食いしん坊、北米でヴィーガンになる

北米で植物性食品を食べて強く生きる記録

サワドー・ブレッド、地味に気長に焼いております

f:id:casse-pied:20220117012502j:plain

横に膨らみすぎたので、半分に切ってからスライスしてみたの図
サワドーの世界は深いらしい

パンデミックが始まった最初の年は、欧米圏でサワドーブレッドを焼き始める人の数がうんと増えるという現象が見られましたね。

家にいるとちょくちょく様子を伺わなきゃいけないサワドーブレッドに手を出しやすいですし、上手くいけば美味しい香りと美味しいパンとが出来上がりますし、粉さえ家にあればいちいちパン屋に行かなくても良いですし、納得の現象。

 

YouTubeとかブログとか、ネット上でもサワドーに関する情報や玄人素人取り混ぜさまざまなこつ、シンプルな配合や失敗知らずなやり方、もっと上手くいくやり方、色々な売り込み付きの記事やビデオが続々登場しました。

 

最初は「おお、この人親切に色々と見せてくれてるわ」と一人見つけては何度も同じ人のビデオ見てましたけど、YouTubeだけに限ってもサワドー関連の内容を提供する人がものすごく増え、人によって若干言うことややり方も違うし、なんかもう、なんでもあり?という雰囲気に。

 

 

サワドーブレッド101

私がサワドーブレッドの世界に迷い込んだのは、20年くらい前、Joe Ortizさんという方のThe Village Bakerという本を手に入れまして、それを読みながらたまに試しては失敗して、の始まり。

f:id:casse-pied:20220117013532j:plain

生地の仕込み工程や出来上がりなどを解説する写真はなく、イラストがあちこちにあるのみで、今思えば初心者のくせに無謀な挑戦を始めたもんだ、と。

 

2008年くらいにはニューヨークタイムズで紹介された、No Knead Breadというのがかなりセンセーショナルで、私も早速真似してみまして、ダッチオーブンに生地を入れて焼いてみて、それがあんまりにも美味しいのでそれまで一生懸命挑戦しては失敗していたあれはなんだったのかと思ってみたり。

 

Jim Laheyという方が最初にタイムズに紹介したのが初めなのですが、 Mark Bitmanや Kenji Lopez-Altなど著名人やKing Arthur Flour, America's Test Kitchenや鍋会社の Le Crusetなどのサイトなどなど、オンラインや書籍のベーキング界はどこもかしこもバンドワゴンに飛び乗って、いや、工夫してちょっとアレンジしたバージョンを発表してましたね。

cooking.nytimes.com

 

その数年後にはサンフランシスコのTartineベーカリーのChad Robertsonさんが出したその名もTartine Breadという本を手に入れまして、工程を素人にもわかりやすく写真入りで解説してくださっているのを頼りに自分の中にサワドーブーム再来。

 

でも、ステップが細かく解説されすぎてて、メモしながら時計を見ながらパン生地見ながら疲れちゃった記憶があります。

 

そしてChocolate & Zucchiniというレシピのブログを見つけ、ここでClotildeさんのお知り合いのレシピだという、失敗しにくい上覚えやすい配合に出会って、しばらくの間はこの安定して外れにくいレシピで焼くようになりました。

ほとんど失敗しない安定したレシピで、何百回作ったことか。お世話になりました。

今考えると、レシピというより粉と水とスターターの配合が簡単で頭に入りやすく、仕込みの手順も大雑把で、本とか時計とかみなくても楽に進められるのが自分の性格にあってたのでしょう。

 

ただこの配合は、65%という水分量のせいか、そんなに大きな穴がぼこぼこあかない、割と地味な出来上がりになります。

cnz.to

このページのリンクをコピーしにブログを見に行ってみたら、トップページのエントリーが2020年の6月の記事でした。

ブログがヒットして書籍も何冊か出され、お子さんが生まれたりと、お忙しくなさっているんでしょうね。

勝手に読みに行ってレシピを参考にさせていただいてるだけですけど、一年半くらいエントリーがないってのも寂しいなあ、なんて勝手に思ってしまいましたよ。

ひょっとしたらブログじゃないプラットフォームでご活躍中なのかもかもしれませんけどね。

 

f:id:casse-pied:20220204070755j:plain

穴だ!と喜ぶのは素人ベイカー。食べる人は「ジャムが落ちる」と不満げ。



ネットで色々

最近は本じゃなくて、YouTubeであれこれ観て喜んだり、ネットでプロやプロ顔負けのアマチュアの方の書いてるものを参考にしたり。

でも、参考、とか言いつつあんまりきっちりお教えに服従しないで適当に「あらあそうなの、じゃあそんな気分で」という程度にa grain of salt的に参考にしてるだけなので、腕は上がりません。

