食いしん坊、北米でヴィーガンになる

北米で植物性食品を食べて強く生きる記録

ビーズワックス・ラップを作りました

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先日、パンの保存についてちらりとつぶやきましたら、のあさんからのコメントでこちらのサイトのリンクを紹介いただきました。

www.litterless.co

 

うちでは週に一度か二度、パンを焼いてそれをスライスし、プラスティックの袋に入れて冷凍庫に入れて保存しています。

毎週のことなので、そのプラスティック使用がやっぱり気になります。

 

 プラスティックの袋、何度か使いまわしますけれど、だんだんよれてくるし、穴が開くこともある、それに洗いきれてなくて雑菌などがついていてお腹を壊すことになってもいけないので、使い回す回数にも限度があります。

というわけで、プラスティックゴミになるサイクルも短いのです。

 

これがなかったらゴミが減るのになあと。

 

パンの保存方法では伝統的なものには「ブレッド・ボックス」にしまう、というものがありますが、箱に入れたからって長持ちするの?乾燥するのを防げるの?カビるのも防げるの?なぜ?箱に入ってたって痛むものは痛むんじゃないの?

と懐疑的だったのと、箱を買ってみないとわからないよなあ、というのとあって、試したことがありません。

 

紙袋に入れておいておく、というのもありますが、それだと乾燥してガッチガチになります。

ガッチガチになった数日後のパンを利用するレシピもありますけれど、毎週そういうのを食べたいかといえば、、、ね。

だいたい、焼いて4日経った頃にサンドイッチを作りたい場合はどうするのよ、と。

 

布袋も考えましたが、紙袋と大差ないような気がして実行したことはなく。

 

ビーズワックスラップがいいらしい、というのもあちこちで聞きましたが、買うと高価だし、第一ミツバチ製品を買うことは避けたいし、、、。

 

、、、と、うじうじ考えていただけでアクションが伴っていませんでした。

 

 

ビーズワックスのストックがあったんだった!

 

大変ラッキーなことに、 うちには、ビーズワックスのブロックが一つありましたよ。

ヴィーガンになるずっと前、フレンチ・ガトーを焼くのに凝っていたことがありまして、ボルドーのカヌレ(あの、外側が黒っぽくてカリッとしたカスタードのお菓子です)のために、ビーズワックスを常備していたのです。

 

ヴィーガンになって以来、ビーズワックスもカヌレの型もしまいこんで忘れていました。

 

新たにビーズワックスまたはビーズワックスを使用した製品を購入するのは避けたいところですが、家に眠っているビーズワックス、ちゃんと使ってあげるべきですしね、ラップにしてゴミ減らしに役立つならいいですよね。

 

これまたクローゼットの奥で眠っていた古布を使って、作りました。

 

作り方はもちろんグーグルして見つけましたよ。

 

参考にしたのはこちらのサイトです。

myhealthygreenfamily.com

 

写真を見て、チャチャッとやって見ましたので、このサイトのものよりもちょっとワックスがムラになっているような感じですが、初めての試みですのでこんなもんでしょう。

 

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布の上にチーズふりかけたみたいですが、、、これが、、、

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こうなります。

下に敷いたのは、載せすぎたワックスが下の布にも染み込むだろうから、無駄が減るかなという狙いと、クッキーシートがワックスだらけにならないように、という理由で。

でも結局ちょっとワックスまみれになりましたが。笑

 

詳しいレシピはリンクをクリックして見てくださいな。温度や時間、他にもちょっとしたヒントが書いてあります。

 

作業自体は簡単で、オーブンから出した布は、温度が冷めたらすぐに使えるようになります。早速パンを包んでテーブルの上に置いてありますが、2日経過した段階では問題ありません。

今週は毎日パンを食べるようにして様子を見てみましょう。

 

 

 

 ビースワックスって、香りがいいんですよね。はちみつの味は嫌いですけど。


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Kombuchaその後

風邪をひいて寝込んでいた間も元気に育っていた紅茶キノコ。

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Scobyがしっかりできているのがお分かりになりますか(白っぽい層です)?

