食いしん坊、北米でヴィーガンになる

北米で植物性食品を食べて強く生きる記録

温暖化する世界で、点と点とを繋げる会話

気候変動、変わりゆく地球環境 

カナダ出身で現在はテキサスにあるTexas Tech Universityの大気科学者(Atmospheric scientist)で政治学教授、Katharine Hayhoe氏。

TEDやFreakeconomicsなどによく登場して環境問題の話などされるので、ご存知の方も多いと思います。

 

このTexas Observerの記事を読んで、やっぱりこの方すごいなあと思ったのでここでご紹介させていただこうかと。

www.texasobserver.org

 

気候変動問題の話題が出ると、「気候変動は人類の経済活動の過程で排出されるグリーンハウスガスのせいで加速している」「気候変動の原因は経済活動とは関係ない、全ては自然の営み」という二派に別れますね。

 

そして「気候変動人災説」を標榜する者はアメリカで言えば民主党支持者、エリート、学者、金回りの良い左派、であり、「気候変動懐疑派」は共和党支持者、企業家など富豪な右派、労働者や農民など保守派、という立場の人たち、というのが大まかな構図です。

 

 

Hayhoe氏のアプローチは、学者として知っている事柄を無知な一般人にこれでもか、と伝えようとするものではありません。

彼女自身、父親が牧師だった家庭で育ったキリスト教信者であることもあり、気候変動という概念を否定しがちな保守派キリスト教徒たちを理解し敬意を払うことができるというのも大きいですが、彼女のアプローチの基本に「前向きなコミュニケーションをとる」という考え方があるのが大きいように思えます。

 

記事中でHayhoe氏は、人々は科学的な観測結果を全く理解できないのではなくて、温暖化につながるグリーンハウスガスを減らすための対策が「私たちの生活を悪くさせる」ことに繋がるだろうとか、国内の経済が波状して中国が世界を牛耳るようになるだろうとか、「解決策」=「我々の暮らしを悪化さる」と信じ込まされているのが問題だと言っています。

 

先月のアメリカの大統領選挙などで見せつけられたのは、政治家が人々に恐怖感を植え付けることで票を得ようとするということ。

 

でもこれは政治家に限らず、環境保護運動でも、動物愛護運動でも、恐ろしい絵図を見せつけて「ほらこんな恐ろしいことが行われているんだ、こんなことが続いても良いと思うかい?」と人々の恐怖感や嫌悪感をターゲットにしている例は多いです。

 

ところがHayhoe氏がいうのは、問題を解決するために行動を変えてみようかな、と人々が思うのはそこに希望があると感じられる時だということ。

これは社会心理学などなどでよく指摘されてきたことで、子育てとか自閉症の子供への対応の場面などで特に力説されていて、とっくの昔に知っているわよ、という人は多いと思います。

 

考えてみれば当然。

私もプラスティック・フリーJulyに参加して挑戦したり、なるべくプラスティックの使い捨てを避けるようにしていますけれど、周りであんまりにも無頓着に必要もない使い捨てプラスティックをガンガン使う人たちの様子を目にし続けると「一人で頑張ったって何も変わらない」と馬鹿馬鹿しく感じます。

でもそこでおしとどまれるのは、他にもプラスティックを減らそうとしている人たちが大勢存在するのを知っているし、あちこちの自治体や政府が使い捨てプラ禁止に動き出したりするのをみて微かな希望を再確認できるから。

 

 

Hayhoe氏がインタビューで参照しているデータでは、1980年以来発生している被害総額が1ビリオン・ダラー(日本円で103,639,000,000円)を超える自然災害の数はテキサスが一番多く、インタビューの時点(2019年12月)で106回以上を数えるということです。

広い国土の中でも、テキサスほど幅広くあらゆる自然災害を経験する州は他にないということですが、それにしても本当にすごい。

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参照元 https://www.ncdc.noaa.gov/billions/mapping

 

