人なのです。

 

彼女が好きなクッキーは、日本のレシピなどでは到底出せない、大変甘い、甘々の北米スタイルです。

 

先日、焼き芋屋になりたいさんのブログ『「まくら」営業、始めました。』で紹介されていた、死すべき定め(Being Mortal)という本を読み始めまして。

伝統的な社会では家族とは老人から赤ちゃんまで、何世代もが一緒に暮らしていたのに対して、近代社会では核家族化が進み、年老いた人は自宅で自立した生活がおくれなくなったと判断された時点で、老人ホームなどの施設で他人の世話になることが一般化しています。

私の義母もまさにそのコースを進んでいます。

何もできないことがとても悔やまれるのです。 

 

義母の気持ちについて、老後の人生について、色々と考えることが尽きません。