食いしん坊、北米でヴィーガンになる

北米で植物性食品を食べて強く生きる記録

火を燃やすー公害と伝統の香り

日常生活で火を使う頻度

この時期何かとチャンスがあるごとにBBQをやっております。

我が家で使うBBQは炭を使う昔ながらのWeberのケトル・バーベキューです。プロパンガスのBBQが一般的なんですけれど、炭を上手に組み立てて火を起こして、、というプロセスを楽しみたいのです。

キャンプの楽しみも、焚き火とか炭火のバーベキューじゃあありませんか。

 

火の燃える様子や煙の匂いって、原始時代から伝わる人間の本能みたいなものをくすぐるものがあるような気がします。

もちろん危険ですから、火はコントロールできる規模と状況でなければいけませんけど、それは当然のこと。

 

 

北米の一般的な調理熱源は電力だと言って多分問題はないと思うのですが、我が家も電力です。

強火で調理した後火を細めて、、という火力の変化をつけやすいのはやっぱりガスですが、我が家の通りにはガスサービスが通っていないので、ガスにこだわりたいなら引っ越すか、ガス会社にお金を払ってガスをうちの前まで引いてもらうかせねばなりません。

義弟の家は同じ市内でもガスですので、ガスが全くないというわけではありませんが、知り合いのほぼ全員が電気なので、ガスは確実に少数派。

 

田舎の森の中に住んでいる知り合いの台所では薪ストーブ(&薪オーブン)を使っていますけれど、私の知り合いの中では彼らくらい。市内では薪で調理する個人はいないんじゃないでしょうかね。

 

一方で、暖炉や薪ストーブによる暖房は今でも割と一般的というか、秋口のちょっと急に冷えたなあというような夕方に家路を急いでうちの近所を歩いていると、あちこちから薪を燃やす匂いが漂ってくるので、うちの通りにも暖炉もしくは薪ストーブがある家は何軒かあるのでしょう。

住宅地を歩いていて木が燃えるにおいを嗅ぐと、「火事?」と一瞬ゾッとしてしまうので、私個人としましてはあまり嬉しい匂いではないのですけど。

 

今では家々の暖房もほぼ電気がメインな我が州です。天然ガスとかオイルだという家も存在しますけれど、天然ガスであれオイルであれ、現在使われてるシステムではサービス会社が年に一回掃除に入ったり炉の点検をしたりせねばならず、個人の家庭に対する安全基準や公害基準は結構厳しいのです。

 

 

煙による公害問題と行政のアプローチ(個人)(レストラン)

では一方で、薪を燃やして調理するレストランなどはどうなのか、といえば、うちの市の中には70軒ほど存在するようです。

 

そんな中、こんな記事を見つけました。

モントリオールのベーグル屋と煙公害問題という内容で、街中にあるベーグル屋からでる煙が周辺住民の健康へ悪影響を与えているという話です。

 

モントリオールといえばベーグル。

薪をくべたオーブンで焼き上げられたベーグルは本当に美味しいのです。

自宅のオーブンで焼いたベーグルとは比べ物になりませんよ。

火力の違いということもあるでしょうけれど、ベーグルファンは、この薪の香りが重要なフレーバーなんだと思っているのです。

薪じゃないオーブンで焼かれたベーグルを食べたことがあまりないので、食べ比べて見たら案外変わらないじゃない、と思うのかもしれませんけれど、なんというか、私にとってはベーグルは、薪のオーブンで焼いている小さなショップで焼きたてを買って食べるものなので、公害のせいで薪オーブンが廃止になったらちょっと悲しいと感じますが、同時にたかが食べ物屋のせいで健康に被害を被る人が出てくるなんてあってはならないと強く感じますので、ちょっと悩めるところです。

 

公害拡大の構図と煙の人体への害

最近ではベーグル需要も住民の人口増加とともに拡大しているようで、有名ショップのベーグルはうちの近所のスーパーでも、はたまたCOSTCOなどでも買えるようになっているのです。

ということは、以前とは生産量もバカにならないほど拡大しているようです。

ということは、くべる薪の量も以前よりもかなり増加しているわけですから、近隣への煙公害もさらに悪化します。

 