Hayhoe氏はテキサス州で現実として起きている気候変動の現象についてもわかりやすく指摘したうえで、人々の生活に即して、現在すでに我々が経験している自然現象や自然災害が将来どのように増加し、どの程度規模が拡大していくと予測されるのかを「将来に備えるために」「今のうちに対策を立てるために」伝えていくのが大切だと言います。

 

 

災害が多く、グリーンハウスガス排出も最悪な州にいて、どこに希望を見出すのか、という質問に対しては、実はテキサスはグリーンエナジーへの切り替えは順調に進んでいるという事実を指摘します。

  • ウェスト・テキサスの綿花農家たちが風力発電のターバインを設置し続けていること(政府から助成金が入るシステム)
  • 米国内最大の軍事基地、フォート・フッドでは2年前に風力と太陽エネルギーに切り替えて一億5千万ドルの税金を浮かせたこと
  • ダラス市の自治体運営や公共事業は100%クリーンエナジーであること
  • ダラス・フォートワース空港は北米で初のカーボン・ニュートラルな空港であること
  • 前年の州の電力発電グリッドの19.2%は風力と太陽光だったこと

 

などを揚げ、炭素ガス排出では国内最悪だけれども、そんな州ですらグリーンエナジーへの切り替えを成功させることができているという点に希望を見出していると。  

 

 

点と点とを繋げる会話、ぜひ見習いたいもの。


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Veganuaryまで2週間・モントリオールで入手できる外国ビール

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炊き込みご飯、粕汁、野菜炒めと糠漬け、偽キムチで夕飯
 
今年もあと2週間ほどになりました

しょっちゅう「もう**月も半ばすぎ、時間が経つのは早いねえ」と後ろ向いて焦っていますが、今回は「あと2週間ちょっとでVeganuaryです!」と前向いてみましょう。

 

Veganuaryとは、一月のJanuaryとVeganをくっつけた造語で、「一月の一ヶ月間だけヴィーガン食に挑戦してみましょう」という試み。

2014年に始まって以来、192カ国、1000000人以上もの人々がトライして来たとか。

この数字はリンク先のサイト↓に載っているものですから、公式に「挑戦に参加します」とクリックしてメールアドレスを登録した人の数でしょうから、話を聞いて試してみた人はもうちょっといるかもしれませんね。

私はヴィーガンなのでこれをきっかけに自分の食事を変えるということはありませんけれども、面白そうなので登録してみました。

手軽で美味しいヴィーガンのレシピやコツ、色々とメッセージを受けられる模様です。

veganuary.com

 

このブログはレシピブログでもなんでもない、ヴィーガンの食生活に興味がある方がせっかく見に来てもまるで参考にならない内容ですけれども、たまには参考になることも書いてみる努力をしてみましょう。

 

 

 
モントリオールで見かける日本のビール各種

一般的にビールはヴィーガンでは無いのですが、夫と話していてちょっと面白かったので書いてみます。

 

モントリオールにはモルソンというビール会社がありまして、これとトロントを本拠地としたラバットという会社がカナダの二大大手ビール会社です。

 

日本で言うとアサヒとキリンみたいな感じ。

 

 

昔からある大手ですので、カナダのどこの街のどんな酒屋でも置いてあると思います。

高級品や地域産だけを取り扱うような店以外ならば。

 

 

バーやレストランでも、大衆的なスポーツバーのような店だったらメニューに載っているビールはこう言った大手のものだけ、と言うこともよくあります。

 

日本でも似たような感じですよね。

 

 

 

日本出身の私はやっぱりモントリオールで最初に日本ブランドのビールが普通にSAQ(州営の酒屋)やデパナ(コンビニ)の棚に並ぶようになった時には「おおっ、日本のビール!」とちょっと喜んだ覚えがあります。

 

最初に出回った日本のビールはサッポロのラガーで、缶の形が真っ直ぐではなくて上の方がちょっと広がったようなちょっと特殊なデザインで、500mlではなくて650ml入り。

 

 

次に見たのがキリンの一番搾りで、これを見た時もちょっと嬉しかったですね。

 

アサヒを発見した頃には「大手のビールならそんなに珍しい気持ちもしない」とありがたみは感じず終い。

 

