プラスティックボトルに入った飲料水は、ゴミに入った市民の資源
プラスティック汚染の問題が広く知られるようになり、プラスティックフリー・ジュライの試みに挑戦する人たちが増え、バッキンガム・パレスではエリザベス女王がプラスティックボトル入りの水の利用を禁止したり、アフリカの国々がプラスティックの使い捨てレジ袋使用を禁止し、欧米各国の都市がプラスティック排除に乗り出し始め、、、、
世界中がプラスティックゴミを減らそうとしている!
そんな気がしてきた!
と思いながら暮らしていても、
仕事場では、プラスティックボトル入りの清涼飲料水を手に訪問してきたクライアントさんが「ぽいっ」と空き瓶をゴミ箱に放り込んだり、ファーストフードチェーンで買ってきたプラスティックの使い捨てカップと蓋とストローに包まれたアイスカプチーノを半分くらい飲んだままでその辺にぽいっと捨てていく人がいたり。
「ああああ、なぜ人はそんなに使い捨てプラスティックが好きなんだろう!?」
と思うことはしょっちゅうです。
普段はうちの施設利用者向けの飲料水は水道水をピッチャーに入れて、氷もちゃんと入れて、洗って何度でも使える(要するに普通の)カップを横に置いて、使い捨てプラスティックは不要なんですが、なーんでだか、来客が来るイベントなどではみなさんやっぱりボトル入りの水を並べるんです。
だから、普段は水道水に何の文句のない皆さんも、ボトル入りの水が並んでて、その横にピッチャー入りの水が置いてあると「このボトル入りの水、もらってもいい?」とボトル入りの方が偉い水だと言うような刷り込みがされてるっぽいんです。
その刷り込みがされてる人たちは施設利用者だけでなく、若い同僚君もしかり。
ピッチャーから水をカップに注いで飲もうとしてる人に、あたかも養老の滝の水を振る舞うかのように「ああ、今日はボトル入りの水をみんなに提供している特別な日だから、このボトルの水をどうぞ!」とジェネラスに振る舞うんです。
彼はバーテンダーになりたかった(多分もっと若かった頃ね)らしくて、ボードミーティングが夕方予定されている日にはフルーツサラダや飲み物各種を準備して綺麗に並べるのが大好きなのですが、そういったスナック類をとるために置いておくカトラリーを、なぜか普通のステンレスのものではなくて、プラスティックの使い捨てのものを選びます。
なぜあえて使い捨てを?
何回もその様子を見ていて、やっぱり不思議だし、やっぱり意味ないし、やっぱり無駄だし、と黙っていられなくなって、お節介だとは思いましたが、
「あのスナックの皿ににつける取り分け用のスプーン、不具合がなければ、使い捨てじゃなくて、洗って再利用できるステンレスの物にしませんか?だって、使い捨てはゴミを増やすだけでしょう?」
と言ってしまいましたよ、前回のボードミーティングの日に!
彼は衝突するのが苦手なタイプな方なので、「もちろん、ステンレスにしますよ!」と折れてくれました。
(けれどそれは私と衝突したくないからなだけなので、理由の部分を納得してるわけではないと言うかどこまで理解できてるのかは不明なので、今後の展開はまた別の話です)
ボトルに入ってる水が偉いっていう感覚、これは本当に飲料ボトリング会社のマーケティングの勝利ですよね。
それ以外に何があるんだろう。
ネスレが世界的に見たらやっぱり市場ナンバーワンだと思うのですが、ひどい企業ですよ。
日本に出回ってる商品は知りませんが、カナダや北米で販売されてるネスレの水は「ピュア・ライフ」と言う、印象操作もいいところなブランド名です。
水は空気と同様に、自然界に存在している天然資源。
自然界に生まれて生存している動物や人間がそのめぐみを受けるのは、生存にも必要な物ですし、誰かが独占してお金儲けをするためのものではありません。
でも、それをこっそり勝手に取り込んで、ボトルに詰めて大儲けしている企業が存在するのですよ。
それをまた、「ボトルに入っている水の方が水道水よりも安全」と思い込んでありがたくお金を出して飲み続ける人たちも確実に存在します。
このガーディアンの記事は、ネスレがアメリカの湧き水を水源が枯れるほど無計画に利用、製品化して儲けている話です。
去年、ロサンジェルスの東側にあるストロベリー・クリークからは、45ミリオンガロン(1ガロン=3.78リットル)もの湧き水を吸い上げ、Arrowhead Water という製品名で販売しましたが、水源である土地を管理・所有するUS Forest Serviceにはびた一文支払っていないそうです。
政府が管理する土地から水を汲み出すことに対して金銭の支払い義務があるわけではないのかもしれませんけれど、政府が管理するとちは要するにその国の国民の資産なわけですから、それを一つの企業が膨大な量利用して金儲けする、っておかしいと私は思います。
一昨年の2017年にはUS Forest Serviceはネスレによる水源の不正利用に対する疑いから、水の利用を即時に停止するようにという勧告を出していたそうなのですが、それにもかかわらず翌年にはその先5年にわたる水の利用許可を出しているのもおかしな展開です。
どうしてそんなことができるのか不思議ですが、ウォーターボトルの加工工場を誘致すると、その街に就職先ができるということで、産業のない貧しい田舎町にとっては有益な話に見えますし、多分賄賂とか汚いことがたくさん行われているのでしょう。
ネスレによる水源利用が周辺の環境へ及ぼす問題についてなど、詳しくはこの記事でどうぞ。
私にとっては、ボトル入りの水=企業が我々の地球から盗んでゴミ予備軍のプラスティック容器に入れて値段をつけた商品ですが、彼らはマーケティングのプロですからね、成功しています。
彼らのその才能、環境保護やゴミ減らしに利用していただけないものか