スコットランドのハギスは北米では再現しきれない
ちょっと前にモントリオールの島を出てちょっと行ったところにあるHudsonという町にある英国土産ショップで、上の写真にあるハギスの缶詰を見つけました。
えええ〜缶詰?
と思いつつ、英国出身の友人と夫にこれを食べさせ、私はヴィーガンの何かを食べて、Burns supperでもやりましょうか、ということで買いました。
料理好きの友人たちが随分昔、方々の肉屋に問い合わせて羊の肺を求め、内臓やオートミールを買い込んで、結構本格的なHaggisを作ったことがありましたが、北米では羊の肺を食べる習慣はないので(って多分スコットランドでも普通の食品じゃないですよね?)かなり大変だったはず。
いや、肺は結局手に入らなかったんだったっけ?
という次第で、缶詰入りのこのハギス、どんなんだろう、と買うときに内容物のリストを見ましたら、肺に詰めたものの缶詰ではなくて、肺抜きで中身だけを缶詰にしたもののようでした。
英国出身の友人曰く「アメリカでは羊の肺は食品として認められていないので、食品に使ったものは輸入できない」からとか。
カナダも?
多分輸出先としてのカナダ市場はかなり小さいでしょうから、アメリカがダメだと言ってるものはカナダが禁止していなくとも入ってこないっていうことでしょうか。
Hudsonのこのショップは現在はパンデミックのためティールームは閉鎖中です。
Burns Supperのコース
スープで始まります。
スコットランド系(本人は生まれも育ちもイングランド東北部)の友人曰く、スープはリークと鶏肉のcock-a-leekie(コッカリーキ)スープだそう。
ヴィーガンの私のために、この日は鶏肉抜きで作ってくれました。
ヴィーガンでない彼としては、鳥抜きではコクがないと思うらしくて、ヴェジタリアンでオーガニックのブイヨンキューブを使っていましたが、ブイヨンキューブの内容物は基本的にスープの中身の野菜とほぼ同じで、あとは砂糖と塩、油脂も入ってたかな、あとはコーンスターチなんかも。
これは自分でも作ってみたいのでメモ程度に作り方を。
- リーク3本、ぶつ切り(1インチくらい幅)
- ニンジン、輪切り(1センチくらい)
- ジャガイモ、中くらいのをサイコロに
- バーリー 三分の一カップ
- 乾燥プルーン一握り分くらい
- ブイヨンキューブとお湯1、5リットルほど(リークで出汁を取って使えば良いかと)
- 塩胡椒
リークとニンジンをオイルで炒めてしんなりさせ、バーリー、ジャガイモを入れ、出汁もしくはお湯とブイヨンキューブを入れて混ぜ、弱火でにバーリーが柔らかくなるまで煮込む。
最後に乾燥プルーン(小さめに切る)を入れて塩胡椒で味を整える。
プルーンは好みが分かれるかもしれません。
オーガニックのブイヨンキューブで化学調味料は入っていないものでしたが、やっぱり何だかウルトラ・プロセスされた味がしました。
これを肉食に慣れた人たちはコクだと感じるのでしょうか。
私はなくても良いというか、ないほうが好みだと感じましたが、これは作る人や食べる人の好きにすれば良いことですね。
で、ロバート・バーンズ・サパーというのは、ロバート・バーンズという詩人のことを称えてかれの詩を朗読してハギスを食べる、ということですので、これまたスコティッシュ系の(生まれも育ちもカナダのオンタリオ州ですが、お母さんの先祖がスコティッシュだとか)友人がスコットランド訛りを再現しつつ詩の朗読と、最後にナイフでハギスをブスっと刺すというパフォーマンスをしてくれました。
本来はサパーの主催者が詩を読んで招待客をもてなすということらしいのですが、私たちのサパーはハギスと会場提供がきゃすぴえ夫妻、調理が友人Gで、詩を朗読してくれた友人Sは面白そうだから参加しただけなんですが、詩の朗読がものすごく上手というか盛り上がるので、ちょうど良い役割分担だったかと。
ちなみにスコットランド議会は、ロバート・バーンズを称えて毎年ロバート・バーンズ・サパーを催すのはスコットランドの伝統文化継承にとって良いことであると表明しているようです。
一年の間の何月何日にやろうとそれは自由なんですが、詩人の誕生日である1月25日に行うのがより正統なような、でも最初に始めた人たちは勘違いして別の日にやってたようですし、あんまり細かいことは気にしなくてよろしいようです。
詳しくはこちらをどうぞ。
この日私が食べたのはハギスではなくて、中華系のヴィーガン出来合いおかずで、マッシュしたジャガイモとターニップ(注)とローストした野菜にかけたグレイヴィーは、スコットランドの伝統的なロバート・バーンズ・サパーにはかかっていないものみたいですが、夫がグレイヴィーが欲しいというので友人が作ってくれました。
ターニップ論争
論争というほどではないんですが、合意ができていないのが、「これ(冒頭の写真参照)ってターニップじゃないじゃん、ルータベガ(rutabaga)だよ」という私に対して「いやいや、これこそターニップ、きゃすぴえがターニップって呼んでいるそれこそルータベガだよ」と。
何言ってるんでしょうねえ、私、ターニップ(本物の方ですよ)は大好物ですからね。
この日友人がマッシュにして添えてくれたルータベガも美味しうございましたけど、だからってターニップを名乗るなんてことはできませんよ。
ネットでどっちがどっちである、と検索してみせましたけれど「それはきゃすぴえのグーグルだからバイアスがあるね」と譲りません。
ちなみにこの頑固な友人のガールフレンドも、きゃすぴえと同意見なんだそうです。
いや同意見も何も、それが真実だから仕方ありません。
ターニップはまさに蕪という味と風味がありますが、ルータベガはそこにもうちょっとリコラスっぽさとキャベツっぽい甘さが加わります。
嫌いじゃないですけど、ターニップほどの喜びをもたらさない野菜です。
美味しいですけどね、格が違うんですよ。
ググって出てくるどの記事にも友人が使ったのはルータベガだとありますけれども、此方をみてたら、スコットランドではルータベガのことを「ニープス(neeps)と呼びます」と。
Neeps =Turnipsということであろう、と思うんですけど、neeps=rutabagasなんですよね結局は。
なぜ野菜の名前がこんなに混乱するのか、食べ物に無頓着な英語文化圏の罪でしょう