ケベック州の暮らしの一コマ・言語
土曜日、マモグラフィーの検査クリニックに行きました。
ケベック州なので、名前を呼ばれて「こちらへどうぞ」「そこでガウンを脱いでください」みたいな決まり文句は大概フランス語です。
こちらもそれくらいならあえて「英語で言ってください」はいいません。面倒臭いから。
技師の方は書類(英語の書式に記入してある)をみて、この人英語系だと気がついたようで、すぐに英語に変えてくれました。
たまに英語が苦手な人もいる中、この人は大丈夫だったので安心していると、またもフランス語で話し始めました。
どうも会話の後1分くらいすると忘れちゃうみたいで。
医療関係のことだし、言語を頑張る場面でもないし、間違ったり勘違いで時間を取るのもいけないしと、ついに「すみません、英語にしてもらえますか?」と言いました。
ケベックにいると、フランス語話者に英語を使ってください、というのって一瞬若干ピリッと緊張します。
観光なら全然いいんですよ。
観光客相手の商売の人たちはわかってますし、バイリンガルなんて珍しくもないし。
でも、フランス語しか話せない(英語は話せてもストレス)という人も存在して、そういう人たちの中には、英語を要求されるのが嫌、という人も少しだけいます。
相手がどれくらい言語に寛容かどうかは話すまでわからないですからね。
英語を要求する人の中にもやな感じの人もいるので、お互い様なのです。
技師さんは「あっ!ごめんなさい!すみません、毎日同じことを繰り返し言ってるのでつい無意識にフランス語になってしまいました!」
わかります、わかります、問題ないですよ〜。
ケベック州はフランス語が公用語のフランス系住民の州、、、という建前はありますが、実際はヨーロッパから来た英仏両言語話者が先住民を押しやって開拓したところに、じゃんじゃん新たな移民が入ってきている多言語多文化社会。
言語に関しては公用語のフランス語を絶やさないようにと強引な言語政策が敷かれています。
でも世界中からやってきて住み着いてる多様な文化背景をもつ人々と日常的に出会えるのはとても良いことだと私は思っています。
日本人気と外国文化
技師さんはヒジャブをかぶっているムスリマの方。
「あなたの母国語は何ですか?」と聞いたらアラビックです、と。
あなたは?と聞かれたので「ジャパニーズです」
と言ったら、「わーお、ジャパンは素敵な文化がありますね。Nice to meet you」
こちらはおっぱいをプラスティックの板に挟まれて息を止めてて情けない格好なんですけども。
初めて会った人に「日本に行ったことがあります」と言われる機会が増えました。
日本を訪れる外国人が激増してるから、当たり前と言えば当たり前ですが。
大体言われることは似通ってて、「人々が親切」「電車が時間通りに来る」など。
多分2度と会うことのない他人とはいえ、目の前にいる人の出身地について嫌なことを言う人はまずいませんけど、いつも私は「ああ、楽しい時間を過ごせたようで(嫌な思いをしなくて)よかったよかった」とドキドキします。
言葉が通じない異国で誤解や勘違いで困ったり嫌な経験をしてしまう可能性は十分あるし、大体どこの国でだって不親切な人や犯罪者は存在するわけだから。
技師さん本人は日本に行ったことはないけれど、お友達が最近行ってきたばかりとか。
楽しく興味深い話をたくさん聞かせてもらったらしくて、私もいつか行ってみたいです、と。
うわー、大混雑の京都とか浅草とかで疲れて嫌になったりしなくて何よりだ(実際はどうだか知りませんけど)と思いながら、技師さんの出身国を尋ねたら「レバノンです」って。
レバニーズ料理美味しいですよね、私もいつかレバノンに行きたいんですよ!
食いしん坊なので食べることが先に。
技師さんは嫌な顔ひとつせず、でも「食べ物だけじゃないんですよ、美しい文化があります」と。
ちょっと恥ずかしいですね、食べ物のことしか思いつかないなんてね。
行ったことのないレバノンについて私が知っていることはとても限られていて、70〜80年代の内戦、美しい海と山、国の象徴になっているレバノン杉、古代文明の遺跡がある、、程度です。
そういう限られた表面的な知識も大概はレバノン料理屋の壁にかかっていた写真やレバノン出身の人たちとの世間話や報道で知った程度です。
自分で体験して興味を持ってるのは食べ物のことだけなので、仕方ないと言えば仕方ありませんね。
それにしても、ある国の文化を知ると言った時、文化と括られることってなんでしょう。
以前仕事でカナダの美術教育とコミュニティにおける社会サービスを結びつける会議というのに参加したことがあって、その時に中近東の現代アートについてほんの少しだけ知る機会があったんですが、そういう現代の文化に関しては本当に何一つ知らないなあと思いました。
中近東→イスラム教→紛争やテロリズム、くらいで想像力が終わっちゃってる。
モントリオールには中近東出身者が多く住んでいるので、個人的に話す機会はあるのですが、「文化」の話はあんまりしないなあ。
話題になりやすいのはまず政治、それから宗教、家族、そして食べ物。
日本に関しては、昔はサムライ、ゲイシャ、トヨタ、寿司、、でしたけど、最近はこれにアニメとコンビニの食べ物が追加された感じですかね。
日本人が思いつく日本文化といえば、相撲、歌舞伎や能など伝統芸能、神社仏閣とか建築、庭、民藝、などですかね。
でも相撲も歌舞伎も人気低迷とまでは行かないかもしれませんが、もっと盛り上げたいと**協会の関係者は常に思っているのでは?
個人的には自分が好きなもの以外は日本人だけど日本の伝統文化をきちんと知っているとは決して言えなません。
若い国カナダに比べると欧州、中近東やアジア諸国には色々な文化の厚みがあると感じますが、実際にその厚みをどれだけ受け止めて継承していけてるのか、その点は疑問です。
紛争で破壊されるのも心が痛むけど、再開発で取り壊すのだって取り返しがつかないんだから、安易に再開発しないでほしいし。
なーんてことを、久々にリノベーション現場を離れて思ったことでした。
先日インスタントポットで無理やり作ったレバノンの炊き込みレンティルご飯、ムジャダラ(カタカナ化の仕方が正しいかは不明)と、ブロッコリの炒め蒸し。
庭にカセットコンロを出して、鍋の底に油を敷いてまず炒めて、その後蓋をして蒸しましたが、カセットコンロのガスが切れたようでちょっとアルデンテな仕上がり。
昔はブロッコリは軽く火を通すだけで歯応えがあるのが好きでしたが最近はしっかり加熱してやわやわになった時の味が好きだったので、若干残念。
でもね味は火をしっかり通したほうが好きだけど、歯応えもやはり捨てがたいですね。
庭にいろいろ持ってくるのが面倒だったので、味付けは塩だけ。
でもそれもよし。