象牙を使った印鑑
まだ子供の頃、象牙はワシントン条約で禁止になり、もう象牙の印鑑は手に入らなくなった、と祖母に聞いた記憶があります。
印鑑が象牙だろうとなんだろうと、子供には関係ない話なのですが、ゾウの牙を摂って作る、という部分が記憶に残ったんでしょうね、その会話は割と鮮明に覚えています。
他にも、三味線は猫の皮だとか、生活の中には「なぜ?」と思うようなところに動物の体から摂ったものが使われているということを知っては驚いたものです。
でもいつも「昔はそれしか材料に適したものがなかったんでしょう、でも今は野蛮だからと禁止になっていて、別の素材が使われている」という展開だったと記憶しています。
そんな遠い記憶を疑ったこともなかったんですが、80年代ごろには「野蛮、今更誰も手を出さない」と言われていたはずの毛皮が近年再び冬の外套のフードの縁飾りになって復活していたり、今さらながら、動物が人間の消費活動のために殺されていることに気がつきます。
で、驚いたのは、象牙が、いまだに日本国内で流通しているということ。
ワシントン条約違反じゃないんでしょうか?
印鑑なんてもの、そんなもののために動物の命を奪わなくてもなんとでもなりそうなのに。
なぜ象牙製品が流通するのでしょうか。
買う人がいるから、売る人がいて、売る人がいるから、象を殺す人がいる。
1980年代には一千万頭いたアフリカゾウは、残りわずか3%になったとあります。
日本は象牙の取引が現在も行われている数少ない国の一つ。
買い物はお金を出して、その産業や生産者への支持を表明することでもあります。
象牙じゃなきゃいけないんだ、と固く信じている人はあんまりいないように思いますが、象牙でできてて、質が良い高級品なんですよ、っていう売り込みにつられて、自分は高級な一生物を買おうとしているんだ、と思ってしまう人たちは、その売り込み文句の嘘や、そこに隠されている命の犠牲に気が付いて欲しいもの。
アフリカで、象牙のために象を殺す人たちは、犯罪集団に雇われているわけですから、そういった犯罪集団に自分の支払ったお金が活動資金として流れていくことを想像してみたら、辞めておこう、って思いますよね。
日本国内での象牙の流通を禁止にするための署名を集め、三万人以上の署名が集まり次第、環境相と内閣総理大臣に提出するというプロジェクトがありましたが、2024年九月七日現在、そのウェブサイトのリンクが切れており、その後どうなったのかよくわかりません。
この記事を書いた当時、私が署名をした時点で5162人。
3万人以上の署名が集まったのかどうか、気になるところです。
殺される動物はたまったもんじゃないです。