揚げ出し豆腐が大好きですが、家で作ると揚げ油が飛び散って恐怖だ、、と思っていたら、オンラインで「フライパンで作る揚げ出し豆腐」のレシピが流れてきました。
レシピを見てみると、単に油をしいたフライパンで全面を焼き付ければ良いだけ。
なーんだ、それならできそうです。
水切りした韓国のソフト豆腐(絹ごしでも充填豆腐でもないけど塩梅の良い濃さ)を立方体になるように切り分けてから3時間くらい水切りし、表面の水分を丁寧に拭き取って片栗粉をまぶし、よく熱して油をしいたフライパンでじっくり全面転がしながら焼くだけ。
だし汁はちょっと前に作って余っていた八方つゆを使いましたが、真っ黒くろでちょっと怖い絵面になりましたね。
八方つゆは辰巳芳子さんのレシピで、出汁は昆布出汁で作ります。
普段はこの八方つゆをさらに昆布出汁で割って使うので、こんなに黒いということをうっかりしていました。
映画、Comedy Queenを観ました
コメディ・クイーン(現時点で邦題は不明)Sanna Lenken監督作品(2022年 スウェーデン)をオンラインで観ました。
メンタル・ヘルスをテーマとする映画を集めたオンラインのフィルム・フェスティバル、Au Contraire Film Festivalというのがモントリオールで毎年10月にあるのですが(パンデミック以前は市内の美術館内のシアターでした)このイベントでカナダ初公開。
普段は字幕ものは避ける傾向にあります(字面を追っている間に画面が進んでいって何か見逃した感覚になるのが嫌い)が、これは観てよかった。
母親の自殺をきっかけに自分の感情の揺れや高揚する悲しみや怒りに苦しむ12歳の少女サーシャ。
彼女は悲しみに溺れて自殺に至ってしまった母親のようにならないため、いくつもの決意を固める。
髪を切ってしまうこと(人々は自分が母親にそっくりであると言う。彼女のようになって死を選ぶ人間にならないためには、髪を切り落としてまるで似ても似つかない人間になるべし。)
本を読まないこと(母親はまるで関係のない他人の不幸や苦境に関する本を読んでは悲しみに暮れていた。本を読んで何の得があったというのか。)
生き物の世話をしないこと。(母親は娘である自分の世話をすることで不幸になって死を選び、自分の世話をするというタスクに失敗してしまった。)
そして、一番重要なこととして、母親の死以来すっかり笑わなくなってしまった父を笑わせることを目指すサーシャ。父を笑わせるためには、コメディ・クイーンになるべし。
自殺した女性がこの世に残したのは、彼女を愛した夫と思春期に差し掛かる娘。
愛する人に自殺されて悲しみに暮れ夜な夜な涙する夫とは対照的に、涙が出そうになるたびに床に横になって涙を目に戻すことができるんだと自分に言い聞かせ、決して泣かないように努める娘。
カウンセラーを前に、自分が泣かないのが問題だと父親が言うのは自分が女だからだ、男だったら涙を見せないことは受け入れられるはずだ、と言うサーシャ。
自分は男だけれど悲しい時には泣いている。泣くことは悪いことではないんだ、自然なことなんだ、と言う父親。
それでも帰宅した時に泣いている父をみてその感情にどう対応して良いかわからず、踵を返してその場を離れるサーシャ。
なかなか悲しみは解消されずに時間が過ぎます。
悲しみや喪失感と向き合うのは誰にとっても簡単なことではありませんが、12歳の子供が母親を失ったことに向き合うのはフィクションであれ見ているものの心を引き裂くようです。
またこの子役俳優がすごく上手なんですよ。
泣いた泣いた。
クラスの皆の前で科学の発表をする時、スタンダップ・コメディアンの真似をしてジョークを飛ばそうとするも空回りしてしまう痛々しい場面、コメディ・クラブ(バーのステージにスタンダップ・コメディアンが登場する)にやってきたプロのコメディアンと知り合い、2分間だけ本当のステージでジョークを言わせてもらえることになり、日々その準備をしたのちにステージに向かいながら緊張で一杯一杯になる場面とか、どこにでもありそうな日常の場面というわけではないのだけれど、誰もが共感できそうな緊張感や格好悪さや同級生との軋轢やら、小さなエピソードが散りばめられています。
ジェネレーションプログラム2022の一部、ジェネレーションKplus2022の子供審査員賞クリスタルベア受賞作品。
話の筋とは関係ないのですが、作品中の食事の場面で二度ほど、ソースらしきものがかかっていないフェトチーネみたいな感じのパスタが出てきました。
親友の家に呼ばれての食事シーンと主人公の誕生日の食事のシーンと。
誕生日の食事ってもうちょっとご馳走にしないもんなのか、それは家庭ごとに違うからそんなもんなのか、いやそれにしても誕生日の食事なのにパスタ茹でただけって素っ気なさすぎないか、スウェーデンの食文化ということなのか、男親だからという演出なのか(だとしたらスェーデンらしからぬジェンダーステレオタイプだよなあ、違うよなあ)、、、とにかくなんだか気になりました。
ポップな色合いや映像も魅力的です