記事によると、木を燃やして出る煙には微粒子、一酸化炭素、揮発性有機化合物、多環式芳香族炭化水素、ベンゼンおよびホルムアルデヒドなど100以上の有害物質が含まれているそうです。2013年、木の煙に含まれる微粒子物質は発がん性物質とにWHOによって分類されましたが、この微粒子は杯の奥深くまで到達することができるので、健康に深刻な害を及ぼすのだそうです。

 

行政の対応 

北米の各地方自治体では、これを受け木材の煙を規制する処置が取られていて、モントリオールも例外ではありません。

モントリオールでは、微粒子の排出量が1時間あたり2.5グラム以下に抑えられない薪ストーブや暖炉の使用は、2018年の10月以降は違法となることが市の条例で制定されました。

 

こういう規制があるのに、未だにベーグル屋の煙がもくもくと街中に放出されているというのはおかしな話ですよね。

周辺住民が苦情を申し立てているのにもかかわらず。

 

モントリオール市は観光が大きな収入源でもあるので、モントリオールといえばベーグル、という観光資源としてのベーグル屋のイメージを無視できないという部分もあるようです。

でも、そうは言っても周辺住民を苦しめるベーグル、というのは良くないですから、市もなんどもベーグルショップには改善を求めて行政指導したりはしているようなのですが、なんというか詰めが甘いような感じはします。

 

 

記事によると、モントリオールの島にあるそういったレストランやベーグルショップなどが排出する微粒子の公害は年間で、70軒合わせると60トンほどだと推定されています。

これは、輸送・交通機関(818トン)、一般家庭での暖炉や薪ストーブ(701トン)、工業(241トン)に次ぐ4番目に大きな排出源という位置付けです。

 

3位までの業種がそれぞれ3桁なのに対して、4位のレストラン・ベーグルショップ軍は二桁ですから、それほどでもないじゃないか、とも思いますけれど、でも70軒で60トンですからね、一軒当たり平均で年間0.86トン排出しているわけですから、やっぱりすごい量です。

 

ただ、一方で、個人の家庭で暖をとるために使う薪ストーブや暖炉が公害排出グループの第二位というのも正直ちょっとびっくりしましたよ。

詳しいことは知りませんけれど、日本語のブログなどでたまに「環境のために薪ストーブを使って暮らす」ようなことが書いてるのを見たことがあるのですが、木材を燃やすのに環境のためという論理がよくわからないとは思ってましたが、こんなにネガティブなインパクトがあるんですね。

個人家庭のそれぞれの排出量は少ないでしょうけれど、チリも積もればというか、個人家庭の数はベーグルショップの数よりもそれこそ桁外れに多いですし。

 

 

企業努力?

記事の中では、モントリオール市内で知られている(日本語のガイドブックにも載っている)有名な店二軒の企業努力のほどに触れていますが、正直な話、本気で努力してないんだろうと感じます。

低公害なハイテクオーブンへの投資ってやっぱりお金がかかりますし、市もそれほどガチガチに厳しくないんだし、努力してるという姿勢を見せて、実際に新しいものを試してるところを見せとけば大丈夫だ、という感じがします。 

これは、ベーグル屋のせいというよりも、モントリオール市がいつも詰めが甘くていい加減だからだと、納税者の私は思いますよ。笑

 

薪の風味のある美味しいベーグルと周辺住民の健康と両立できないわけはないと思いますので、ぜひそこらへんは行政と店とでちゃんと対処して行っていただきたいものです。

 

本物の炎ってやっぱりなんだか本物って気がしますけど、電気やガスって実際の熱量とは別に、感情に訴えてくるものが本物の炎の比ではありませんよね。

とはいえ、燃やすという行為そのものが出す微粒子の害を考えると、うちのBBQとか、キャンプの時のキャンプファイヤーとか、そういう娯楽的な火の使い方もちょっと考えて見たほうがいいかなあと思いました。

完全に暖炉だけで暖をとっている家がないように、BBQだけでご飯を調理してるわけではないので、使用頻度で公害を抑える、なるべく害の少ない道具を使う、ということでしょうか。

 

なぜ人は炎に(煙のフレーバーに)魅了されるのでしょう。