これは単に私個人が見かけた順番であって、ひょっとしたらカナダ全土に紹介され広まった順番とは限らないかもしれません。

 

 

最近はよくいくアジア系のスーパーに常備してあるのでサッポロばかり目にしますが、缶のサイズも350ml入りと500ml入りの普通の缶。

夫がたまに買って飲んでます。

 

 

私はモントリオールでは基本的に日本のビールを欲しいとは全く感じません。

なぜなら、全く美味しいと感じないのです。

空気が違うからかなあ、水かなあ、と不思議だったのですが、理由を知ったら納得です。

 

 

 

日本のビールは基本的にラガースタイルのビールで、それを製造している会社は日本のビール会社ではなくて、カナダにあるビール会社の工場。

 

サッポロはオンタリオの大手のスリーマンと言う会社が作っていますし、キリンは

ラバット、アサヒはモルソンです。

 

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Sleemanのサイトから拝借。格好いい缶と瓶!

 

モルソンとラバットのビール、私はどうも好きじゃ無いのです。

  

カナダで販売されているアメリカの水、いや、アメリカのビールの大手、バドワイザーなどもモルソンかラバット製、オランダ大手のハイネケンも、ドイツのあれもこれも、カナダで販売されてるものは大概がカナダの大工場で生産されています。

 

 

ああ言う大手のビールって基本的に特徴もないし、多分レシピはあるんでしょうけれど、大差ないだろうからどこででも作れるってことですよね。

 

外国のブランドということで、ちょっと目先の違うものを飲みたいな、という消費者に選んでもらいやすいのでしょうし、飲んでみたら飲み慣れた味だからこれ好きだわ、と思われるでしょうし、例えば同じチョコレートでもホリデーシーズンにはパッケージを変えて売り上げをあげる、というような、そういうマーケティング戦略なんでしょうね。

 

 

日本では地ビール、英語圏ではマイクロ

州境を超えてオンタリオやニューブランズウィックに行った時には、ケベックの地元でいつも飲んでる馴染みのビールは店には並んでいないもの、、、、という時代がかなり長く続きました。

 

夫の実家にクリスマスのたびに帰省する時とか、「あああ、オンタリオはビア・ストアに行かなきゃいけないし、買えるビールの種類はひどいし、あああ」と本当に嫌だったんですが、段々とそれが改善され、そのうちオンタリオもマイクロブリュワリーが増え始め、オンタリオに行った時のお気に入りビールも増えてきました。

 

ケベックでもいろんなマイクロブリュワリーが増えております。

 

日本でも地ビールというのが流行っていると聞くようになって何年も経ちます。

私はよく知りませんが、美味しいのもたくさんあるのでしょう。

 

日本からカナダへおいでの際には、是非是非、ラバットやらモルソンやらの二十四本入りが15ドルちょっととかの大バーゲン品ではなくて、滞在している土地のマイクロブリュワリーもしくは、せめて州内の中小ビール企業のものを試してくださいませ。

 

 

日本で試すべきマイクロブリュワリーも開拓したいですが、その前にいつ帰省できるのやら


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草の根運動のヒーローたち

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先日の出勤時の朝焼け。12月なのに異様に温い日々。
今年のゴールドマン環境賞受賞者の顔ぶれ

11月30日付の英国ガーディアン紙の記事で、今年の受賞者の顔ぶれが紹介されていました。

www.theguardian.com

 

ゴールドマン環境賞は、世界中で環境保護のために継続的かつ精力的に運動を展開している無名の、「普通の人々」のリーダーシップを応援するもの。

 

受賞者の人々はそれぞれの地域で無名なりに地域の人々やその国の政治家に訴えかけ、環境破壊につながる開発プロジェクトを阻止したり、保護活動が継続されるような条例や法律の成立を促したり、無名の人々でも多くの賛同者を得て環境保護への大きな一歩を達成できることを示してくれます。

 

今年の受賞者は;

