ネトルは毒であり薬でもある?
レトリロ(id:retoriro)さんのブログで先日、ネトルという植物をふりかけにして楽しんでいらっしゃるという記述を見かけました。
ネトルって言ったら私の中ではポイズン・アイビーと同じように「触っちゃダメ!」「要注意!」な害毒的な野草だったので「体に良い?本当に同じ植物の話なのかな」という驚きが。
ネトルは英国の農園地帯を歩いている時にあちこちにあるヘッジ・ロウと呼ばれるいわゆる生垣のなかに紛れ込んでいることが多く、ズボンの上から足が触れてしまった(自覚はなかったのですが)あとで、ぎゃー、、と痒くなった覚えが。
一緒に歩いていた友人が「ネトルを触っちゃったんだね、じゃあこれを、、、」と別の草を同じ茂みの中から引っ張り出してちぎって渡してくれまして「この草の汁を痒いところに押し付けるといいよ。この汁がネトルの痒さを打ち消してくれるから。」と。
痒くてたまりませんから、効くと言われるなら、とその葉っぱをグチャグチャっと揉んで膝や膝下あたりの痒い痒いあたりをベタベタと。
すると不思議なことに、その痒みがだいぶマシになったのでした。(スーッと消えた、と書きたいところですが、そこまでの即効性はなかった。)
普通の現代人の都会派なお友達なんですが、そんな薬草博士みたいな知恵があったとは!
ありがたや!
でもまあ、英国に生まれ育てば、ちょっと田舎へ行けば牧草地でも農地でも丘でも、敷地と敷地の境界線にヘッジ・ロウが長く伸びている様子はありますから、そういうところを散歩して草花に親しむチャンスがあるということなのでしょうね。
日本では子供の頃、山に入ると漆の木があるから気をつけろ、と言われた覚えがあります。
夫に聞いたらカナダではポイズン・アイビーくらいしか気をつける植物は知らないそうです。
でも、下のサイトによればオンタリオにもケベックにもネトルはあるらしいんです。
どこにあるんだろう、、、、
怖いな、
いや、取ってきて調理したいな、、、。
サイトにはネトルを使ったレシピも載ってます。
ヘッジ・ロウズに囲まれた英国の狭い田舎道
上の写真のヘッジの向こう側は農地で、いきなりバリバリバリ!と音がするので見てみると、向こう側に放牧されている牛がヘッジの植物をムシャムシャ食べていたり。
餌もらってるでしょうけど、胃もたれでもしてヘッジの野草で胃の調子を整えようとしてるとか?
カナダのうちのあたりの住宅街の家々が植えている生垣は寒い地域なせいもあり、9割がシーダーで、それはそれで良いですが、正直面白みに欠ける。
一方温暖で通年緑が絶えない英国あたりでは、こう言った生垣に生えている植物も色々と多様で面白い。
ヘッジ・ロウ・クックブック、なんていうレシピ集を見たこともありますよ。
うちの近所だとシーダーくらいなので、そんな本買っても使えないと思って入手しませんでしたが、ひょっとしたらネトルのレシピもいくつか入っているのかもしれません。
境界線を乗り越えて通行する権利
ヘッジ・ロウやネトルのことから思い出したのが、英国の rights of way。
通行の権利とでもいう感じのもの。
人々が散歩というかハイキングというか散策というか、とにかく歩いて行く時、途中にある農地の柵を超えて横断していくことが、法的に認められています。
人々が歩く「パブリック・フット・パス」として整備されている道のネットワークがあちこちに広がっているのですが、そうでない場合でも柵をよく見ると、鍵を開けなくともその柵のすぐ脇に材木の段々があってそこに足を乗せたら楽々と柵を跨いで内側へ入れるようになっているところがあります。
これはスタイルと呼ばれるもので、柵を乗り越えるスタイルもあれば、柵の脇に人間が一人入れるような半円のスペースがあり、そこに入りながらゲートを押して通ることができるキッシング・スタイルや、単に柵のあちらとこちらに梯子みたいな構造のものがついていて、それをよじ登って乗り越えてお行きなさい、というのも。
考えてみればメトロの改札口によくある「ターンスタイル」もそんなスタイルズの一種として生まれたのかもしれませんね。
ヘッジにはそういう細工を施すことはできませんが、ヘッジの一部がスタイル付きの石塀や木の柵になっていて「どうぞお通り」となっているのでやはり見知らぬ他人の善良さを信じてくれているのかな、と。
その一方でヘッジにネトルを混ぜるあたり、意地悪なのか?
単にその辺に生えてるのをあえて除草しないだけなのか。
ケベックの田舎の湖沿いの土地などに「プライベート、立ち入り禁止」なんていう札がかけられていたりしてガッカリするのに比べると、なんて大らかなんだろうと思います。
農地を通り抜ける時、そこに牛や羊が放牧されている場合は足下要注意ですけれど。