デイヴィッド・スズキ
私はカナダに来るまで彼のことを知りませんでしたが自然科学や環境保護運動に関心のあるカナダ在住の人々にとっては、大変影響力のある有名人。
カナダ人たちの間では知らない人はいないと思われるCBCのテレビシリーズThe Nature of Thingsで自然の営みの面白さや素晴らしさをわかりやすく解説してくれます。
今Wikipediaで見たら、五十カ国で放映されているとか。
ひょっとして日本でも?
何年か前にオタワで行われた環境マーチに参加した折、デイヴィッド・スズキ氏がステージに登場したのですが、人々の間から沸き起こる歓声がすごくて、デイヴィッドおじさん、環境運動界のロックスターだなあ、と。
2004年頃、CBCの番組で半年以上にわたる選考プロセスが始まったThe Greatest Canadian(一番偉大なカナダ人)候補の10人の一人にノミネートされていましたね。
もう16年も前の話なんですねえ、懐かしい。
アレクサンダー・グレアム・ベルってカナダ人だったんですねえ(↓リンク参照)
ウェイン・グレツキー(引退したホッケー選手)が入ってるあたりカナダですやっぱり。
環境問題への取り組みや、啓蒙活動など精力的に継続されていますから、自然環境へ敬意を抱く人々にとってはやはり親しみというか尊敬の念を感じないではいられない存在です。
そのスズキ氏によるカナダ政府の使い捨てプラスティック禁止計画へのクリティークを見つけまして、早速読んでみました。
カナダ連邦政府は2021年末までに特定の使い捨てプラスティック製品の使用を禁止すると発表しましたが、そこで特定されているアイテムの中には水やソフトドリンクなどのプラスティックボトルは入っていません。
これに対する批判と、プラスティックボトルはリサイクルしやすいアイテムだから禁止にならなくても良い、ボトル入りの水は災害時や水道インフラの整備されていないファーストネイションズのテリトリーに住む人びとにとっては欠かせないものである、などといった意見が飛び交っています。(連邦政府はテリトリーなどの水道施設の完備も2021年3月までに達成する計画だったそうですが、パンデミックによって難しい状況とか。)
記事中で目を引いたのは、
As for recycling, of the 5.3 million bottles of water Canadians buy each day, much of it ends up in the environment, as do the enormous quantities of other plastic-bottled beverages.
消費されたボトル入り飲料の多くがゴミになっていること自体は驚きませんが、カナダだけで毎日ボトル入りの水が5,300,000本が消費されているんですね。
ここにはソフトドリンクの本数は入ってませんから、恐ろしい数です。
単位間違ってませんよね、ミリオンは0は六つですからね。
UNによると2020年のカナダの人口は37,742,154人だそうですから、これが日本、アメリカ、英国など、人口がもっと多い国だとどうなんでしょうね。
水だけですよ。
ソフトドリンクを入れたらどんな数字になることやら。
そしてリサイクルするために必要なエネルギー量やリサイクルすることで劣化してしまうというプラスティックの特性を考慮すると、新たに石油からプラスティックを製造する方がコストの面では効率が良い=企業がリサイクルではなく新たなプラスティック製造を続ける動機になることを指摘しているのですが、そこには
But it takes more water to create a plastic bottle than the bottle will hold, and the energy required to produce a bottle of water is 2,000 times that to produce the same amount of tap water.
ボトルの容量を超える量の水がプラスティックボトルの製造には必要とされ、ボトル入りの飲料水を製造するためにはそのボトル入りの水と同量の水道水の供給に要する熱量の二千倍を必要とする、とあります。
インフラストラクチャーが整備されている市町村に住んで税金払ってるんだから、水道水もありがたく使わせてもらってますけれど、今からワイルドウエストを開拓して水道事業を始めるわけでもない以上、ボトル入りの水が必要というのは本当に特殊な条件でしかありません。
水道水よりもボトル入りの水の方が安全だと思っている人たちも存在しますが、記事によれば水道水の方がボトル入りよりもはるかに安全基準が高く、水質検査も頻繁に行われているとか。
以前書いた記事でも触れたことですが、ボトル入りの水のほとんどが市町村が管理する飲料水システムを水源としていますから、水道水を携帯用にした商品をあえて買う必要はどこにあるのか。
プラスティック汚染で汚れた地球に住む我々。
そこで収穫される食料を食べて生きている我々の体内にもマイクロプラスティックは入り込んでいますが、この記事によると、人々は1週間にクレジットカード1枚分相当のプラスティックを食べているという報告もあるそうです。
連邦政府は一般市民の声にも耳を傾けています。
見えないところにゴミを捨てても地球は繋がっているので、ゴミは戻って来ている。