 

なぜ大真面目にそのままその通りに従わないかといえば、やはりYouTuberやブロガーの方々のお住まいの国や地域によって手に入る粉が違うし、所有するオーブンのパワーとか、水も空気も違うので、丸ごと真似することは最初から無理。

使う道具も手順も、結構個人差があり、この人はボウル一つでずっとやってる、こっちの人はボウルからプラスティックのバルクファーメンテーション容器に入れて目盛りで生地のサイズを見て判断してる、この人は発酵機を使ってる、この人はコイルフォールドしてる、こっちの人は生地を捏ねてる、、、、という具合。

 

でもぶっちゃけて言えば、この作業に何分、何分後にこの作業して、その後どれくらい置いてから何分ごとにこれしてあれして、、、、という細かいオキテに従えるだけの素直さが欠けている性格のためと思われます。

 

大体の基本は同じで、粉と水を混ぜて置いておいて、しばらく(これも三十分くらいの人から一晩の人まで)経ったらサワドー種と塩を入れ(最初っから塩も入れちゃう人とかサワドー種も入れちゃう人もあり)あとは混ぜたり折りたたんだりして放置したりしたあと成形してカゴに入れておき、予熱したオーブンで焼きます。

 

焼くときは、スチームを放出できるプロっぽいオーブンとか、石とか濡れ布巾をオーブンに入れておいてお湯を入れるとか霧吹きで水分を入れるとかして庫内にスチームを与えるとかして焼くやり方と、ダッチオーブンなどの容器に生地を入れてパン生地から出てくる蒸気を利用する方法などさまざま。

 

私はダッチオーブンを利用しています。

このダッチオーブン利用も、ダッチオーブンの蓋をして加熱する時間と蓋を取ってからの時間の設定も人により若干違います。

 

何度もオーブンで焼いちゃうと見た目が汚くなりますので、白いル・クルーゼみたいな素敵なのは使わない方が良いと思います。

私はエナメル加工のないロッジのコンボクッカーという蓋もフライパンになるよ、というやつを使って、蓋側を下にして使っています(生地を入れやすいし出しやすい。)

f:id:casse-pied:20220204065517j:plain

コンボクッカー、上から見たところ。エナメル加工がないので荒っぽく使いやすい。

 

f:id:casse-pied:20220204065439j:plain

コンボクッカーの蓋、浅いから生地を乗せやすい。

 

 

最近の工夫色々

最近やってみてるのは、オートリーズ(小麦粉と水を合わせた後放置する)の時間延長。

以前は三十分とか1時間でしたが、今は5〜6時間から一晩ほど。

放置するだけなので、長くても苦じゃないし、その方がうまく行っている(今の所)から。

 

塩はオートリーズの時に最初に入れています。

塩を入れちゃうのは伝統的な意味でのオートリーズじゃないらしい(誰かが言ってました)けど、別にそんな伝統は関係ござんせん。

 

サワドー種は、今は冷蔵庫にキープしてありますが、焼きたい日の三日前くらいに冷蔵庫から出して3、4時間放置してからまず粉と水を入れてやり、その半日後くらいに小さじ1杯分くらいをガラス瓶に入れて水と粉を50グラムずつ入れてぐるぐる混ぜておきます。

この時に別のボウルに粉と水を合わせておき、オートリーズとスターターを同時に仕込みます。

仕込みを寝る前にやって一晩おいてやると、朝ちょうど元気にぶくぶくしてるスターターをオートリーズしてある生地と合わせられて、このスケジュールが気に入っております。

 

混ぜるときはスターターが記事に満遍なくキッチリ混ぜるべし、と皆さんおっしゃいますが、そんなに気にしなくても大丈夫な気がします。

 

買えば良いやん、と言う勿れ

我が家から徒歩圏内にはまともなベイカリーがありません。

ヨーロッパ系よりアジア&中近東系の多く住む地域なので。(それはそれで美味しいものがあって嬉しい。)

粉を混ぜる時の香り、スターターを混ぜ込んで、発酵開始してから段階ごとに様子を見るときの香り、焼き上げた時の香ばしい香り、どれもすごく好きなんですよ。

買ってきたパンはせいぜい買う時のベイカリー店内の良い香り程度で、冷めちゃったらそんなに感動的な香りはしません。

 

たまに美味しいパンの店のものを買って味見しますけれども、美味しいんですけども、やっぱり粉の香りからいちいち美味しい香りを楽しめる自宅ベイカリーに勝るものはございません。

 

 


ヴィーガン ブログランキングへ