ミラノで保護された1歳の男児
ヴィーガン・ダイエットで育てられ、1歳なのに体重が5キロしかなく、かなり栄養失調な状態だった男児が先日保護されたという報道がありました。
1歳児っていうことは、つい最近まで母乳じゃなかったのかな?とも思うのですが、この話に関しては詳しい記事などは読んでいないのでわかりません。
そして今度はイタリアで、16歳以下の子供にヴィーガン・ダイエットを与える親は法律で罰せられることになったらしい、、、というスキャンダラスなヘッドラインをネット上で見かけました。
この記事を読んでみましたよ。
この法案を出したのは、中道右派のForza Italia党の議員エルヴィラ・サヴィノという人で、法案が通れば、16歳以下の子供に不適切な食事をさせる親たちを最高で懲役6年の刑で罰することができるようになります。
彼女の狙いは、保護者である親によって押し付けられる無謀で危険な食事習慣は未成年者にとって有害であるという認識を定着させようというものだと報道されており、ヴィーガン・ダイエットはこのような「食事習慣」に含まれるようです。
サヴィノ氏はヴィーガン・ダイエットに反対しているわけではないようで、この法案の前書きには「ヴィーガン・ダイエット(最も厳格なヴィーガン・ダイエットを含め)は健康にとって大変有意義な利益をもたらす」と書いているようです。
要するに大人が自分の判断で食事習慣を決めることは問題ではなく、子供を巻き込むことに問題があるのだと言っているのだそうです。
Italian Society of Food Scienceという機関は、サヴィノ氏の主張を退け、ヴィーガン・ダイエットの危険性よりもむしろ、糖分や脂肪分を多く含む食事習慣の方がよっぽど危険だという見解をあらわしたそうです。
この法案が登場するまでに、イタリアではつい最近の1歳児の報道以外にも、ヴィーガンの親元で栄養失調状態で育てられていた幼児の例がいくつかあるようですね。
ヴィーガンの大人にだって、栄養失調状態の人はやはりいるでしょうけれど、大人だったら自分の責任ですからね。
でもこれが、大人に与えられたものを食べて生きている幼児だったら、やっぱりひどすぎます。ガリガリの小さな子供を見たら誰だって「なんてことだ!」と怒りを感じます。
一方で、ヴィーガンで子供を健康に育てている親だってちゃんと居ると思うのですが、そういう人たちにしてみればいい迷惑な法案ですよね。
妊婦や新生児のお母さんがヴィーガンだった場合は、ヴィーガンでは摂取できない栄養素、もしくは摂取が難しくなる栄養素について、きっちりと指導するとか、そういう方向には持っていけないもんでしょうかね。
Italian Society of Food Science という機関がどういうものなのか知りませんが、政府関連の機関(日本で言えば厚生省でしょうか、カナダではHealth Canadaかな)ならば、それこそ高脂肪・糖分過多な食事習慣の害とともにヴィーガン・ダイエットの注意点をきちんと妊婦や新生児の母親たちに指導するべきだと思います。
数年前に日本で出産した知人が言ってたのですが、産院では粉ミルクのサンプルをたくさんもらったんだとか。
これって、70年代くらいにかなりスキャンダルだった、ネスレの粉ミルク問題そのものです。
現代の日本では、まさか昔の発展途上国のように「母乳よりも粉ミルクの方が栄養価が高く赤ちゃんのためにもいい」という話はまかり通っていないと思うのですが、それでも母乳の出が悪い時に使える、とか、そういう触れ込みで便利な品物として売り込むことはできるんでしょうね。
こういった大企業がお金を儲けるための活動はどこまでもはびこるのに、なぜ政府主導の健康指導は広まらないのでしょうか。
アメリカなんかの場合は、民間の大企業の力の方が強いから政府機関のやる事や言う事も怪しいっていう話もありますけれど。
ヴィーガンで栄養失調のイタリアの子供たちの話はそれはもう気の毒ですけれど、先進諸国の肥満児たちはどうなんでしょうね。
太ってるとそれほど気の毒には見えませんけれど、小さな頃から糖尿病だのコレステロールだの、中年の大人のような病気で不健康な子供たちがたくさんいます。
今更「アメリカの**州で3歳なのに糖尿病とコレステロール過多で心臓機能に問題が有る子供が**人発見されました」なんて報道は聞きませんが、だからと言って問題がなくなったわけじゃない。
現代人の食べ物、特に加工品の添加物などの健康への弊害だって、ずいぶん以前から誰もが認識している問題ですけれど、これに関しても「子供にジャンクフードばっかり食べさせる親は処罰されるべき」とか、そういう動きは一切ありません。
いや、法で処罰するべきだと思っているのではありませんよ。
ジャンクフードばかり食べさせることの弊害をしっかり広めるとか、ジャンクフードや過度な加工品以外の食品には消費税をかけないようにする、とか、何か方法があるように思います。
あ、イタリアでは消費税はどうなんでしょうね。
カナダではクッキーとかポテトチップスのような、菓子類は消費税がかかりますが、トマトやニンジン、米や肉、魚などという食品類には消費税がかかりません。
それでもジャンクフードの売りげ自体はそれほど変わらないかもしれませんけれど、きちんとしたご飯を子供に食べさせようと思った時、一般的な食品が非課税だとやはり少しでも安く買い物することが可能ですからね。
大人の食習慣の弊害が子供に押し付けられることは大問題、というサヴィノ氏の考え方自体はよくわかりますが、弊害のある食習慣全般をきちんと把握して、問題に向き合うべきだろうと思います。
子供たちには満遍なく必要な栄養が必要なだけ(過度なく)与えられるべきだという点に同意しない親はいないと思いますが、では何がどれだけ必要なんだ、ということをしっかりと理解し行動に移している親ばかりではないというのが現状だと思うのです。
子供のために最善を尽くしたいと思っている親でも、栄養のことをしっかりと調べられない状況にいる人たちだっているでしょうし、調べてもよく分からないということもあります。
何せ本だってネットの情報だって、これが体にいいというものがあれば同じものが健康を害する隠れた毒なのだというものもあり、何を信じればいいのか分からないご時世ですから。
子供だけではなく、誰かに自分が作った食事、自分が選択した食べ物を与える立場になることって、責任重大だなとつくづく感じます。