Chibeze Ezekiel(ガーナ)「グリーンエナジーへの移行を」

Kristal Ambrose (バハマス)「プラスティック汚染を減らそう」

Leydy Pech (メキシコ)「GMO大豆による環境汚染にノーと言おう」

Lucie Pinson (フランス)「貯金と投資は倫理的に」

Nemonte Nenquimo (エクアドル)「アマゾン熱帯雨林を守ろう」

Paul Sein Twa (ミャンマー)「生物多様性とインディジナス・ピープルの自立を守ろう」

 

この賞の目的は受賞者たちの運動をサポートし、彼らの目的を達成しやすくすることでもありますので、こちらのページには彼らの運動の詳細と、どうやったらあなたも彼らをサポートできるのかが記されています。

www.goldmanprize.org

  

1989年から始まったゴールドマン環境賞、最近では女性、インディジナス・ピープル、黒人などの顔ぶれがぐんと増えているようです。

世界中のあらゆる文化圏の社会のなかで、比較的権力のない立場に置かれがちな人々がリーダーシップを発揮しているということですよね。

 

クリスタル・アンブローズ(バハマス)は海洋プラスティック汚染の深刻さに気がついて以来地域を巻き込んで海岸の清掃活動や、使い捨てプラスティックを考え直すことを人々に訴え続けている海洋学者。

カリビアンの小さな島に住む黒人女性という、いかにも影響力のない存在である彼女が、貧富の差、階級差、それ故の発言力のなさという壁を乗り越えて地域の人々に働きかけ、人々の認識を変え、バハマスでも今年、使い捨てプラスティック禁止の法律が成立することに。

 

アンブローズさんの活動の詳しい内容はこちら↓

www.theguardian.com

 

エクアドルのアマゾン熱帯雨林に住むインディジナス・ピープルのNemonte Nenquimoさんの受賞スピーチはこちら(英語字幕)

昨今は世界中のあらゆるインディジナス・ピープルがそれぞれの地域政府に働きかけていますね。

自然と親密に繋がった生活を続けている彼らの声が、「自然を征服する」西欧文明の影響を色濃くうけて生きている我々に届き始めているということだと思います。

ちなみにインディジネス・ピープルズというのは日本でカタカナで書いて通じるものなのかよくわからないのですが、辞書で日本語を探すと「原住民」「先住民族」など、語感が植民地主義的な時代遅れな感じが強くて、敬意を感じられないのですよ。

アメリカ大陸の「インディアン」は日本では「ネイティブ」になってたと思うのですが、ネイティブというのも最近はあまり使われず、やっぱりインディジネス・ピープルズ。

単なる名称なんですが、差別的な意識が伴う名称はやはり使いたくないもの。

 

 

フランスのLucie Pinsonさん 

グリーンハウスガス排出でも空気汚染でも悪名の高い石炭は、エネルギー源としては過去の遺物なはずですが、世界中では今でも多くの石炭発掘が行われています。

Lucie Pinsonさんは「一体どこの誰がこの産業に投資しているのだろう」と疑問に思い、調べてみたところ世界中の30〜50の金融企業が石炭産業に投資していて、中でもフランス国内の大手の銀行及び保険会社が石炭プロジェクトに巨額の投資と補償をしていることを知ります。

 

そこから始まった彼女の環境保護運動の様子はこちらのビデオで↓ 

ビデオのリンクは英語版ですが、彼女のスピーチとプロファイルビデオはフランス語版もありますのでゴールドマン環境賞のリンクで彼女のページを開いてご覧ください。

 

アマゾンに住んでるわけでもなく、政治的な活動ができる環境にもいない「普通の、無力な」私たちでも、自分が利用する銀行や保険会社が国内外でどんな事業に投資しているのかを把握して、自分の投資先、利用先の金融機関を倫理的な基準で選択することはできます。

 

 

ja.wikipedia.org

 

 

 


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キャンセルになったクリスマスと、贈り物

 

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夫作・ヴィーガン・シェパーズパイとインゲンの蒸したの。ナツメグ効いててうまい。
 
ケベックのクリスマスはキャンセルになりました

先月初めくらいでしたか、ルゴー州知事が「クリスマスは家族が集まる大切な一時、今年はパンデミックで辛い思いをした皆さん、一度に10人までの制限付きでクリスマスに集まることを許可しましょう」とヘンテコな太っ腹ぶりを示して州民やカナダの首相を驚かせ、ちょっとひと騒動になりました。

 

24日から27日までの間に限って家族や友達同士で集合してよろしいと。

 

ということは、ハヌカはどうなんですか?ユダヤ系の人たちも家族で集まりたい気持ちは同じでしょうし、他にもキリスト教徒以外の人々が集まりたいことに関しては?

