食いしん坊、北米でヴィーガンになる

北米で植物性食品を食べて強く生きる記録

一線を超えない日本、線なんてないカナダ

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なすと車麩の焼いてタレを絡めたものと昆布ご飯と味噌汁、茶色づくし。

 

日本人とカナダ人は似てる所がある説

たまに日本の人が言いますね。

優しい人が多いから、人に気兼ねする人が多いから、とか。

カナダの人は、自他ともに認める「すぐにソーリーって言うよね」な人々でもあります。

優しくて気兼ねしたり遠慮したりする人って日本やカナダに限らず世界中どこにでもいますけどね。

 

一方で、カナダの人にたまに言われます「家の中で靴脱ぐの、カナダでも普通だよ」なんて。

 

我が家に初めて遊びにくることになった人に(夫が牽制して)「うちは土禁だから」と言った時などによく返ってきます、このセリフ。

 

家に帰ったら靴を脱いでから家の中に入るなんて、日本だけじゃないよ、普通よ、普通。

 

それは本当のことです。

 

多くの地域で基本的に冬は雪が常に積もっているカナダ。

冬場、家に帰り着く頃にはブーツには雪のみならず除雪用に撒かれている塩や薬品や小さな石ころがたくさんくっついています。

このまま室内に歩いて入れば、一瞬で家中の床が大変なことになりますから、大概の人は玄関を入ったらそこでブーツを脱ぎます。

 

 

一般の家庭だけでなく、私が通ってるカイロプラクティスの医院は入口を入ったところにブーツ置き場があり、患者さんはそこでブーツを脱いで靴下で歩き回ります。

靴下で歩きたくない人はブーツ置き場脇に置いてある靴カバーを靴下の上に使います。

靴カバーというのは普通は靴を脱ぎたくない人が靴の上に装着して室内を歩くために作られたもの。

 

電気のメーターを読みにきた電気会社の人とか、ちょっとした用事で他人の家を出入りする仕事の人たちがいちいち靴を脱ぎ着しなくて良いように使うのを見かけます。

こう言う感じで↓

 

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土足の上に取り付けるのが基本スタイル

こう言うものが存在するのを知らなかった頃、水道屋さんだったか電気工事の人だったかがうちに来て作業をしなきゃいけないと言うことになり、その時は夏だったのか、そのまま上がりそうになったのです。

 

夫がすかさず「うちは土足禁止なので靴脱いでもらえます?」と聞くと、作業員氏は編み上げブーツなので、いちいち脱ぎたくないと。

 

咄嗟にスーパーのレジ袋を2枚手渡して「じゃあこれ被せて入ってください」とお願いした夫。

作業員氏も「ああ、そうしましょ」とブーツの上に袋をかぶせてのしのしと家の中に入ってくれました。

 

 

靴を脱ぐ=下着姿?

他人の家に入って靴を脱ぎたくない、という心理は確かにこちらの人々の間には強くあるような気もします。

下着姿になるような気分というような恥じらいなのか。

あとは知らない家の床がどこまで綺麗なのか信用できかねるから靴下で歩き回って変な虫とかもらってきたくないとか、そういうような理由なのかも。

 

ジャパレスなどで靴を脱いで上がる部屋があるレストランを嫌がる友人が「一緒に食事する人たちの足の匂いを間近で感じることになるじゃないの、嫌だわ〜」というのを聞いて「え?みんな足が臭いという前提?」と驚いたこともあります。

 

そういう心理がある一方で冬場は人んちに入ったらブーツを脱ぐのは当然よ、という常識もあるわけですね。

 

うちにはお客さん用にスリッパが何セットかあるのですが、「自分に貸してくれる前に誰が使ったかわからないスリッパを使う気になれない」と辞退されることもあります。

まあそりゃそうか。

 

 

