茂木敏充外務大臣とジャパンタイムズ記者とのやり取り
最近ネットを賑わせている大変失礼な茂木外務大臣の対応、ご存知ですか?
上の記事を読んだ時点では「嫌な対応する人だな」程度だったんですが、記事中にリンクされているYouTubeビデオでその会見の様子を見ましたら、猛烈に腹が立ちました。
茂木敏充さん、その嫌な対応は解っててわざとやってるでしょ。
問題発言は二回
- 最初の答えは日本語でしたのに、食い下がられたとたん英語で反応している。(日本語で聞いたのに英語で反応するのは失礼という問題)
- 質問に答えた後、「日本語お分かりいただけましたか」と、明かに日本語が解っている記者に対して見下げた言い方をしている。(相手の日本語能力を貶めるやり方という問題)
まず最初に質問者が聞いた二つの内容の、二つ目に答えなかった(科学的根拠なんかないから答えようがないのに困った質問する奴がいるぞと思ったんでしょう)のを、質問者が二つ目の回答もしてくださいよと食い下がった時です。
茂木氏は英語で
What do you mean by scientific? (科学的とはどういう意味ですか)
と言います。
失礼です。
失礼ですが、外国語学習者だとみなされた場合、世間でもよくあることでもあります。
でも茂木氏自身もアメリカに大学院で滞在した経験があり、英語を話す場面で、日本語でならもっと上手く言えることなのに英語なので思う存分論理を展開できないまま相手に上手くあしらわれて悔しい思いをした経験があるはず。
記者と大臣、質問者と回答者という関係から、弱者と強者の関係に持ち込もうとしたこの行為は、この時点では無意識だったかもしれません。
二回目の問題発言、こちらの方が陰湿。
質問者に質問の意図を説明させた後、「管轄が違うんで私は答えられませんね」と質問がお門違いであるように持って行って回答を終えた(これも失礼だと感じますが、政府の管轄の事は知らないのでしょうがない)後、会見の司会者が「はい次の質問」ってはっきり言ったあとで、追い討ちをかけるように「日本語お分かりですか、日本語わかりましたか、日本語わかっていただけましたか」ってしつこく三回も言ったんですよ。
根性悪いなこの大臣。
この二回目の問題発言は、相手への侮辱であると同時に、その場に同席した人々に対して「この人の日本語はちょっとね、、解ってんのかなあ」と言う風に、記者氏の能力を疑わせるように仕向けると言う、いじめ紛いの行為です。
この記者氏の日本語、外国語訛りがありますが、とてもきちんとした日本語です。
茂木大臣の英語の能力がこの記者氏の日本語能力に比べてどれほどのもんなんだか、我々は知りません。
外国に生活して学位取ったとか仕事してたとか言うと、「それはもう100%できるんだろう」と思われがちですけれど、そんな事はありません。
大学で単位を取得する過程でチューターを雇ったり、書いた論文を手直ししてくれる人を雇ったりするのは普通にある事ですから、英語能力がイマイチな留学生が「全ての論文を誰かに手直ししてもらわなきゃいけないから、料金の安い人を探してる」と言うのはよくある事。
だから、こう言う意地悪い行為を目にすると、彼自身が英語でコミュニケーションに苦しんだ時のコンプレックスがあるのでは、と思ってしまう。
意地悪には意地悪な発想で。
外国語習得後、外国語を使って仕事する方による考察
こんな記事も見かけました。
記事中、フランスでインターネットの契約書をやっと理解できた時にプロバイダーのカウンターのマダムが「イッピー!」と子供扱いするような対応をしたと言うエピソード、似たような体験をした人は多いはず。
モントリオールはケベック州(フランス語話者が9割以上)にありながら英語話者が多い(州内の英語話者のほとんどがモントリオール住民)ため、フランス語を喋れるようになりたいと思ってモントリオールにやってきた人々がかなりガッカリする体験をします。
頑張ってフランス語で質問したのに、英語で返された。
と言うのが中でもかなり上位を占める体験です。
面倒くさがりな私は、切り替えるなら切り替えてくれ、楽でいいからと思うんですが、どうせ切り替えてくれるだろうと思ってフランス語で質問したら、きっちりフランス語だけで会話を続けてくれる人も結構いるので「あ、楽できなかったわ」と言うことも多くあります。
だから、モントリオールではフランス語で質問してもダメだと思って諦めた人は、諦めるのが早すぎたんだと思うんですよね。
しぶとく、しつこく、何度でも挑戦しましょう。
でも、ガッカリしてやる気が萎えてしまうと言うのは確かにあります。
ジャパンタイムズの記者氏のように「日本語で話してるんだから日本語で答えて」と食い下がる人もいますけれど、学習者の弱みというか、「相手は急いでるのかも、自分の能力では時間がかかりすぎて迷惑かも」と引いてしまう人が多いと思います。
この記者氏は日本語能力もそれを使いこなす強さも身につけていらっしゃるので私たちが心配する必要はありませんが、イングリッシュジャーナルの記事を書いていらっしゃる方が指摘されているように、日本で働いていらっしゃる日本生まれではない人々、彼らが日本語で日本語を母国語とする人々に話しかけた時に、コミュニケーション弱者として傷つくような対応を受けないことを強く願います。
日本語は難しいよね、と仰る日本人も大勢いますが、日本語が他言語よりも難しいのではなくて、同系列の外国語がほとんど存在しないから、日本語以外の言語とのギャップが大きすぎるのです。
だから日本語を母国語とする人が外国語を習得するのも大変。
でも、その大変さを覚えている人たちなら、相手が同じ大変さを乗り越えて、実際にその言葉を使って生活しようとしている勇気と努力に敬意を払って応援できるはず。
茂木大臣みたいな姑息な意地悪をする人はそうそういないと思いますが、知らずに傷つけてしまうことのないよう、心がけねば。
弱者にどういう態度を取るかでその人の人間性が見えますよね。