今年のゴールドマン環境賞受賞者の顔ぶれ
11月30日付の英国ガーディアン紙の記事で、今年の受賞者の顔ぶれが紹介されていました。
ゴールドマン環境賞は、世界中で環境保護のために継続的かつ精力的に運動を展開している無名の、「普通の人々」のリーダーシップを応援するもの。
受賞者の人々はそれぞれの地域で無名なりに地域の人々やその国の政治家に訴えかけ、環境破壊につながる開発プロジェクトを阻止したり、保護活動が継続されるような条例や法律の成立を促したり、無名の人々でも多くの賛同者を得て環境保護への大きな一歩を達成できることを示してくれます。
今年の受賞者は;
Chibeze Ezekiel(ガーナ)「グリーンエナジーへの移行を」
Kristal Ambrose (バハマス)「プラスティック汚染を減らそう」
Leydy Pech (メキシコ)「GMO大豆による環境汚染にノーと言おう」
Lucie Pinson (フランス)「貯金と投資は倫理的に」
Nemonte Nenquimo (エクアドル)「アマゾン熱帯雨林を守ろう」
Paul Sein Twa (ミャンマー)「生物多様性とインディジナス・ピープルの自立を守ろう」
この賞の目的は受賞者たちの運動をサポートし、彼らの目的を達成しやすくすることでもありますので、こちらのページには彼らの運動の詳細と、どうやったらあなたも彼らをサポートできるのかが記されています。
1989年から始まったゴールドマン環境賞、最近では女性、インディジナス・ピープル、黒人などの顔ぶれがぐんと増えているようです。
世界中のあらゆる文化圏の社会のなかで、比較的権力のない立場に置かれがちな人々がリーダーシップを発揮しているということですよね。
クリスタル・アンブローズ(バハマス)は海洋プラスティック汚染の深刻さに気がついて以来地域を巻き込んで海岸の清掃活動や、使い捨てプラスティックを考え直すことを人々に訴え続けている海洋学者。
カリビアンの小さな島に住む黒人女性という、いかにも影響力のない存在である彼女が、貧富の差、階級差、それ故の発言力のなさという壁を乗り越えて地域の人々に働きかけ、人々の認識を変え、バハマスでも今年、使い捨てプラスティック禁止の法律が成立することに。
アンブローズさんの活動の詳しい内容はこちら↓
エクアドルのアマゾン熱帯雨林に住むインディジナス・ピープルのNemonte Nenquimoさんの受賞スピーチはこちら(英語字幕)
昨今は世界中のあらゆるインディジナス・ピープルがそれぞれの地域政府に働きかけていますね。
自然と親密に繋がった生活を続けている彼らの声が、「自然を征服する」西欧文明の影響を色濃くうけて生きている我々に届き始めているということだと思います。
ちなみにインディジネス・ピープルズというのは日本でカタカナで書いて通じるものなのかよくわからないのですが、辞書で日本語を探すと「原住民」「先住民族」など、語感が植民地主義的な時代遅れな感じが強くて、敬意を感じられないのですよ。
アメリカ大陸の「インディアン」は日本では「ネイティブ」になってたと思うのですが、ネイティブというのも最近はあまり使われず、やっぱりインディジネス・ピープルズ。
単なる名称なんですが、差別的な意識が伴う名称はやはり使いたくないもの。
フランスのLucie Pinsonさん
グリーンハウスガス排出でも空気汚染でも悪名の高い石炭は、エネルギー源としては過去の遺物なはずですが、世界中では今でも多くの石炭発掘が行われています。
Lucie Pinsonさんは「一体どこの誰がこの産業に投資しているのだろう」と疑問に思い、調べてみたところ世界中の30〜50の金融企業が石炭産業に投資していて、中でもフランス国内の大手の銀行及び保険会社が石炭プロジェクトに巨額の投資と補償をしていることを知ります。
そこから始まった彼女の環境保護運動の様子はこちらのビデオで↓
ビデオのリンクは英語版ですが、彼女のスピーチとプロファイルビデオはフランス語版もありますのでゴールドマン環境賞のリンクで彼女のページを開いてご覧ください。
アマゾンに住んでるわけでもなく、政治的な活動ができる環境にもいない「普通の、無力な」私たちでも、自分が利用する銀行や保険会社が国内外でどんな事業に投資しているのかを把握して、自分の投資先、利用先の金融機関を倫理的な基準で選択することはできます。