スリッパ的靴と、境界線のないカナダの内と外

うちは夫も私も友人のお宅で食事だとかパーティーだとかいう場合は、スリッパ持参で行きます。

スリッパではなくて、普通の靴を持ってくる人もたまにいます。

これは、雪道を歩いてきた汚れてるブーツじゃなくて、乾いている靴だから平気でしょという意味で、スリッパと同じ格付けです。

 

ここで日本の土足禁止とカナダの土足禁止の違いがじわじわと明らかに。

そうなんですよ、カナダには別に家の中に畳の部屋があるわけでもないので、ぱっと見綺麗で乾いている靴ならば、入口でスノーブーツを脱いで履き替えて、それで室内を歩き回るのは「靴を脱いで家に入る」範疇に入っちゃうようです。 

 

日本では、玄関を入って土間で靴を脱いだら、靴下だけの足は土間には踏み込まず、室内と見做される床の上や入り口にちょっと置いてある小さな敷物の上とかに着地しますよね。

いくら靴を脱いだって、その靴で歩き回っていた土間のところに靴下で着地したら意味がない、と思いますよね。

 

同様に、靴で床や敷物に踏み込んでから靴を脱ぐ、という人もあまり見聞きしませんよね。

 

 

カナダで我が家に訪問する親類友人知人、作業員、全ての人々(と言い切ろう)にこの「土間=外、床や敷もの=中」の境界線がないんです。

 

ずっと一緒に暮らしているので夫はそこらへんをきちんと理解していて、私(諦めてるのでいちいち説明しない)の横で訪問者に対して「ここに見えない線があるんですよ。この線からこっちはインサイドなので靴で踏み込まないで、この線からそっちはアウトサイドなので靴下で着地してはいけないんですよ、わかりますか?」と。

 

 

これをやられると皆して「ええ?どうしちゃったの?なんで急にそんな細かいことを?」と引きます。

 

私はそこまで説明する情熱がないので「もういいって、気にしないから」と放り出すんですが、夫は面白がってる節もあって、日本では土足は汚いと見做されており、室内には汚れを持ち込みたくないため、靴下でクロスコンタミネーションすることも避けなければいけないのである、と説明します。

 

カナダで靴やスノーブーツを脱いで上がる人たちの、多分100%は靴脱ぎ動作をしている同じスポットに靴下で着地しますから、この時に雪で濡れてる土間に靴下が触れて足がちょっと濡れてしまったり靴下がちょっと汚れてしまうことだって大いにあるんですが、気にしてる人を見たことがありません。

雪も積もってない季節なら尚更、なんでここに靴下で立ってはいけないなんて言い出すのか?てなもんです。

 

「内と外の境界線」を説明する時に理屈っぽくならないために夫と私が考えついた説明は「この線からこっち(外)には黒いペンキが塗られたばかりだと想定してください。ペンキがついてる靴や靴下のままそっち(内)に踏み込んだら、黒いペンキがそっちにつくでしょ、だから、靴を脱いだその靴下の足先はぐいっと床板の上まで持っていって着地してください」

 

でもね、この説明でビジュアライズできて「ほお〜納得」って言ってくれたのは夫の弟たちくらいで、他の人たちはやっぱり「あれ、この人こんなに細かくて神経質なこという人じゃなかったはずだけどな、なんだろう?」って感じでちょっと引いちゃう感じだと思います。

 

 

 

友人の一人には「きゃすぴえ、君の家の中で靴を履くなと俺にいうのは君の権利だし言うことを聞きましょう。でも靴を脱いだ俺に靴下のままで庭に出るなって言われたって、家の外で何を履くか履かないかは俺の自由だから、君に口出しされる言われはないんだよ。」

と言われたことがあります。

ここまで理屈っぽいのは彼だけですし、カナダに何十年も暮らしてますけど彼は実は****人なので、これはカナダ人ってこうよね、の例には使えない逸話ですけどね。

 

 

 

まあ結局は素足で庭をうろついてたり、室内で靴を履いていたりしても「家の中は土禁、カナダもそうだよ」なんですよ。


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