 

それはそれで嬉しかったのですけれど、当初の予定では、この瓶の中でうっすらときゅうりの薄切り程度に育った段階で、次の餌やりの時には大きめのワイドマウスの瓶に移してやりましょうと思っていたのですよ。

 

だってね、この瓶じゃやっぱり小さいし、この瓶、ボトルネックがありますから、Scobyが育ちすぎたら取り出すのが大変でしょうから、、、、、、

 

と思っていたら、もうこんなに分厚く育ってしまっていたので、ビンを逆さにしたくらいでは出てきませんでしたよ、Scoby。

 

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口の大きさが、口の大きさが、Scobyの直径よりも小さい上、Scobyの厚みがしっかりできてしまったので、取り出すには、

  1. 指で掴んで引っ張りだす
  2. 箸またはトングで掴んで引っ張りだす

ですが、できれば指では触りたくありません。病み上がりですし。(Scobyに風邪がうつるってあり得るのかな?)

 

トングはこの瓶に入るようなサイズのものを持っておらず、箸ではツルツルっと滑るような気がしたので、結局、ナイフを使いました。

包丁のような刃がついてるナイフではなくて、フォークとナイフの、あのナイフですけど。

 

今考えてみると、お箸を2本使う方がやっぱり優しかったかなあ。

 

ナイフでぐいっと真ん中を抑えてScobyを二つに折り曲げるような形で瓶の口から引っ張り出し、大きめの瓶に移して、新しいローズヒップのお茶を入れてやりまして、久しぶりの餌やりは完了です。

 

初めのうちはScobyも痛かったのか、底の方に沈んでいましたけれど、今はすでに折り曲がった後もわからないくらいにぷくっと元気に浮かんでいます。

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放置されたかと思えばナイフでグイグイ曲げられたり、災難なことでしたね。笑

 

 手荒な真似をしてしまいましたけど、この瓶は寸胴ですので、次に取り出す時は簡単です。 


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恐れることはないのです、サワドー種作り

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私は週に一、二度パンを焼きます。

 

街中にはフレンチ・ベーカリーで美味しいのを焼いて売ってるお店がいろいろあるのに、うちの近所に限っては一切そういうのがないという、「匂いが漂ってくるのに手が届かない」ところに住んでいるので、なら自分で焼くしかないやん、という発想で。

 

で、数年前から、サワドーのマザーを冷蔵庫に置いてます。

サワドー・ブレッドの元種、とでもいうのでしょうか。

 

 

市販のドライ・イーストを買わなくてもパンは焼けるのです。

  

小麦粉、水、空気、それだけ。

 

もともと小麦粉に付着しているイーストと空気中のバクテリアやイーストが味を決めるのだそうです。 

 

だから、仮にフランスとか、サンフランシスコとか、どこかで食べたサワドーの味が気に入ったからと、ベイカーさんにマザーを分けていただいて持って帰ってきても、私がモントリオールの空気と水の中で継ぎ足していけば、そのマザーはモントリオールの我が家のサワドーの味になるのです。

 

 

小麦粉は、麦に付着している菌を最大限に生かすためにも、全粒粉がより好ましく。

でも、世間に販売されている全粒粉の中には、精製された白い小麦粉に、後からフスマを混ぜて「全粒粉」呼ばわりされてる商品もあるそうです。

そういうのでもいけるのかどうかは存じません。

 

 

精製された白い小麦粉も、漂白処理されたものはお菓子を焼くのにはいいでしょうけれど、サワドーの自然の菌の力で膨らませたい場合はやっぱりどうなんでしょうね、試したことがないのですが、私はオーガニックの、地元の粉をつかっています。

 

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写真がボケてますが、小麦粉と、同量の水を足したものの図。

同量の小麦粉に同量の水を合わせ、ぐるぐるグルグルっと割り箸か何かで混ぜてやって、常温でしばらく置いておきます。

 

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e:4〜5年前から生きている、うちのマザー。60グラムをパンに使って残りの30グラムに同量の水、小麦粉を足してぐるぐるグルグル(90グラムになります)。

1:上の写真で、新たに小麦粉と水をそれぞれ30グラムずつ混ぜたもの(60グラムです)。

 

小麦粉、水、空気、にそれぞれ含まれるイーストが、それぞれが合わさったことで食べ物を得てむくむくと育って、ガスを出して、膨らむ、、、というのがパンの発酵の元々の仕組みであって、それが巻き起こったらしめたもの。

 

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昼頃混ぜて、冷蔵庫の上に置いておいたもの。5年もののマザーはぶくぶくと膨らんで、元気です。今日はじめて混ぜた新入りマザーは、まだゆっくりじっくり、、という感じでしょうか。 

