食いしん坊、北米でヴィーガンになる

北米で植物性食品を食べて強く生きる記録

さよなら庭の木 Ash  

またしても木の話です。笑

 

f:id:casse-pied:20180813073549j:plain

木々の間に見える白いまっすぐの柱はいわゆる電柱です。これだってある程度の太さがあるんですが、うちの木とご近所の木々に囲まれると電柱が爪楊枝のように見えます。この写真を見たアウトドア派の友人「この木、葉がついてない枝が多すぎるね、大丈夫?」と。おっしゃる通り、大丈夫じゃないんです。

 

 

我が家には大きな木が3本あります。(ありました、、、、。)

 

3本のうちの一本は、Ashという種類の木で、ここ数年来ケベック州に蔓延する、Ash Boreという害虫が好んで攻撃する(彼らは攻撃してる気は無いでしょうが)対象なのです。

その虫が居着いた木は枯れてしまうので切らねばならず、その木を蝕んで大いに宴会をした後のAsh Borer たちは、次なる犠牲者となるAshを求めて移動していきますので、伝染病のように広まっていくのです。

 

我が家のAshは裏庭の隅に植わっていて、私たちが住み始めた12年前も結構な大木でしたが、そのあともぐんぐん伸びて、かなりな大きさになっていました。

 

Ash Borer 騒ぎが始まって、Ashが植わっている家庭を対象に市が「予防接種」をするようにチラシを配布するようになったのが4年くらい前か。

 

最初は「なるべくお願いします。」だったのです。

 

木に予防接種するとなると、そのコストは結構高く、木のサイズによって値段が決まるので、大木の所有者はやっぱり怯んでしまいます。

昔からの住宅地にある木々は大概大きくなっていますので、我が家に限らず皆さん出費がすごいと思います。

 

ケチな夫婦な我々、「えええ〜、いくらするのよ」って思ったのですが、でもひょっとしてうちの木がAsh Borer に蝕まれたら大変ですし、最初の年、「なるべく」のチラシに応じて業者に依頼して予防接種しましたよ。

最初の年の経費は確か250ドルくらいだったような記憶があります。

 

翌年から「2年に一度予防接種をすること」と強制的になりまして、その代わり、市がコストの半額をサポートしてくれるということに。

 

うちはその前年に予防接種したのでその年はしなくてよくて、その年の翌年にまた予防接種しました。

 

市のサポートが入るから楽になるわ、と思ったら、その年に依頼した業者の値段がぐんと値上がりし、500ドル近かったので結局同じような出費でした。

市のサポートがあるから、市民の財布が緩むのを見込んだ業者のぼったくりでは無いかと今でも思ってますが。笑

 

そんな感じで何回か予防接種をしたのですが、一昨年の秋くらいから夫が「木の様子が変だよ、元気がない」と。

 

よく見て見ると、確かに枝の一部が黒っぽくって、葉っぱがついていません。

 

「あの枝とあの枝、あっちとこっち、あれらは多分枯れてるよ」と。

 

その前の予防接種の時に見てくれた業者曰く、この木はまだまだ元気だよ、大丈夫だよ、とのこと。

とはいえ、枯れてる枝があるのは気になります。

冬が過ぎで春がきた頃、大風だかなんだかで、大きな枝が折れて落ちてきました。

まだ落ちてきてないけど折れてる枝も発見し、これは無視できない、と。

 

そんな経緯を経て、市の担当者が見にきてくれて、「死んだ枝を切り取るだけでもいいけれど、多分来年か再来年には木を伐採することになるのは見えている。こういう弱った木はAsh Borer の餌食になりやすいから、今年切ってしまうのが一番合理的だと思う」というご意見をいただいたのです。

 

今年切らないとしても予防接種処理は必要だし、枝を伐採する必要はあり、多分合計で1000ドルくらいかかります。

 

うちの木のサイズの伐採の相場は数千ドル。

 

数千ドルって、大まかですが、業者によって見積もりは様々らしい。

 

今年伐採しなくても来年切ることになるなら今年の予防接種は無駄な気もしますし、弱ってる木に害虫がたかってしまうのも問題です。

 

という次第で、切ってしまうことになりました。

 

モントリールで庭の木を切る手順

市の条例で、庭の木を切るには市の許可が必要です。

しかも、伐採した後にはその木と同じくらいのサイズに成長するような木を植えなければなりません。

 

わー、面倒くさ。

 

でも、折れてる枝が落ちてきて電話線を切ってしまったり近所の人に怪我させてしまっても行けないし、早く処理しなければ。

 

