自分じゃない人の台所
実家へ帰ると、親のシステムが自分のとかなり異なるので戸惑います。
めったに帰省しないし、長居しないので、親の台所は毎回ミステリーワールドでした。
数年前に父が心臓発作で手術した折に大急ぎで帰省し、どこにも遊びに行かずに2週間ほど滞在したころに、初めて皿はどこでコーヒーを淹れる道具はどこに入っているのか、など把握したのでした。
なので今回は少しはわかっているのですが、それでも色々とわからないことは多いです。
昔住んでいた大きな田舎の家から15年ほど前に引っ越してきたわが親、収納のサイズが格段に減り、それなのに捨てきれなかったあれこれを持ってきて、台所の収納がかなり厳しくて、そのせいでかなり大変そうなのです。
昔は友人や親せきを招いて大勢で食事したりして、そういう時に使った大鉢や大きなサラダボウルなど、そういうものもぎゅうぎゅうと収納されていました。
兄が新築した二世帯住宅の、親用の小さめなところに住んでいて、昔のようにお友達を大勢招待することもなくなっていますから、そんな大鉢どうするの、と聞いてみましたが、兄一家が大勢で食事会でもするときに便利かも、なんて言うんですよ。
兄一家は彼らの好きな食器を持ってるだろうし、きっととっといても使う機会が来たときには「あれ、あれがあったけど、どこだったっけ」なんて言って見つけられないで役に立たないかもしれないよ、なんて言って、処分してもらいました。
それでも気に入っていたガラスのボウルとか、名残惜しそうにする母に、じゃあ兄一家がもし気に入ったらもらってもらおうか、と提案。
やはりね、気に入りの食器がごみになるというのは悲しいです。
ひょっとしたら使ってもらえるかもしれないということで、少し踏ん切りがついた模様。
重いものを高いところから取り出すとか、下のほうの奥のほうから何かを取り出すとか、そういうことが段々と危険になりつつある年代の親に、なるべく危険がなく、物の出し入れが億劫でなく、快適な台所で過ごしてほしいと思うのですが、思い出の品とかお気に入りの器とか、処分するのはなかなかつらいものがありますよね。
何しろ狭いのに物が溢れている台所で、冷蔵庫もご多分に漏れず常にいろいろ入っています。
庫内のあちこちに大中のタッパに入って収納されていたのはブルーベリー。
庭にあるブルーベリーが今年も豊作で、毎日毎日両手に抱えるほど収穫できる日々だったようで、家族が気が向いたときに食べる程度では消費しきれなかった様子。
この大量のブルーベリーを早いところ消費しなきゃ、ということで、ブルーベリータルトを作ってみました。
参考にしたのはこちら
ヴィーガン料理ビデオで、とても美しい映像でシンプルにレシピを発信していらっしゃるRyoya Takashimaさんのもの。
材料代替
モントリオールの家には売るほどあるデーツも葛粉も、実家にはありませんでしたので、デーツはドライ・フィグで代用し、葛粉の代わりは片栗粉で。
それに、カシューナッツは私は倫理上使いたくない素材ですので使わず、ココナッツミルクも地元のスーパーで探すエネルギーが残っていなかったので、豆乳で。
考えてみたらカシューナッツは代替品なにも使ってませんでしたね。
豆乳をレシピの200グラムより多く330グラムほど使いましたが、カシューナッツと水でカシュークリームっぽいものを作る感じなのだとしたら、私のレシピはちょっと水っぽいかもしれません。
固まらなかったらチアシードでも入れてそれで固まるかしら、なんていう邪心もありましたが、そんなもの入れずとも固まりました。
ブルーベリーは生のまま入れるのが200グラムとありますが、私はもっとたっぷり入れ、葛粉とアガーパウダーと一緒に加熱する分(ビデオには分量がありません)はたぶん日本の2カップくらい入れました。
日本のレシピは、北米のものよりも全体的にかなり分量が少なめです。
おかずなどはまだしも、デザートになると、型のサイズからしてかなり小ぶり。
日本の親の台所にいるので、それは問題ないはずなのですが、今回は親が持っていたパイレックスの正方形のパイディッシュを利用したため、レシピを5割増ししました。
台の部分はデーツじゃなくてドライフィグで代用したせいか、ちょっとモロモロと崩れてしまって、まったく台の役目は果たせませんでした。
上の部分は代替材料でもきちんとかたまり、包丁できれいに切れました。
のど越しさっぱり、暑い夏には良いデザートでした~