 

 

捨てる、というのは「もったいない!」と感じます。

私もそう感じで、最初は捨てずにそのまま、タネ1に対して1になる割合で餌(小麦粉と水)を与えてましたが、そうすると、最初に作った粉+水コンボの重さ(n)と同量の粉(=n) 及び水(=n)を混ぜるので、餌を一回やると、最初のタネ1の3倍の重さになります。

次に餌をやるときは、3nの三倍になり、その次はまたその3倍、、、と、マザーを作るためにどんどん使う小麦粉量も増えるし、容器も大きくしなければいけません。

 

そう考えると、やっぱり最初に捨てるのが一番合理的ですね。

捨てなくても、小麦粉を使う料理に混ぜるとか、パンケーキやお菓子に使うとか(ちょっと酸っぱくなります)友達にあげるとか、そういう手もあります。

 

パンを焼けるくらいに元気に生きているサワドー・マザーができたら、あとはこれをつないで、つないで、大事に生かしてあげるというわけです。 

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昨日混ぜた新入りマザー、結構膨らんでますよ!早いですねえ。これを早速半分捨て(60グラムを30グラムにする)、30グラムのこなと水を混ぜてやります。

 

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左が捨てた(今夜の料理に使うつもり)30グラムと、右が残りに新たにこなと水を混ぜたもの。

 

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たった1日ですが、ガスがブクブクと出ていた新入りマザー(左)と、混ぜたての新入りマザー+アルファ(右)

 

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再び冷蔵庫の上に置いて、明日まで休ませましょう。明日はこの倍くらいに膨らんでるはず。これを数日続けて、力の強いタネができたら、パン焼きに使います。

 

 一旦元気なパンの焼けるマザーになったら、週に一度だけ餌をやって、あとは冷蔵庫に入れておきます。

もっと頻繁にパンを焼く方は、焼くたびに餌をやればいいです。

 

旅行などで数週間家を空ける場合、週に一度餌をやるのが難しくなりますが、私は3週間までは放置しても大丈夫だという経験を何度かしております。

4週間以上の場合は、不安でしたらタネをパーチモン・ペーパーにヘラで擦りつけてやり、それを広げて乾燥させてやり、乾燥したのを密閉容器に入れて保存しておいて、帰宅後水を加えて再生させるという手法と、冷凍するという手法があります。

 

冷凍は経験ございませんので自信を持ってオススメはしませんけれど、いろんな方がやったことがあるようです。

乾燥手法は、保存のためというより日本の母の台所に持って行って母にサワドーパンを焼いてあげたときに使いました。

乾燥したマザー、水を与えて復活したら、ちゃんと普通に発酵しました。

 

ネット上にはたくさん情報がありますが、こちらも参考までに。

www.thekitchn.com

 

絶対絶対、木のスプーンで、とか、熱湯消毒して、とか、そういうことをおっしゃる向きもありますが、私はそこまで神経質にしませんけれど、平気ですよ。

 

エジプトの母さんたちがパンを焼いた頃、熱湯消毒なんかしなかったでしょうし。ま、その当時はスプーンは木だったかなとは思いますが。

 

 

 


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風邪を引いたらピースープ

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日本のサイズで言ったら2カップくらいでしょうか。安いし早いし美味しいし、助かります、スプリット・ピー。

 

 

北米ではレイバーデイで三連休でしたが、皆様、夏の終わりの最後の祝日を楽しくお過ごしでしたでしょうか。

 

私は先週引いた風邪が治らず、連休中ずっと寝込んでおりました。

 

せっかくの連休だったのに、、勿体ない、、、。

 

 

風邪で寝込んでいてもご飯食べなきゃいけません。

夫もちょっとは作ってくれますけれど、風邪引いてるときは、自分が食べたいものが食べたい、、(いつもそうですけど)と、夫に材料を切ってもらって、風邪にも看病する家族にも優しいスープを作りましたよ。

 

 

ヴィーガン・ピースープ

 

材料

  • 玉ねぎ
  • にんにく
  • 生姜
  • 人参
  • バーリー(大麦)
  • スプリット・ピー
  • 好みのスパイス(クミン、ターメリック、コショウ)