伐採の申請に必要なものは、

  • 木の様子を写した写真二枚
  • 不動産を購入した時の譲渡証書の中にある敷地の権利書みたいなもののコピーに、敷地のどこにその木があるのかを書き込んだもの
  • 申請書類

うちの木は、市の担当職員の方が見にきてくれた上で「伐採の申請をするのをお勧めします。するんだったら私にメールしてから申請書類を出せば、すぐに許可を出します。」とのことだったので、本当に速攻で許可をいただけましたが、そういうケースでない場合は若干待ち時間がある模様。

 

許可が速攻降りたら伐採する業者に依頼して、手配が終了。

業者も何十社もいまして、去年から開業した会社とか、明らかにAsh Boreの状況に便乗した儲け目当てらしき会社から、うん十年前から庭の木々の世話をしてますよ、っていうところまで。

 

今回は、予防接種の予約を入れてあった会社に電話して、切ることにしようと思うと伝えて見積もりをお願いしたのですが、電話したその日に下見に来る予定だったということで、実際に見てもらって「市の職員は切るべきだと言ったのだけど、どう思う?」と聞いたところ「予防接種のお客さんにそう聞かれた場合、お宅の木の状態なら、健康だから切ることはないよ、って言うようにマニュアルにはあるんだけど、本当のところはやっぱり市の職員と同じで、予防接種してもどうせ来年か再来年には切らなきゃいけなくなるから、うん、切る方が良いと思うよ」と言われたのですよ。

 

ねー、業者ってやっぱり自社の儲け優先ですからね。

そんなもんだよね、と思いつつも、その会社についでに伐採を依頼しましたよ。

大きな木なので、作業は一日かかるとか。

上の方から切りとっていき、大きな幹を最後に切り取ります。

 

今朝8時に来て作業開始した作業員諸君、総勢四人で上の方の枝を切り、切った枝を機械で粉砕し、最後は幹を芝生の上に倒してからチェーンソーでぶつ切りにした模様。

切った枝を運び出し粉砕する作業と、木を切る作業と、掃除、と、やることはいっぱいあって、しかも最後には根っこを掘り出さねばならないのですから、大仕事。

 

夕方仕事から戻った私が見た風景はこれ↓

f:id:casse-pied:20180907071012j:plain

夫も仕事で作業中は留守だったのですが、午後帰宅した頃、作業は一段落していたそうで、作業員達は明日またやって来て、この太い木の幹を運び出し、根っこ(左上の横になっていない木の切り株の下にあります)を掘り出して、後始末をしていただいて、それで終了です。

 

何人もの作業員が二日に渡って作業しに来るわけですから、何千ドルという金額はまあ、妥当なのかもなあと思ったのでした。(でも安くはないですけれど!)

 

 

感染経路は元を正せば人間

Ash Borer のせいで、北米の広範囲でAshが死んでいき、伐採されている現状ですが、そうやって一つの種類の木々が一気に消えていくというのは、そのために土壌の成分が変化したり、木々や森林が風を受けて空気が動く、その流れが変わったり、人間の生活には目に見えないところでかなりの環境の変化が起こるのだそうです。

 

外来の害虫や植物などが、輸出入とか旅行者などと一緒に入って来て、その土地の生来の生態系を壊す話はあちこちで聞かれる話です。

 

Ash Borer という昆虫は元々は東アジア、中国や日本みたいなところが原産地というか、本来住んでいる場所だったものが、輸出入などで入ってきた貨物のパレットか何かに付いてきたものが広まって感染したとか。

元来の環境である東アジアにいるAsh Borer には天敵もいるし木々も抵抗力があるとかで、特定の種類の木を皆殺しにする、、なんていうことは起こり得ないのだそうです。

 

でも、北米やヨーロッパに持ってこられたAsh Borer は、天敵もなく美味しい木々の食べ放題なんでしょうね。

 

f:id:casse-pied:20180907071327j:plain

 

上の方の枝の中に、Ash Borerによる被害を受けた部分が見られます。こうやって食い尽くして行ったんですね、憎っくきAsh Borer達。

 

伐採した木の後には、同じくらいのサイズになる木を植える義務があるので、次はどんな木を植えるべきか、ちょっと考えねばなりません。

害虫のいない無敵な木なんてありませんし。

 

 

モントリオール市のサイトには、木の状態によってどうするべきか、手続きのことなども結構詳しく説明がしてあります。

Ville de Montréal - Large Parks and Greening - Emerald Ash Borer

 

 

 

できることなら日本から野菜の種を持ち帰りたいと帰省するごとに心が揺れたりもしますが、やっぱりそういうことしちゃいけないんだ、と思い知る経験でした。


ヴィーガン ブログランキングへ