 

という質問には「え?他の宗教?いやいや、これは宗教差別ではなくて、ケベックの伝統ですから、24日から27日限定ですよ」と。

 

こんなことを平気で言うからケベック人はレイシストだとか言われるんですよね。

 

集まって良い4日間の前後1週間は自主的に隔離してくれ、という規制付きでしたが、そんなの意味あるのか、とか、10人までと言ったって大家族なんかはそんなの無視して大勢集まるんじゃないの、とか、ここまで頑張ってきたのにクリスマス後に感染者数が激増して大変な思いをするだけだ、とか、非難轟々でした。

 

で、つい先日

「やっぱり危険ですからあの話は無しに」と、ケベックのクリスマス、キャンセルになりましたとさ。

 

中途半端に人々を喜ばせておいて、なんてこっちゃ。

 

元々クリスマスだからって集まるつもりはなかった我が家は別にガッカリも何もしませんけれど、知事の発言に振り回された人たちはやっぱり怒っている模様です。

 

正直な話、いくら知事や政府が良いですよって言い出したって、現状で室内でのクリスマスの集まりに招待されたとしても私は辞退します。

 

同様に、いくら政府がキャンセルだと言ったとて、集まるつもりで準備している人々は確実に存在しますからね、きっとまた感染者が増えることでしょう。

 

 

贈り物

日本は年末のお歳暮の時期でしょうか。

あの習慣には参加したことがなかったのですが、なんとなく皆が内心面倒くさいし出費がかさむし貰うものはいらないものばかりだし、と嫌がっていたように記憶していますが、本当のところはどうなんでしょう。

 

北米に来て、そういう風習はないもんだと思ったら、夫の実家にクリスマスに帰省することになって以来クリスマスのギフトを何人分も選んで買って包装してクリスマスツリーの下に押し込む、という苦行が始まったのでした。

 

そうそう、そしてクリスマス当日にはいらないギフトを受け取るんです。

 

お互いの好みなど知り尽くしているわけでもないし、当時は長距離バスで帰省していた我々にとっては、重たかったり嵩張ったりするギフトは正直迷惑に感じられるものでした。

 

子供だけでいいじゃない、お義母さんに提案しようよ、義妹一家にも提案しようよ、と毎年運動して、何年目かにようやく夫が「うちはギフト不参加にするから」と言い出して、それで大人同士はやめましょうという話が決まったのです。

でも蓋を開けてみたら義母から大人も含めてみんなに何やらやっぱり贈り物が。

義母の弟(大叔父?)はカソリックの神父という職業柄、イエズス会の修道院で毎年製造販売するクリスマスケーキを(多分売れ残らないように気を使っていくつも買うことにしていると思われます)義母の家に集まる家族全員にくれる習慣があったのですが、その習慣は急には止められないようでしたし。

結局例年通り重たいギフトバッグを持ってモントリオールに戻ってきたのでした。

 

 

贈り物って苦手です。

受け取るのが特に。

どうしていいのか困るのです。

 

気持ちを受け取れば良いと言いますけれど、気持ちだけくれたら良いのに、と、本当に思うんですよね。

贈り物をするのが好きな人がいるのも知ってますし、好意を無にするようなことを言ってはいけないと思うのですけれども。

 

 

職場での贈り物

 

職場ではたまーにクライアントさんが贈り物を持ってくることがあります。

受け取らないことになっているので毎回とても心苦しいのですが、断ります。

感謝の気持ちを表したいと言う、そこは嬉しいのですけれどね、物品に変換せず、ありがとう、と言葉で伝えてくれるだけで本当に十分嬉しいのです。

が、それでは不足だと思うんでしょうね。

 