ピーがスープのボディ、麦はさじですくった時に5〜6粒くらい入っていてプチプチの舌触りを楽しむため、野菜類も好みで分量のバランスを決めます。

手順

  1. 玉ねぎ、人参は1〜2センチくらいの角切りに、にんにくは潰して粗みじん切り、生姜は皮をむいてすりおろす。
  2. 玉ねぎ、人参、にんにくの順に厚手の鍋で炒める。炒めるときに塩を少量パラパラとふりかけて、野菜から水が出るようにしてやる。(塩の量は全体の味に影響するのでくれぐれも注意して)
  3. 生姜、麦(生のまま)、スプリット・ピーを加えて、スパイス類も加えて全体に混ぜ、水を加え、蓋をする。
  4. ふつふつと湧いてきたら火を弱めてスプリット・ピーに火が通るまで加熱する。

 

水ではなく出汁でもいいですが、スプリット・ピーの味を楽しむには水で十分です。

そのため、うちでは出汁がないときにスープを作りたくなったらスプリット・ピー、という感じです。

 

 

スプリット・ピーは調理後温度が下がるとアンコのようなモタッとした状態になる(豆類ですから)ものなので、水分量を調整すれば、どろっとした濃いスープにもなるけれど、それは翌日の楽しみとして、私は初日はむしろ麦のプチプチした感触を楽しめる程度の濃度で作ります。

作り始めにちょっと水っぽいかなと思っていても、しばらくするとピーが吸水して膨らんできますので、様子を見ながら、必要なら水を足して。

 

スプリット・ピーは、ピーを乾燥させ製品として出荷されてから、お店で私がカゴに入れるまでどれくらいの時間が経過しているのか、毎回よくわからないのですけれど、他の乾燥豆のように前夜から浸水しておかなくてもちゃんと柔らかくはなりますが、「30分もすれば出来上がり」というレシピもありますが、それは多分かなり鮮度のいい場合ではないかと思います。

私が買ってきたスプリット・ピーはいつも大概小一時間かかります。

 

スプリット・ピーは、イエローとグリーンの二種類ありますが、どちらでも。ただ、乾燥・ピーとして、スプリットではなくてまるごとの乾燥・ピーも存在しますが、これは前日から浸水しておいてもちょっと芯が残るような感じなので私は避けています。

何かコツがあるのかもしれませんが。

 

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鍋底にちょっとだけ、に見えますが、鍋の直径26センチで、深さは半分ちょっとくらいでしょうか。パンと一緒に食べて、二人で夕食一回、昼食に一回くらいの分量になります。

 

 

小一時間コトコト調理するので、スパイスが馴染みすぎてイマイチだわと感じる場合は、インドのダールのレシピのように、出来上がりちょっと前に油を熱したフライパンでスパイス(粉末ではなく種の状態で)やニンニクを1〜2分加熱してじゃじゃっと加えてやる(tarkaと言います)と風味豊かですが、風邪でヨレヨレになってるときにはそこまでやろうと思いませんでした。

 

いや、正直な話、今回は作った初日は鼻が詰まっていたのか、匂いも味もよくわからず、夫に「これ、味ある?」と聞いたほど。

翌日の残り物はもうちょっと美味しく味わっていただけましたが。笑

 

 

Eating Animals 読後の、チキン・スープを巡る思い

 

北米の人は「風邪を引いたらチキン・スープ」とか、「風邪の時は紅茶にハニーを入れて飲むといい」とか言いますよね。

私はヴィーガンですのでピースープと緑茶、これで十分です。笑

スープを作るときに生姜を多めにすりおろして、ハーバル・ティーを入れるときに一緒に入れて体を温めたりも。

 

チキンスープといえば、ヴィーガンになる前は骨を取っておいて香味野菜と一緒にスープを取ったりもしましたし、今でも職場では鶏肉をさばいて残った骨でチキンスープを作っています。

職場ではオーガニックの鶏肉なんて予算がないので使えません。

北米で流通している鶏肉のほぼ99%は抗生物質や成長ホルモンを与えられたファクトリー・ファーム産ですからその骨から出汁をとって人に食べさせることにものすごく抵抗を感じます。

ここ数年は肉は同僚が専門でやってくれていて、私が調理を担当する日は基本的にヴェジタリアン(ヴィーガンなことも)なので、鶏の骨を前にして悩むことはないし、自分の考えを他人に押し付けることはできないのですけれど、やっぱり複雑な心境です。

 

