五月ももうそろそろおしまいです。
職場では四月二十二日の前の一週間をEarth Weekとしてプラスティック公害についての認識を高め、問題意識を持っていただくキャンペーンをしましたが、最終日に上司から「今後、毎月二十二日を私たちのEarrth Dayということにしませんか?」という提案があり、毎月一回、地球環境について話し合う日というのを作りました。
で、先日の五月二十二日にはみんなの気持ちをリフレッシュしてもらうためのショートビデオを鑑賞し、その後プラスティック製の使い捨て生活用品のリストをあげて、自分が1週間にそれらをどれくらい使っているのか、年間を通して自分が使う量はどれくらいになっているものか、棚卸ししてもらいました。
そこで時間切れになったので、今回は「各自、何が減らせるだろうか、何を代わりに使えるだろうか、考えて見ましょう」でおしまいになりましたが、次回はPlastic Free Julyの前の月ということもあるので、どんなことを実行しやすいか、という話をして見たいと思います。
プラスティック=固いものではない
ガムに含まれるプラスティックについての記事を探していた時、日本語のQ&Aサイトのリンクの下に「ガムにプラスティックのような固いものが入っていたらガムが固くなってしまうのでは」というようなことが書かれているのを見かけました。
そうか、日本語でプラスティックといえば、硬いプラスティック製品という印象になっちゃうのでしたか。
受験生の皆さんは覚えているかもしれませんけれど、plasticという言葉には、一般的に言うプラスティックやビニールという物質やそこから派生した「クレジットカード」の意味合い、「人工的な」というような意味合いとは全く別に、
柔らかい、いかようにも形を変えられる、、、、(日本語は訳語として辞書に載っているものではなくて私が思いついたものなので、受験生は特に辞書で確認してください)
というような意味合いもあるのです。
ほら、ブレイン・プラスティシティBrain Plasticity とかNeuroplasticity (日本語では脳の可塑性、神経可塑性)という概念がありますね。
脳の神経細胞はとてもフレキシブルなので、リハビリなどで驚くような変化をもたらすことができるというアレです。
脳がプラスティックなんだよ、と言われたら、そういう意味なのです。
硬いとか石油製品だとかそういう意味ではありません。
石油の中にある色々な化学物質の構造を組み合わせて(改変して?)いろんな種類、いろんな形や硬度やサイズ、厚み(薄さ)に仕上げることのできる、使い勝手の良いミラクル素材として登場したモノですから、「いかようにも形を変えられる」という意味のプラスティックという言葉を名前として与えたんでしょうね。
長い前置きでしたが、ではガムに含まれるプラスティックについて、、、
UKのNetflixシリーズのChewing Gum作家で女優のMichela Coelさんの写真を拝借しましたが、本文とは、チューイング・ガムしか関係がありません。
こちらのサイトによると、チューイング・ガムだけで毎年10万トンにも及ぶプラスティック公害を排出しているとか。
Chewing Gum - 100,000 tonnes of Plastic Pollution every year - Just One Ocean
We are creating 100,000 tonnes of Plastic Pollution every year and it’s coming from your mouth!
People around the world have been chewing ‘gum like’ substances for thousands of years. The Ancient Greeks used to chew resin from the Mastic tree while the Aztecs and Mayans enjoyed chicle, a tree sap that they also used as an early form of adhesive. Native Americans chewed the resin from spruce trees and settlers quickly picked up the habit. By 1848 the first commercial chewing gum was being produced in America and before the turn of the 18th century a number of products were on the market, many of which, in name, are still in existence today.
Chicle was originally the raw ingredient of choice but as the need to chew expanded around the world supply was never going to meet the growing demand and by the 1950’s manufacturers were replacing it with a synthetic product. Nowadays, with the exception of a couple of ‘natural’ brands still made from chicle, all of the chewing gum on sale is made from butadiene-based synthetic rubber, a polymer, a plastic product made from oil, a bit like the stuff we use to make car tyres.