私の職場はカナダ政府に登録してある正式なチャリティ団体なので、寄付と言う形でサポートしてくれるのは受け入れるのです。

でもそれでは個人的な繋がりを感じられないから(寄付されたお金は職場のクライアントのために使われるから)スタッフ個人に何かを贈りたいんでしょうね。

それを受け取らないのは個人的な繋がりを拒否されたように感じてしまうのでしょう。

 

 

 

我が家のクリスマス

今年は気分を盛り上げることを目指してますので、クリスマス・ストッキング(暖炉のあるお家では暖炉の当たりにぶら下げているアレ)を用意して、細々とお菓子とかチョコレートなどを入れてあります。

夫も密かに何やら入れている模様。

膨らんで行くのでバレてますが、内容はお互いに秘密です。

先日お茶碗が割れてしまったので、日本のお茶碗ぽく見えるカフェオレボウルを買ってきましたが、すぐに下さずに包んでクリスマスプレゼントっぽくツリーの下に置いてみました。

 

普段贈り物をやり取りしない我が家なので、夫は私が「プレゼント」オブジェを作って飾っただけだと思っているようです。

 

 

割れ物なので揺すったりどすんと衝撃を与えないようにとだけ伝えておきました。


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Amazonの森林伐採と大豆

 

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チックピー粉で作るヴィーガン・フリッタータとオーブン・フレンチフライズ。見かけはアレですがめちゃ美味しかった。
 
 
フランス「ブラジルの森林破壊の輸入をやめる」

フランスがブラジル産の大豆の輸入を大幅に削減する計画を発表しました。 

アマゾンの熱帯雨林が広大で果てしないエリアだったのは今は昔の物語で、森林伐採をして効率よく金儲けができる大豆などの栽培面積を拡大し続けるブラジル政府。

 

アマゾン森林破壊は本当に恐ろしい勢いで進んでいます。

 

森林保護をしていても収入は増えませんが、森林を伐採して大豆を植えたら輸出して収入を得られるとなれば、そりゃあブラジル政府も環境保護より経済活動を重視するでしょうし、「森林保護をせよ」と言ったその舌の根が乾かないうちに「そこで栽培した大豆を190万トン買いましょう。」というのでは、「森林保護をせよ」はリップサービスだと思われても仕方ありません。

 

というわけで、フランスは森林破壊の輸入をやめることにしたそうです。 

news.mongabay.com

 

記事によると、フランスは現在、EU最大のブラジル大豆粉の輸入国であり、年間190万トンを購入しています。

フランスからの売り上げが失われることはブラジルにとって厳しいでしょうけれど、それよりもブラジルのジャイール・ボルソナロ大統領が繰り返す反環境の発言と政策が、ブラジル産物の大規模な国際ボイコットを引き起こすのではないか、とそちらの懸念も大きいそうです。

 

 

大量の大豆はなんのため?

大農業国家フランス、国内でも大豆の生産は大々的に行われています。

そしてEU諸国に輸出しています。

自分の国で生産して輸出している大豆を、ブラジルから大量に輸入してフランスは何をしているんでしょう?

 

と素人の私は不思議に思います。

 

日本出身の私には「大豆の五目煮、豆腐、みそ、醤油、忘れちゃいけない、納豆と枝豆」という大豆ですが、世界的には人間の食糧に回るのはごく一部で、多くは別の用途に回ります。

 

ノース・キャロライナの大豆生産者組合のサイトに詳しく載っていましたのでまとめてみます(リンクとイラストも参照ください)

  • オイル(食用及びバイオディーゼル用)
  • ミール(オイルをとった糟)の大半が動物の飼料
  • ごく少量のミールは加工食品の材料
  • オイルの7割近くは加工食品の材料
  • 残りのオイルの大半はバイオディーゼル
  • 残りは工業資源として塗料、プラスティック、洗剤などの生産に

 

