今週のお題「睡眠」(気がついたらすでに先週のお題になってしまいましたが。)
エアカナダの機内でのエンターテインメント部門がここ数年、ちょっとしょぼくなっているような気がします。
ひょっとしたらそれはエコノミーだけでビジネスクラスは良いのかもしれませんが。
12時間〜14時間くらいのフライト中一睡もできないことが多く、いつも5本くらい映画を観続けて退屈しないようにしていましたが、今回は潔く読書(紙の)に切り替えたせいか、予想外にちゃんと眠れました。
そういえば大昔は映画を個々が選ぶなんてことはなく、エコノミーの先頭部分、トイレのあるあたりのあの壁に大きなスクリーンがあって、あそこに上映されてるのを観るか、観ないで寝るか、それしか選択肢はなかったっけ。
観てたら前の座席の乗客がこれまた機内でもらえる新聞を大きく広げてしまって画面が半分遮られちゃって、、、とか、そんな世界でしたっけ。
しょぼいなんて言ってすみませんでした。
そんな今回の日本帰省往復のエアカナダ便で見たのは4本。
そのうちの1本はドキュメンタリー映画で、しかも30分少々と結構コンパクトでした。
CAUGHT
環境保護団体エイジ・オブ・ユニオンが、『レボリューション』『シャークウォーター』の撮影監督ウィル・アレンとともに制作したドキュメンタリー。
フランス沿岸で行われる漁業のバイキャッチ(混獲)として命を落とすイルカなど海洋動物や鳥たちの問題など人間の経済活動の犠牲になりがちな海洋の環境問題。
近代漁業で行われる延縄漁やトロール漁のような大量漁法は、目的とした魚だけでなく、その範囲内に存在していたイルカ、サメ、海亀などまでも一緒に網に取り込んでしまいます。
巨大な網に取り込まれたそれらバイ・キャッチ(by catch、混獲)はその網から逃れようともがいて命を落とします。
そうして死んだ海の動物たちは漁船にとっても不要なものなので海中に捨てられます。
国際的な漁業のルールでは、バイ・キャッチの数は報告されなければならないそうですが、実際にはそれはほぼ無視され、予防しようという動きもあまり観られないようで、年間にこういった漁業に巻き込まれて命を落とす海の生命の数は想像を超えるようです。
この作品では特にフランスの西岸に打ち寄せられる膨大なイルカの死体の数(年間約一万頭)から、フランスの漁船、つまりフランスの人々の食卓に登るシーフードを獲得するために犠牲になる海のエコシステムについて調査し、人々に訴えるシーシェパードの活動の様子を見せています。
地上に暮らす人類にとって海中の環境や生態は身近に感じられにくく、海の環境問題は我々の生活とは切り離されているような感覚があります。
私も大好きな海藻が年々収穫高が減少傾向にあり、昆布についての深刻な現状など大阪の昆布やさん、こんぶ土居(konbudoi4th )さんのブログで読むまで全く知りませんでした。
自分が食べたいものの話になるまで身近な問題だとはっきり認識できていなかった自分はなんて現金な、と思いますが、それでも問題について書いてくださる方がいてくれて良かったです。
作品中でも陸上の我々の暮らしや環境と海のエコシステムは切り離せないものなのだということを何人もの関係者が語っています。
このメッセージが多くの人々に届くと良いと思います。
オフィシャル・トレイラーを貼り付けようと思って検索したら本編そのままドーンと載せてくれてます。
フランスの方がたくさん喋ってますけど全編英語なので、お時間のある方は是非ご覧あれ。
世界中でシーフードが高く売れて美味しく食べられるようになって、需要に間に合うように効率よく(短時間で大量に収穫を得られる方法で)行う漁業のあり方が以前から問題視されています。
現代の社会では環境や人権の問題に触れることなく正しくシンプルに得られた魚介類というのはなかなか得難いのだ、と思います。
欧米人には魚介類が苦手だという人が結構いますけど、彼らに無理に「魚にはオメガ3が」とか「牛肉より健康的だ」とか言って売り込むのもやめてほしい。
カナダ東岸部では70年代頃からの鱈の乱獲のため、80年代後半から収穫できる魚がほぼいなくなってしまいましたが、これが世界規模で起きてしまったら一体どうなるのだろう、と思います。
漁ができなくなった漁師たちの現在(収穫量などに厳しい制限がかけられているので漁業だけで暮らしを立てられなくなっていて、多くの人々がアルバータ州などに出稼ぎに行って生計を立てています)について触れた記事を見つけたので、ご興味のある方はどうぞ↓
食べることも一筋縄ではいかない現代社会