食いしん坊、北米でヴィーガンになる

北米で植物性食品を食べて強く生きる記録

ホームレス問題に向き合う社会

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ヴィーガン・コテージパイとサラダで夕飯

 

こんな記事を見かけました。

フィンランドがホームレス人口の減少に成功しているという話。

 

scoop.me

 

フィンランドの歴代政府はホームレス事情を改善すべく、あらゆる方策を尽くしてきたそうですが、2008年の国際金融危機当時にはヘルシンキ市内の公園にもホームレスのテントが林立したそう。

 

ホームレス対策として欧米でよくみられるのは夜間の寝床を提供するホームレスシェルターや、短期的に住める仮住宅やホステルなど。

 

ホームレスシェルターの多くは昼間の滞在はできず、持ち物を置いておくこともできません。仮住まいにしても、それを得られるまでの手続とかウェイティングリストとか、もしくはそういった恩恵に預かる資格があるかどうかとか、なかなかすんなりと大勢のホームレスを救うことができないのが現状。

 

ホームレスと言っても道端に寝ている人から自分の車に寝泊まりしたり、友人や親戚の家を転々と居候して過ごす人たちなど色々な状況があります。

 

共通するのは、住所がないということ。

 

 

住所がないということは、行政のサービスを受けることができない、ということ。

 

行政のサービスも国や州などの政策次第では受けにくかったり選択肢が少なかったり。

申し込みの手続きが煩雑だとか、提供されている住居そのものの数が足らないとか。

 

税金を貧困層の救済に使うことそのものが税金の無駄だという見方をするシブチンの政府もあります。

 

そこには貧困は自己責任だという視点があると思います。

貧しい人たちは怠け者だとか、そういう見方です。

もしくは、ウェルフェア受給者の中には、制度を利用して虚偽の申請をする人たちが「多く」いるから、それを防がねばという意見もあります。

 

そういう偏見の壁が分厚い社会はやはりホームレス対策も民間の団体や個人頼みみたいなことになり、制度的な不平等はそのままですから、延々と貧困に苦しむ人たちを生み出し続けるシステムのまま。

そういう政府を選ぶ国と、もうちょっと貧困者の救済に重点を置く政府を選ぶ国と、まあいろいろですけれども。

 

 

多くの国々では、ホームレスが麻薬中毒だった場合、中毒の治療プログラムを受けてクリーンにならないとアパートを申請できない、などというステップがあり、そうなると多くの中毒患者はホームレス状態のまま、路上で汚い注射器を使ったりして命を落としたり病院に運び込まれたり。

 

2008年、フィンランド政府はホームレス対策にありがちなそう言った壁を取り払うべく、「申し込み資格」というハードルを設けないで、まずは住む場所を提供するHousing Firstという方針を打ち出したのだそう。

 

このシステムの運営にはいくつかのNGOが関わっていて、アパートを建設したりシェルターや一時的な住居として利用されていた建物を改築するなどし、ホームレスの希望者と賃貸契約を交わし長期的な住まいを提供しています。

 

平均的な広さは1〜2部屋で、アパートの建物内にソーシャルワーカーのオフィスがあり、彼らが必要とするサポートを行政に申請する手続きなどを手助けします。

人によってそれは中毒の治療であったり職業斡旋であったり、再就職のための職業訓練コースへの申し込みであったり。

 

住居を得た元ホームレスも借りているアパートの家賃を払いますが、ソーシャルワーカーの給料など運営資金は政府の援助と宝くじの売上からの資金など。

NGOそのものもローンを組んだりするそうですが、ローンの返済には住人からの家賃収入が充てられるそうです。

 

 

 

条件を設けずに、全てのホームレスに住宅を提供し続けることで、Housing Firstプロジェクトで住居を得た元ホームレスの5人に4人は長期的にその住居に住み、安定した生活を続けることができているそうです。  

 

 

1987年から2019年までのホームレス人口の推移が下の表です。

グレーはホームレスのファミリー、辛子色は施設に収容されたホームレス、水色は路上生活をしながら短期的なシェルターやホステルのような設備を利用している人々、緑色は友人や親戚の家に居候して凌いでいる人たちの数を表します。

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減少傾向が続いています

記事によると過去10年でこのプロジェクトは4600ユニットの住宅をホームレスに提供したそう。

 

このプロジェクトは過去10年で270ミリオンユーロをアパートの建築、改装、購入などの経費として費やしたそうですが、ホームレス問題解決を先延ばしにするせいで発生するあらゆる問題への対応にかかる予算よりも少なくて効率的だという結果も出ているそうです。

 

シブチンな政府も逆にホームレスや貧困問題の根本的な救済と解決を試みた方が逆に無駄な支出が減るということですよね。

 

 

モントリオールでもホームレス問題は深刻です。

パンデミックが始まってからはさらに、衛生管理上の規制がかかってシェルターの運営がしにくくなり、簡易ベッドの夜間提供ができなくなったセンターから追い出されたホームレスの方が野外の簡易トイレの中で死亡するという事件もありました。

 

モントリオール市でも何かとホームレスへ住居を提供するパイロットプロジェクトが立ち上がったり、いろいろな救済措置を講じる動きがあるのですが、やはり根こそぎホームレス問題を解消するには連邦政府や州政府の本気のテコ入れが必要だと思います。

 

 

日本でも目に見えにくいですけれども、ホームレスの方は増えているように感じます。

税金を弱者の救済に使って全ての人たちが安心して生きていける社会だと良いですよね。

 

フィンランドに倣う政府が増えてくれると良いと思います。

 

 

 


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