特に、アメリカの場合は、屠殺後の処理では温水の中で肉の解体*がされているということなんですけれど、糞尿が混入しないようにすると時間もコストもうんと上がってしまうという理由で、糞尿まみれの水中で食用の肉が処理されるため、サルモネラ菌始め、ありとあらゆる危険な雑菌が肉に付着しているそうです。

30数年まえに鶏肉業界とUSDAが合意に至るまでは、糞尿は危険な汚染物として扱われていましたが、現在は糞尿はCosmetic Blemish-表面的な汚れ-という定義なんだそうです。産業の方が政府の機関よりも政治力を持っているアメリカならではですね。(Foer, p133-134参照)

 

*カナダやEU圏内ではこのプロセスは採用されていないそうです。カナダでよく交わされる会話「アメリカよりはちょっとはマシだよ」はまさにここにあり。笑

 

 

このプロセスのおかげで、店頭で出回っている鶏肉の重量の10%近くは処理段階で吸収された水分なんですって。 アメリカの鶏肉、安いですけど、、、ね。


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初めての夕食作りと、Eating Animals

 Foerの「Eating Animals」

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Eating Animals  Jonathan Safran Foer (2009 Little, Brown Company)

 

つい先日読み終わりました。

著者が、結婚、初めての子供の誕生をきっかけに、それまでなんとなく始めたりやめたりを繰り返していたヴェジタリアニズムについて向き合うため、「生き物を食べる」ことについて調べ、自身の考え方を整理しようとした試みのドキュメントです。

NY Times で出版当時、Michiko Kakutaniにひどいレビューを書かれていますが、私個人はKakutani氏のレビューはポイントを外しているというか、読んでないんじゃない?と思います。

 

ヴィーガン・プロパガンダではなくて、ファクトリー・ファーミングに知らずにお金を投資しているも同然な北米の一般消費者に、その問題点、オルターナティブの小規模畜産農家たちの活動や北米の食糧生産・消費の仕組みの限界などを提示しています。

 

北米のファクトリー・ファーミングの現状については他の書物でもネット上でも見聞きすることはできますけれど「ほら、こんなにひどいんだぞ」で終わらず、ファクトリー・ファーミング関係者、オルターナティブの畜産農家などあらゆる立場の人々の声に耳を傾けて、最後には著者は一個人としてどう向き合うことにしたのか、その考えを語っています。

 

ヴィーガンの私が読んでも、所詮はPreaching to the choirみたいなもんですけど、ヴィーガンではない人々と食事をする場面で、食に対する考え方の多様性を踏まえて、肉か、肉じゃないか、という二元論を超えてコミュニケーションするのに著者のアプローチは参考になると思いました。

肉食派にもヴィーガンにも迎合していて結論を避けている、という批判もあるようですが、何を食べるべきだ、と読者に指示を出すのが著者の意図ではないのは明らかだと感じました。

Eating Animals - Wikipedia

 

この秋、ドキュメンタリー・フィルムも公開されるようですね。ナタリー・ポートマンがナレーター兼プロデューサですって。

deadline.com

 

 

 
初めての夕食作り

 

食育っていう言葉は私が子供の頃にはありませんでしたが、フルタイムで働いていた母が帰宅後に夕飯の支度をする手伝いは「させられて」いました。

慌ただしいので、いちいち説明をしなくてもできるような、子供でもできるような作業が主でしたけどね。

 

 

私が実際に夕ご飯を一人でこしらえたのは、13歳の頃でした。

 

始めから終わりまで母の指示なしで作業したのはこの時が初めて。

 

いくら普段見ていても、いきなり一人では何もできないんだと実感しました。

 

当時、我が祖父母が両方とも癌で入院してしまい、両親が交代で、祖父の病院に泊まり込みで世話しにいっていたのです。

祖父は他人に色々世話されるのが嫌だったようで、プライベートの看護人の方をお願いしても、1日もしないうちに勝手にクビにしてしまっていたので、両親が行くしかなかったようで。笑

 

初めての夕ご飯は、そんな折、母が泊まりで父が在宅の晩でした。

献立は、ご飯、味噌汁、かぼちゃの煮付け、卵焼き、多分それに柵で買ってきて切り分けただけの刺身が数種類、父の晩酌もありますからね。

 

ご飯と味噌汁は大したアクシデントもなく仕上げ、(ご飯は炊飯器がやってくれますしね)

