食いしん坊、北米でヴィーガンになる

北米で植物性食品を食べて強く生きる記録

信頼関係とロメインレタスの不思議

先日のブログで、トロントのヴィーガンレストランで乳製品アレルギーの方が料理の中に混入した乳製品に反応して病院行きになった話を書きました。

 

casse-pied.hatenablog.com

 

 

特定のアレルゲンを摂取してしまったら気道が腫れ上がって呼吸困難になり死に至るような、そんな重度のアレルギーの方の場合は、口に入れるものをいちいち吟味しなければならず、大変なストレスだと思います。

お店の人に事情を説明し、理解していただき、その上で出されたものを食べるのは、賭けみたいなものかも。

賭け、までは行かずとも、信頼関係がなければできないことですよね。

 

 

特定の食品を避ける必要のない人たちだって、お店に入るときには、そのお店の食べ物を楽しみ、店での体験を楽しむことを期待しているわけで、食中毒に合うとか、ウェイターの態度が悪くて嫌な思いをするとか、そう言う目には会いたくないわけですから、「この店は大丈夫だろう」「食中毒に合うような不衛生なことはしていないだろう」という信頼感を前もって抱いてその店に立ち入るわけです。

 

考えてみると不思議です。衛生観念って人それぞれ。

職場の厨房では、床に落ちたり調理中に鍋から飛び出てレンジの上に落ちたものは「捨てる」を指導しているのですが、習慣的な動作で、鍋から飛び出した野菜のスライスをフライパンに戻そうとする人がいかに多いか。

 

 

レストランの厨房など、店によってはレンジ台の掃除なんかしやしないところもありますから、そんなところにボトッと落ちた野菜を鍋に戻して調理続行、、って私の注文したものにはやらないでいただきたいですが、わかりませんよね。

手を洗う、顔や髪を触れない、ズボンのポケットなどに手を入れたりしない、鼻をかんだ後は手を洗う、など、細かい指導をするのですが、現場を押さえて「ちゃんと手を洗ってくださいよ」と指摘されると面倒臭そうに嫌そうにシブシブと手を洗う(そしてその直後携帯を触ったりする)人のいかに多いことか。

 

 

 

食中毒関連の警告が出てる場合 

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写真はNew Brunswick joins provinces affected by E. coli linked to romaine lettuce | CBC Newsより拝借しました

 

11月某日から、カリフォルニアの一部地域から出荷されたロメインレタスから発見されたO157による食中毒被害を受けて、カナダのオンタリオ州とケベック州ではロメインレタスの販売、飲食店や個人家庭での使用に対して警告が出ています。

 

montrealgazette.com

 

www.canada.ca

 

報告されている被害件数は12月6日のアップデートの時点で27件だったのが13日のアップデート時点では28件に増えていて、政府のウェブサイトの文面を見る限りでは、「ロメインレタスに手を出すな」という印象を受けます。

 

私の職場ではこう言った食品関係のリコールや警告の知らせはクライアントにも伝えます。

 

警告が出た当初はテレビやラジオのニュースなどでも取りざたされていたので「そうそう、それ聞いた聞いた」「知らずに買ってたレタス、返品できるかな」「近所のチェーン店ではレシートがなくても返品できるという張り紙があった」などと言っていた皆さん。

 

正直なところ、私はこの時期、レタスは買いません。

だってサラダ食べたい気分じゃないですもん。

夏野菜、特に生野菜は暑い夏にこそ食べたくなりますし、体を冷やす作用があるとか言うじゃないですか。

そこらへんに科学的根拠があるのかどうかは存じませんが、雪の降るなかを家に帰ってきて、レタスやトマトにドレッシングかけて食べたいとはまるで思えなくて、温かいスープや鍋物などがむしろ自然な発想ではないかと。

 

しかも、夏野菜、ケベック州では取れませんからね。

グリーンハウスで栽培されたものや、南国メキシコやカリフォルニアから輸送されてきたもの、はたまた季節が逆な南半球から輸送されてきたもの。

地産地消のみに絞り込むことはできませんが、冬のこの時期に無理やりレタスを食べる意味は感じられません。

 

それでも「ロメインレタスがダメだったら何を買えばいいの?」と途方にくれた顔をしている人たち相手に「ロメインレタス以外に美味しいレタスは何があるか」を話し合い、栄養価はゼロだけどアイスバーグレタス、値段は割高で巻きが甘いけれど味は美味しいボストン等など、他にもいろんなレタスの種類をあげてみたり。

 

 

 

ところが、翌週には根拠なく「もう、大丈夫よね?」と言いだす人が続出。

政府のサイトを確認してみましたら、「警告はまだ続いている」というアップデートでしたので、その旨アナウンスしました。

 

すると、「でもうちの近所の店にロメインレタス並んでたよ」「あそこの店にもあったよ」と。

 

O157が検出されたのはどれも、カリフォルニアの一部地域からのもの、店に並んでいるのはきっと別の産地から仕入れたものなんだろうと思われます。

 

政府のサイトにも「別の地域産だと確認できるものに限り」大丈夫とありましたが、並べてる店の店員さんに聞いたって多分きちんと把握している人はいなさそう。

 

下記のサイトに詳細がありますので、ここで確認して、店に並んでるロメインレタスの産地と照らし合わせて安全をご確認ください。

www.fda.gov

 

一旦は全て撤去したものの、基本的に売れ行きが良いロメインレタスを全く棚に置かないなんてことは商売上許されないのか、別の産地の仕入れ先を見つけて「うちにはありますよ!」ってなもんなんでしょうか。

 

上司曰く「でも高いのよ、一つ4ドルとか」って。

それでも買う人がいるんだから、店にしてみればそれより安い値段で売り出す必要はありません。

 

クライアントの人々の多くは、糖尿病もしくは予備軍だったり、コレステロールなど成人病の心配がある人が多く、病院で栄養士に食事指導を受けている人や、栄養指導つきの料理ワークショップなどに参加している人なども多いのです。

 

彼らは一様に「栄養士にサラダを食べるように言われてる」と言います。

 

冬もですか?

市販の高カロリーだったり糖分や添加物がたっぷり入っているようなドレッシングをガンガンかけた冬のレタスを食べるのが健康に良いんですか?

 

と質問したいものですが、揚げ物や炭水化物を際限なく食べ続けていたような人たちに、野菜を食べるように指導して、簡単に作れる野菜メニューとしてサラダを提唱しているのでしょうから、横から余計な口出しをすべきではないかな、と思って黙っていますけれども。

 

それにしても不思議です。

ロメインレタスにそこまでこだわる人たちの気持ち。

私なら命に関わるかもしれないものを、店が置いてるから、て言うだけで手を出したいとは思わないんですけれど。

 

人間は他者を信頼する動物なのですね。


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