食いしん坊、北米でヴィーガンになる

北米で植物性食品を食べて強く生きる記録

洋食化していく和食と外から見た日本(食)

買い物に行かずに捻り出したある日の夕飯(ご飯、肉じゃが、ブロッコリ)

味噌汁つけたので異論の余地なく和食。

 

 

冷蔵庫に残っていた食材だけで夕飯チャレンジ

たまにやるんですよ、食材がたらない貧相な冷蔵庫の中身(と乾物など)でご飯作ってしまうチャレンジ。

何か足らないものだけ買いに行くということができず(ホイホイ良さそうなものを買い足してしまう)冷蔵庫の中をパンパンにしたくなければ、限りなく空っぽに近づけてから買い出しに行こう作戦です。

 

でこの日は、

  • 玉ねぎ一個
  • マッシュルームいくつか 
  • 大根の切れ端3センチくらい
  • ブロッコリ

 

そんな状況から捻り出したご飯のおかずはヴィーガン肉じゃがと味噌汁と、蒸したブロッコリー。

 

豪華じゃないですけど、食べる人たちが喜んでるのでこれで良い。

 

 

ヴィーガン肉じゃが?

肉じゃがの肉は芋やネギに風味を与えるのがポイントですけど、それを入れないで大丈夫なのか?と思いますよね。

大丈夫ですよ〜。

 

タンパク質のために入れたTVP(Textured Vegetable Protein、所謂大体肉)には出汁になる持ち味らしきものはないので、他の材料や出汁が味を決めるポイントになります。

 

マッシュルームと玉ねぎをよく炒めて昆布だし、これに少量の砂糖、酒、醤油、味醂、これで十分。

 

TVPは洗ったり戻したりせずにじゃがいもを入れた後にだし汁を入れ、芋に火が通ったら直接入れて水面下に押し込んで蓋して煮込みましたよ。

煮汁が多すぎたかなと思う程度のところに乾物を放り込むのでちょうど良い加減になります。

 

肉じゃがって、ご飯のおかずに芋という、ダブル炭水化物な組み合わせに違和感ありますけど、大量に食べなければ大丈夫。

 

昔の人は一日中よく動いていただろうから、これくらいの炭水化物は平気で消化していたんでしょうね。

 

 

和食の盛り付けの美意識

自分で言うのもなんですけど、本当に日々の食事の写真がインスタとかオンラインで流通している世間の料理写真に比べるまでもなく、見せる気ゼロ?

 

盛り付けてる時に考えてるのは「お腹すいた、早く食べたい」

 

ブログに載せるんだからもうちょっとなんとかすれば、と毎回後で思うんですけどね。

 

 

和食の美しい出来上がり写真とかメニューの写真とか、日本で見慣れてるものってやっぱり日本の美意識を反映しています。

 

和え物でも漬物でも焼き物でも、器の中に空間があって真ん中にちょこんと盛り上がってたり生姜が斜めに置かれてたり食べない葉っぱが敷いてあったり。

 

庭に山椒の葉っぱがあった子供の頃は、ご飯の直前に母親に「庭に出て山椒の葉っぱとってきて」と言われるのが嫌いでしたけど、直前になって思い出す母の気持ちも今はわかります。

 

そういう美しさはあんまりまるで気にしない大雑把な暮らしに慣れていますけど、プロのプレゼンテーションを見る方の審美眼は失ってませんよ(やな客。)

外食の頻度はぐっと減ってる昨今ですが、ネットで見るメディアのプレゼンテーションは、記事を読み始める前にちょっと引っ掛かること多し。

 

最近寿司やラーメン以外にも日本の食べ物が結構知られるようになってきて、ニューヨークタイムズの料理欄にもテリヤキがチキンでなくサーモンだったり、水炊き(らしい)だったり、日本の食べ物が日本人じゃないフード・コーディネーターによって盛り付けられた写真を見る機会が増えました。

 

欧米メディアの日本食写真

ジャパニーズ・スタイルのサラダうどん(NYT Cookingより)

和風ドレッシングを使っているそうで、和風=ジャパニーズスタイル、故にジャパニーズスタイルのサラダうどんなんだそうです。

 

サラダうどんだなんて、居酒屋のメニューみたいなものがNYTというメジャーな誌面に登場しただなんて、スシフジヤマゲイシャの世界からかなり深く日本文化に踏み込んだものです。

 

白和えだって欧米メディアにかかったらこうなります↓

マッシュド・トーフ・サラダと訳された白和え(写真はfood network より)

白和えは結構北米人にはウケが良いんですよ。

難しいものじゃないからフードネットワークで紹介されて、作った方たちのコメントが並んでます(味が薄いと文句言ってる人もいますが。)

 

フードネットワークのページには、レシピはマサハルモリモトさんのものだとあるのですが、撮影に際してフードコーディネーターや写真家が「もっと白いの入れた方が美しい」とか言ってちょっと手を入れた可能性がないとは言えない、というか、モリモトさんがその場にいらっしゃったのかどうかは定かではない。

 

それにしても白和えといえばちょこっと小鉢の真ん中にこんもりと上品に盛り付ける、、という感覚とは正反対で豪快。

ほうれん草といえばポパイだけに?

www.foodnetwork.com

最近は欧米に住んでいる日本出身者が欧米人相手に日本食のレシピを解説しているサイトやYouTubeなんかも出てきていますね。

 

ただ日本人だからってみんなが同じものを作るとは限らない。

家庭料理ですから家庭によって味付けや材料のバランスが違うのは当たり前です。

myjapaneserecipes.com

私が作る白和えはこの方の↑より豆腐が圧倒的に少なくて、ほうれん草ならほうれん草だけ、あとは胡麻と豆腐と調味料だけなので、マッシュト・トーフサラダではなくて、ほうれん草サラダの豆腐クリーム和えみたいな仕上がり。