卵焼きも、毎朝私の担当だったので、大したこともなく。(考えてみると、当時の私にでもできるメニュー=朝食メニューだったんですね。)

 

問題は、かぼちゃの煮付け。

 

誕生日のおかずは卯の花と昆布巻きが食べたい、と言うような、煮物が好きな子供だったんですけれど、かぼちゃの煮たものは作るところを注意してみた覚えもなければ、どういう手順で作るのか聞いた覚えもなかったのに、なぜだか「できるよ」と母に言ったんですよね。

 

若い頃って、無知なのに恐れ知らずと言うか、そう言う傲慢さってありますね。

私だけ? いえいえ、これは、脳の発達段階で、思春期の子供はそういうもんなんです。

 

多分魚とか筑前煮とか、そういうのだったらはっきりと「自分には手順がわからない」と認識できたのでしょうけど、かぼちゃと玉ねぎだけですからね、他に何があるっていうのよ、とでも思ってたんでしょう。

 

なぜだか、どうやったんだか覚えはないのですけれど、割とホクホクしてていいかぼちゃを、玉ねぎの薄切りと一緒に適当に煮て、見かけは本当に美味しそうなものを大鉢に盛り付けて、卵焼きやなんかと一緒に食卓に並べまして、「お父さん、ご飯だよ」と。笑

 

父は「おお〜、立派な食卓じゃないか、お前もなかなかやるなあ」なんて褒めちぎりながら席に着き、刺身をつつきながら晩酌を始めました。(刺身は私が調理したものじゃないんですけどね。笑)

私も刺身をつつきながらご飯を食べ、さてかぼちゃ、とかぼちゃを小皿に分けて「お父さんもかぼちゃ、食べてよ、美味しいよ(まだ自分も食べてないのに)」と言いながら一口食べてみて、びっくり!

「ぎゃ~っ!味がない!」(←心の声)

 

なぜか味付けという作業をすっかりすっ飛ばし、ただかぼちゃに火を通して、ホクホクの煮物っぽいものを作って悦に入っていたのでした。

間抜けな自分にびっくりしつつ「そうか〜、味、つけなかったから当然ついてないよなあ」と納得。 

 

どうやって作ったんだか、今となっては全然覚えていません。

でも見てくれだけは本当に良かったんですよ。(=料理は見てくれじゃなくて、味が大事だという教訓ですね。)

 

実際には、味がないというよりは、ウリ科の植物にありがちな青臭さが若干あって、ホクホクの舌触りと青臭い匂いが漂う、なんともいえないものでした。(一言で言えば、まずかった。)

 

これを父に知られたら、絶対に一生笑い話にされる、と思いまして、非常に焦ったのを覚えてます。

 

ところが、地獄に仏じゃないですけれど、父が言うのですよ、

 

 

「いやあ、お父さん実は、かぼちゃとか芋とか、嫌いなんだよ。」と。

 

 

父は、子供に偏食をさせないための子育ての方針として「親はなんでも食べてる」をずっと演じてきたんだけど、そろそろもうその役は勘弁してよ、とバツが悪そうに笑いかけてきました。

「13歳なんだし、娘もそれくらいは受け入れられるだろう」と思っていたのでしょう。

 

私は「えええ〜?知らなかった!そうだったの?」と妙に驚いて見せ、、

内心は、笑い話になる憂き目は見ずに済むわ〜〜〜と。笑

親のことを理解してあげられるちょっと成長した娘を演じながら、まずいかぼちゃの秘密がばれずに安心したズルイ13歳の私でありました。

 

考えてみれば、嫌いとはいえ我が子が初めて作ったんだから、ちょっとだけ頑張って食べてみるよ、とか、そう言う親の鏡みたいな行動に出る人じゃなくて何よりでしたね。

 

翌日帰宅した母に事の顛末を説明しましたら、それ以来、手伝いのたびに「これはこうするのよ」と言う母の説明がついてくるように。笑

できることだけやってれば済んだ下働き人から、いきなり聞いてもいないのに教えを賜る生徒のような立場に変わりましたよ。(自主的に教えを請うたわけでもなかったためか、この当時教わったことはろくに身につきませんでした。)

 

 

食育のことはわかりませんが、当時父に秘密がばれなかったのがこの後の私メの料理人生がポジティブでいられた要因だろうと思うのです。

 


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