概略を日本語にして見ますと、、、
古代ギリシア人、アズテックやマヤ人、ネイティブ・アメリカン、など人類は古代から地球上のあちこちで、ガムのような物質を噛んできました。
大量生産のガムの需要が爆発的に拡大して以来、チクルという天然の樹液を使ったガムの製造は難しくなり、50年代までにはこれに変わる化学合成素材で代用するようになりました。
現代では一部を除き全てのガムはブタジエン系合成ゴムという自動車のタイヤの原料のような石油素材のポリマーから作られています。
そうです、歯磨き粉に、とかスクラブ系洗顔料に、などと驚いていましたが、チューイング・ガムは、もろに口の中でくちゃくちゃと噛み続けるプラスティック製品だったんです。
びっくりしますね。
こちらのサイトには、ガムは何でできているのか、さらにシンプルに述べてあります。
Chewing gum is basically plastic doped with flavours and colourings. It is non-digestible and water insoluble, which means you can carry on gnashing away at the stuff and it never seems to break down. This indestructible property comes from the gum base, the exact ingredients of which are usually a trade secret. However they generally contain:
Fillers: Calcium carbonate or magnesium silicate (talc) provide texture and bulk. If the gum has acidic flavours, then talc is used. This is because calcium carbonate would react and produce carbon dioxide gas.
Elastomers: These are long polymer molecules with elastic properties. Until WWII, chewing gums used a natural latex derived from sapodilla trees, but since then synthetic elastomers, such as polyvinyl acetate, are preferred.
Emulsifiers: These help to keep other ingredients, including flavours and colourings, nicely mixed and also impart some anti-stick properties.
Softeners: Compounds such as vegetable oil and lecithin are added to the gum base to keep everything soft and chewy. Masticate for too long and these can get washed away, leaving you with an overly stiff piece of gum.
フィラー(つなぎ、カサ増やし):に炭化カルシウムかケイ酸マグネシウムが入っています。酸っぱい味の場合はケイ酸マグネシウムだそうです。
エラストマー(伸縮性を与えるもの):伸縮性のあるポリマー、ポリ酢酸ビニルがよく使われているようです。
エマルシファイア(乳化剤):フレーバーや食紅などの添加物とガム本体が塩梅よく混ざりあい、さらにくっつきすぎない性質を添えるために乳化剤各種が使われます。
ソフトナー:柔らかさや歯ごたえを調整するために植物油やレシチンなどが加えられます。ガムを長く噛み続けると硬くなっていくのは、噛み続けるうちにこのソフトナーが流れていってしまうため。
天然素材のチクルの代替品プラスティックについては、製造会社では「ガムベース」などと呼んで内容をはっきり表示しないでやり過ごしているようですが、やっぱりプラスティックなんです。
飲み込むものじゃないから問題視されてこなかったんでしょうね。
プラスティックの人体への害が囁かれるようになってしばらくたちますから、ちょっとのんびりしすぎな気もしますが。。
食品パッケージ問題でもそうですが、人体へ及ぼす影響への危惧と同様、使用後のプラスティックゴミが地球環境へ及ぼす害に関しての認識がぐんぐん広まりかつ定着している昨今、ガムの中のプラスティックもそろそろ無視できなくなってきたということでしょう。
道端や学校の廊下などにポイ捨てされたガムを踏んでしまって嫌な思いをした経験のある方は少なくないと思うのですが、ゴミになったガムは他のプラスティック同様、永遠に生分解されず、水にも解けず、、、、
道端に落ちていたチューイング・ガムから靴を作っているお話も。
1キロほどの使用済みチューイング・ガムで靴が4足できるそうです。笑
ガムを噛むのがお好きな方や、小さなお子さんがいらっしゃってガムを買い与えることがたまにある方にとっては、ちょっと聞き捨てならないですよね。
では 石油製品で出来ていないガムは存在するのか、といえば、、、
このサイトにリストされている8つのガム、私はガムを探してお店に入ったことがないので、うちの街にもあるものなのか、それとも地域限定なのかわかりませんが、値段も割と普通な感じでしたので、本当にガムがやめられない方には朗報ですかね。
加工食品は本当に何が入ってるんだかわかりゃしないですね。