食いしん坊、北米でヴィーガンになる

北米で植物性食品を食べて強く生きる記録

ヴィーガン・バターは消費者を惑わすか?

11月1日はWorld Vegan Dayでした。

毎年忘れてるんですけどね。

**の日って言われても、なぜ?だから何?って感じだからでしょうか。 笑

 

その数日前に、訴訟の国アメリカはニューヨーク州で、ヴィーガンチーズやヴィーガンバター商品を販売しているMiyoko's Kitchenが訴えられました。

理由は、「商品名やパッケージデザインで本物のバターの後光を利用して消費者を騙し、バターに比べ栄養価も機能性も劣る植物性食品を売ろうとしている」から。

 

訴えたのは、乳製品加工会社とかアメリカの酪農産業団体とかではなくJasmine Brownと言う個人名の方で、この人何してる人なんだろうと思ってググってみましたが、多分同姓同名で別人と思われるYoutuber でありモデル?だとか言う方についてのリンクやビデオが出てくるのみでした。 

      

 

この訴訟に関する詳細はこちらでどうぞ。

www.foodnavigator-usa.com

 

酪農業界の団体だか企業だかが以前、Soy Milk や Almond Milkなどといった牛ではなくて植物性の飲料を「ミルク」と呼ぶのは消費者を混乱させるとして、植物性ミルクをミルクと表示するのを禁止にすることを求めて訴訟を起こしていましたが、あれは結局どうなったんでしょうね。

あれも多分、アメリカでの話でしたし、カナダではと言うか、ケベック州では今でも昔ながらの Soy MilkおよびAlmond Milk として棚に並んでいます。

 

アメリカの酪農農家は牛のミルクの消費量が落ちていることでかなり大変なようですし、カナダやアジア諸国に市場拡大してはいても、やっぱり自国内で牛の乳ばなれ(人間の間でですけど)が進んでいることをどうにかしたいと言うことなんでしょう。

 

 
消費者は勘違いするか

今回のこの、Miyoko's Kitchen訴訟に関しては、原告が不満に思って居るらしい点は、Miyokoのヴィーガンバターは栄養価的に言えばマーガリンであってバターではない(FDAの規定では、バターと表示される商品は原料の80%以上が牛乳由来の脂肪分出なければならない)パッケージでバターを想像させたりバターやマーガリンの売り場に並べてディスプレイしたりして、消費者を騙そうとしている、と。

Miyoko's Kitchen以外にもヴィーガン・バターと名乗っている商品はありますから、なぜMiyoko's Kitchenを選んで訴えているのか、、、とも思いますが。

 

問題のヴィーガン・バター、左(以前)のパッケージと右(現在流通している商品)のパッケージともヴィーガンと表示があります。

 

右のほうがより「ヴィーガンです、植物性です」と強調されていますけれども、これは間違いを避けると言うよりは「植物ベースであり、環境にも動物にも多くの消費者の健康にもネガティブなインパクトを多く与えている酪農というシステムとは無縁である」ことを宣伝しているんだと見受けられます。

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下の写真はオンラインで販売されている商品なのでしょうか、上のパッケージはMiyokoさんの会社のサイトにも載っていましたが、下のはイメージ検索でたくさん出てきました。

こちらのパッケージではヴィーガンと気がつかない人はきっと存在しないのでは?

モントリオールの小売店でMiyoko's Kitchen商品を見かけたことはないのですが、アマゾンなどでも買えるのであれば、面白いから一度買ってみようかな、、と言う気もしてきましたよ。笑

 

 

マーガリンかバターか

カナダのスーパーによく出回っているマーガリンで I can't believe it's not butterと言う商品名のものがあります。

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この商品もバターという部分が強調されていたり、黄色かったりしますが、Miyoko's Kitchenを訴えたBrown さんは、このマーガリンには脅威を感じなかったのでしょうか。笑

 

マーガリンはバターより味が劣る、と言う一般的な見解を逆手に取った命名な訳ですが、マーガリンが登場した当時から、ほんのつい最近までは、バターはコレステロールが高く健康に害悪であり、健康のためにはマーガリンを選ぶべき、、、、と言う健康神話みたいなものがありましたよね。

だから、味はバターの方がいいんだけどマーガリンを選ぶ、と言う消費者たち。

それがトランス・ファットの問題が騒がれるようになって、マーガリンはよくない、と言う方向に評判がググッと修正されました。

 

健康とは関係ない話ですが、初めてマーガリンが登場した当時は、それこそバター以外にバターみたいなものは存在しなかったわけで、これはバターではないと気がつかない人たちがいるといけないので、カナダでは当初マーガリンを黄色く着色して販売することは禁じられ、黄色い着色料の粉のパウチがマーガリンのパッケージのなかに入れられていて「自分で黄色くしてください」だったとかいう話を聞いたことがあります。 

 

現在でも、カナダのマーガリンは日本で販売されているものよりもうんと白っぽいのです。

日本に帰国して見かけるマーガリンがあんまりにも濃い黄色なので違和感を感じるほどです。

 

以前、「一体全体ヴィーガンバターとはマーガリンと何が違うのか」ちょっと調べましたが、結局は、「マーガリンという名称のものの中には乳製品が混在している可能性がある」けれど、ヴィーガンバターと表示されているものは乳製品フリーで安心、という、そこだけ、と結論したことがあります。

 

casse-pied.hatenablog.com

 

逆に言えば、ヴィーガンである、という表示があることで、フォントが小さくて読めやしない原材料表示を目を凝らして読むことなく安心して選ぶことができる、それだけのために消費者は「マーガリン」よりも高価な「ヴィーガンバター」にお金を出しているような気がします。

 

Miyokoさんの商品はそれ以外に「ヨーロピアンスタイル」「発酵されてる」という点を強調してそこらへんのマーガリンよりも味わいが優れていると差別化が試みられていますけれど、それくらいはどんな商品でも見られるマーケティングの基本なような気もします。

 

何れにせよ、私個人としては「ヴィーガン・バター」だろうと「ヴィーガン・マーガリン」だろうと、乳製品が入ってないと確信が持てるならば同じだと感じますが、確かに、「ヴィーガン・マーガリン」だと印象は悪いですよね。

 

ヴィーガン・ショートニング、っていうものもあるんですが、ショートニングもマーガリン同様トランス・ファットの認識が広まって以来悪者になった人口油脂ですが、元々ショートニングはラードを模した人口油脂、、、、ラードでもショートニングでも、たとえ「ヴィーガン」が付いていても印象悪いですね。

 

 

イメージ操作されてるだけ、という気もしますが。


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