食いしん坊、北米でヴィーガンになる

北米で植物性食品を食べて強く生きる記録

押収した象牙を燃やす・止まらない象の密猟

 

ビデオインスタレーションの画面。
2016年四月三十日、ナイロビ、ケニア

冒頭の写真は先日モントリオールの美術館で目にしたビデオインスタレーションの画面です。

 

燃えているのは象牙。

 

ビデオ作品のアーティストはJennifer Baichwal 氏と Nicholas de Pencier 氏、2018年の作品Elephant Tusk Burn, Nairobi National Park, Kenya。

 

以下はインスタレーションのキャプションです。

For centuries, the demand for ivory has caused great suffering to innumerable elephants. China is the world's largest customer for ivory. On April 30, 2016, 105 tons of seized poached tusks from approximately 10,000 elephants were destroyed in Nairobi National Park during an impressive public ceremony. The tusks, methodically arranged on metallic pyramids, were burned as if on funeral pyres. The event, widely covered by the media, was intended to make the general public more aware of the struggle to eliminate elephant poaching. With this symbolic gesture, the presidents of Kenya and Gabon wished to alert the whole world to the gravity of the traffic in ivory.

The survival of about 500,000 African elephants is at stake.

(何世紀もの間、象牙の需要は無数の象に大きな苦難を与えてきた。中国は世界最大の象牙の顧客である。2016年4月30日、押収された105トン(約10,000頭分)の密猟牙が、ナイロビ国立公園で開催された公開式典で破壊された。金属製のピラミッドに整然と並べられた牙は、まるで葬儀の火葬のように燃やされた。メディアでも大きく取り上げられたこのイベントは、人々にゾウの密猟を撲滅するための闘いをもっと知ってもらうことを目的としていた。この象徴的なジェスチャーによって、ケニアとガボンの大統領は象牙の密猟の深刻さを全世界に警告したかったのだ。

約50万頭のアフリカゾウの生存が危機に瀕しています。)

 

そんなセレモニーがあったことなんてまるで知らずにいましたので、びっくりしました。

2016年の四月って何してたんでしょう、メディアでも大きく取り上げられた、とありますが、ググってみたらNYT, The Guardian, BBC, NPR, CNNなどなどのリンクがゾロゾロと出てきました。

 

www.npr.org

インスタレーションのキャプション、二行目に「世界で最大の買い手は中国」とあり、いきなり名指しで 避難していてちょっとびっくりしましたが、日本も実は象牙の流通は合法で、象牙細工をする職人さんなどがいて、「伝統文化」なのだと言う認識があるらしいと言うことはちょっと前に知ってかなり衝撃を受けたのでした。

日本は中国より人口も経済規模も小さいですから、最大の買い手という汚名は免れましたが、バブル経済の頃だったら槍玉に上がってたのは日本かも。

 

casse-pied.hatenablog.com

 

WWFのサイト↓によると、中国が世界最大の象牙の買い手であるとはいえ、実は日本から流れているという流れがあり、象の密猟と象牙取引には日本は結構大きく関わっているようです。

www.wwf.or.jp

環境省のサイトでは、日本が中国への象牙の流入の要所として機能しているという指摘には根拠がないとしています。

環境省のサイトには日本での取引量がこのように説明されています。

日本は過去に、1.ワシントン条約の締約国となって以降(1980年11月4日発効)、象牙の国際取引禁止までの間(1981~1989年)に約2,006 トン(※2)、2.その後、特別に認められた2回(1999年と2009年)の取引(ワンオフセール又はワンオフトレードと呼ばれています)により約89トンの象牙を輸入しています。 なお、1980年より前にも象牙は国内に輸入されています。また、条約適用前に取得されたものとして輸出国が証明書を発行し輸出を認めたものについては、1990年以降も輸入が認められています。 

www.env.go.jp 

「過去に輸入した合法な象牙が存在するのに危険を冒してまで密猟につながる象牙を日本に持ち込む業者がいるとは考えにくい」というような環境省の見方とは異なり、WWFのサイトは、過去の調査から「日本の象牙市場は、主に中国に向けた密輸出の温床となっている」としていますが、調査結果をもとにそう言ってるサイトと、「証拠はない」「考えにくい」と書いてるサイト、どっちが信憑性があるでしょう。

 

ビデオインスタレーションの画面
燃やすべきだったのかどうか

この処理には反対の意見もあったようです。

 

確かに、これだけ大量に何かが燃やされているのは劇的な効果がありますが、ものすごい量の煙とCO2が排出されているわけで、この場にいた人たちはものすごい匂いも体験して大丈夫だったのかな、という思いもよぎりました。

 

世界で流通する象牙の市場価値の5%に相当する量が燃やされたということで、その分流通している象牙の価値が上がり、密猟の増加につながるという経済効果を生み出してしまうという意見なども。

 

賛成する人たちは、押収されて保管されているはずの象牙がまた別の市場で押収されたりすることが後をたたず、保管庫の鍵を持っている役人が賄賂を受け取って横流しするのを防止することはかなり難しいなど、破壊せずに保管し続けることは象牙の違法取引を止めることにつながらないと指摘。

 

破壊する方が良いとするにしても、燃やすという手段は、象牙取引の問題をアピールする劇的な効果があるとはいえ、やはり最適な手段ではないのかもしれません。

 

実際このセレモニーから7年四ヶ月後ですけれど、このインスタレーションの前を通りかかった人間(私)に衝撃を与えて足を止めさせ、キャプションを読んで象の密猟と象牙の違法取引の問題を再び考えさせる力があったわけです。

 

でもその力が象牙の取引をやめさせるには遠く及ばないのは想像できます。

人間って本当に迷惑な生き物です。

 

 

手っ取り早く和食

ご飯と味噌汁と、ジャガイモ少なめのヴィーガン肉じゃが、ひじき

夕飯のメニューを考えあぐねたこの日は、ええいめんどくせい、チャチャっと和食だい、とご飯と味噌汁、前に作って冷凍してあったひじきの煮物、肉じゃが、という献立となりました。

 

ちゃんと調理したのは肉じゃがだけですが。

しかもジャガイモも、3週間くらい前に買った10パウンドの袋の底の方に残ってる小さめのものがいくつかのみ。

まあそれくらいがいいんですよね、あんまりありすぎると作りすぎちゃう。

 

 

炭水化物取りすぎになるのが防げてよかったでしょうか


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