 

 

モントリオールの知り合いで、おばあちゃんが日本人で、自分は日本語話せない日系の方がいるんですが、彼は日本のことを日本人よりもリスペクトしていらっしゃいます。

美化しすぎでこそばゆい感じ。

 

自分の国なら文句は尽きないし「だから日本は、、」なんて思ったりしやすいですけど、おばあちゃんの国、お母さんの国、となるとちょっと美化しやすいのか、実際に住んでムカついた経験がないから今住んでる国に欠けてる理想を投影しやすいとも言えます。

 

日系アメリカンなJ. Kenji Lopez-Alt氏が監修している食いしん坊サイト、Serious Eats には日本食のうまいものの作り方が色々と載っていて、ケンジ氏が詳しく解説してるレシピが満載です。

 

ここに載ってる写真なら流石に日本的だろうか、、、と思ったら、いや、ケンジ氏はきっとあんまり細かいことに口出ししてコントロールフリークとか言われたくないんでしょう(大雑把な人なのかもしれないですし、そこら辺は知らない人なのでなんとも)カレーライスの写真を見たら、、、

福神漬けじゃなくてガリですよ。写真はSerious Eatsサイトより

まあでもご飯を片方に、カレーをもう一方に、という盛り付けの大まかなデザインは日本的ですよね。

 

福神漬けって家で母が作ったカレーライスには付いてなかったですし、自分が作る際にも福神漬けを!って探した記憶もないんですけど、ガリを添えようという発想もありませんでしたね。

口の中がさっぱりして良い口直しになるかもしれませんね。

 

ケンジ氏のフルネームを確認しようと今サイトを見てみたら、チームのリストに載ってなくて、「引退した?」と思ったら、コンサルタント役で表舞台から一歩引いた感じでいらっしゃるような感じですね。

www.seriouseats.com

 

アメリカンなサイトばかり見てるからアメリカンな美的感覚な絵面ばかり見えてくるんだろう、と英国のサイトを見てみたら、やってくれましたガーディアン。

Guardianによる、パーフェクトなお好み焼き。写真はGuardianサイトより

Guardianでは色々なエスニック料理を取り上げて「パーフェクト」な**を作るシリーズみたいなのがあるんですが、お好み焼きもですか。

www.theguardian.com

お好み焼きだから、お好みにすればよろしい。

 

日本出身だからって自分がGuardianよりもお好み焼きのモラル・ハイグラウンドに立てるとは思いません。

 

お好み焼きの思想を考慮すれば、国籍とか食べた回数とか知ってる店の数とかそういうことでお好み焼きのファンダメンタルな信奉者ぶることは本末転倒なのです。

 

それにしても、上に乗ってるこのピンクの大根スライスはなんだろう。

美味しいかもしれないから真似てみようかな。

 

飛騨高山の名物で赤い蕪の漬物がありますが、あれは塩気ばっかりで、私はナマスみたいに酸っぱいものを想像して口に入れてガックリした記憶があるんですが、お好み焼きになら私はナマスを乗っけたいですね。

 

日本のお店の写真などだとおたふくソースやマヨネーズが隙間がないほどたっぷりのっけてますけど、ガーディアンのはあれですかね、英国の日本食材の値段が高すぎてスタイリストが躊躇しちゃったんでしょうかね。

 

実際に口に入れる場合はあの日本的な「たっぷりかかってますよ」な量のソースとマヨネーズは濃すぎてやりすぎとしか感じられないので、実際はこれくらい控えめな方が他の具の味がわかって美味しいに違いありません。

 

鰹節もよく見るとのっかってますけれど、ヴィーガンとしては青のりをもっとガツンとふりかけておいていただきたかった。

 

ガーディアンのページを眺めていたら、ページ左手にJ. Kenji Lopez-Alt氏によるコツとケンジさんバージョンらしき写真が!

拡大してみるとこっちのは紅生姜が乗っててもうちょっと日本的ですね。

あれ、あのピンクの大根↑はひょっとして紅生姜の代わりでしたか?

 

それにしても青ネギ、、、青のりじゃなくて?

青のりをうんとかけたら美味しいのに。

ケンジさんバージョン。写真はGuardianサイトより

 

日本以外のエスニック・レシピと写真

日本のものはパッとみて「わ、違うよ」とわかりますが、こうしてみてみると紅生姜と大根の漬物とか、そのディーテイルに気がついて違和感とか感じるのはやはり日本をよく知ってる人くらいなもので、それ以外の人たちにしてみればどこがどう違ってるの?似たようなもんでしょ?美味しそうじゃん?ということでしょう。

 

てことは、こういった欧米メディアが紹介してるコリアンとかインディアン、中近東やアフリカなどのレシピも写真もやっぱりそこの出身者が目にすると「うわ、なんてこった」と思うようなのも結構紛れてるんでしょうね。

 

日本で見かける「ヨーロピアンなカレー」「フレンチなパスタ」みたいな面白い発想も似たようなもんだし、よその文化圏のものを勘違いして自己流に発展させることから新しい何かが生まれてきてるんですよね。

 

だから寿司の天ぷらとか蕎麦のサラダとか、日本に住んでると思いつかないようなレシピを見ても、ポジティブに受け入れる姿勢は大事だと思います。

 

私の(日本から持って帰ってきた)十割蕎麦ではサラダ作らないでね、とは思いますけどね。

 

 

昔ルームメートが抹茶に砂糖とミルク入れるの見てひっくり返りましたけど


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