下のイラストはアメリカで生産された大豆の用途の内訳をわかりやすく解説してあります。

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大豆の用途の内訳表

ncsoy.org

これはノースキャロライナの大豆の話ですが、若干の違いはあれ、大体が同じような使われ方をしていると考えて良いと思います。

 

石油製品で作っていたものが大豆オイルに切り替えられているのですね。

マヨネーズ、マーガリン、サラダドレッシングなどの原料表には確かにソイ、って買いてあると思います。

お菓子とかチョコレートなんかにも使われてるんでしょうね。

 

 

フランスがブラジルから輸入する大豆は自国産の大豆とどう違うのか、詳しいことはわかりませんが、ひょっとしたら輸入は飼料用専用かもしれませんね。

 

 

大豆が動物の飼料になるわけ

大豆を絞って油をとると、その大豆の8割は搾りかすで、油は2割だけということですから、残った搾りかすを有効に利用しないと大量にゴミ(とロス)が出ます。

でも搾りかすでできることはやっぱり動物の餌が大半なんですね。

この「ミール」って製造プロセスが違うから「おから」にはならないんでしょうかね。

 

子供の頃オカラの炊いたんが大好きだったのですが、お豆腐屋さんからお豆腐を買うと無料でおまけしてもらえるものだったんですよね。

あれはうちがお得意さんだったからだと子供の私は思い込んでいたのですが、多分お豆腐屋さんは有り余るオカラの処理に困っていて、オカラが欲しいお客さんにはホイホイとあげていたのだろうと今は思います。

処理しきれないオカラは豚の餌になるんだ、と誰かが言っていたのも覚えています。

 

私はオカラが欲しいから豆腐を作ったりするんですけれど(最近は作ってませんが)モントリオールのどこかでオカラを販売してくれたら買うけどなあ。

オカラ、次のスーパーフードにならないかなあ。

 

大豆が動物の飼料にうってつけなのは、やっぱり値段も抑えられるしタンパク質も繊維質もたっぷりだからでしょうね。

まあそこにあるから、というのが大きいでしょうけど。

あと、80年大90年代には食肉用に屠殺した動物の死骸の食用にならない部分(骨、筋、脳や心臓などの内臓、尻尾など)を処理して(同じ種の)動物の餌にしていましたが、BSEなどの病気が蔓延したため、これらを餌にすることは広く禁じられましたので、大豆は有効な代替飼料になったんでしょう。

 

 

大豆オイルは石油よりクリーンか

石油がクリーンなエネルギー源ではないという認識はすでに定着してます。

それでも現在の人間の活動を支えるエネルギー源として、ずっと依存し続けてきていますから、気候変動の危機を目の前に「切り替えるべき!」といくら言っていてもすぐには難しい現実があります。

 

それでも1950年代の、石油が湯水のように手に入って何でもかんでも石油から作って喜んでいた頃に比べると、脱石油は進んでいますよね。

 

では何に切り替わったか。

ここで大豆とコーンが登場して便利に使われているわけですが、植物性のオイルは海底や砂漠を掘り出して真っ黒いオイルが湧いてくるのに比べると純粋でクリーンに感じますけれど、これを効率的に大量に生産しようとする事による弊害はやはり見過ごせません。

 

同じ土壌に同じ植物を繰り返し植え続ける、しかも自然界の多様性とは程遠い、モノカルチャーですから、土壌はすぐに疲弊してしまいます。

これに対して人間の「技術」「知恵」は農薬の濫用や「種の改良」という対策を打ち出しましたけれど、この弊害もあちこちで広く認識されるようになって久しいことです。

 

それでも大豆の生産は儲かるのでしょうね。

アマゾンの破壊のスピードと、そのために加速するグリーンハウスガス排出量(森林による抑制効果が失われるという点でも)を考えると、やはり大いに心配。

 

イギリスでも、ブラジルから仕入れた大豆ミールを餌としたチキンを食べることが森林破壊をサポートすることに繋がっていることに注目が集まっている模様です。

www.theguardian.com

 

消費者の知らないことだらけですが


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