野菜は生で食べるべきか、加熱するべきか
ヴィーガンですと言うと、サラダばっかり食べていると思われるかもしれませんが、私実は生野菜はあんまり好きじゃありません。
嫌いなわけではないし、夏はやっぱりサラダが美味しいと感じますけれども、どちらかといえば煮たり焼いたり炒めたりした方がたくさん食べたくなるし、また食べたいと感じます。
食いしん坊ですから、健康のためには油で炒めたりするより蒸す方が良いのよとか言われても、蒸したものよりも炒めたりした方が美味しいから好き、と思ってますが、北米ではこの30年来くらい、ヘルシーなのは蒸したもの、と思ってる人が結構多いような気もします。
ヘルシー、と言われると内心若干拒絶反応というか、素直に「じゃあそうしましょう」と感じられないのはなぜだろう、、、。
それはさておき、野菜は加熱すると栄養が失われてしまうんだから、生で食べるべきなのよ、その方がヘルシーなのよ、といわれたことが何度かあります。
いくらヘルシーだと言われても、ニンジンやブロッコリーやセロリをスティック状にしたものをディップにつけて食べるのとか、他に食べるものがない場合以外は食指が動きません。
まずいとは思いませんけれども。
大体健康的とかヘルシーっていう括り自体怪しいスローガンな感じで好きじゃないんですけれど、では、生のままと加熱したものとでは、体に吸収される栄養素の価値にどれほどの差があって、実際生の方が良いのか、加熱した方が良いのかどっちなのか、ニューヨークタイムズの記事見つけました。
クイズ形式です。
あなたはどれくらい正解するでしょうか。
残念なことに近年ニューヨークタイムズはペイウォールがバッチリ聳え立っていて、購読していないとこのリンクから記事を読むことはできないようになっているようですので、かいつまんで記事の要点を書いてみたいと思います。
生で食べる方が栄養価が高いものもあれば、加熱した方が体へ吸収されやすくなるものもある、ということで、十種類の野菜についてのクイズ形式で説明されています。
- ほうれん草
- マッシュルーム(キノコ類全般)
- ニンニク
- 人参
- 玉ねぎ
- ビートルート
- インゲン豆
- セロリ
- ケール
- トマト
クイズの結果は続きをご覧ください
ほうれん草は加熱した方がより多くの栄養素が吸収されるそう。
ほうれん草に豊富に含まれる栄養素はビタミンC、マグネシウム、ビタミンB6、鉄分、カルシウム。
加熱することでより多くの鉄分とカルシウムを吸収できる上、ほうれん草に含まれるシュウ酸塩(腸内でカルシウムや鉄と結合し、吸収を阻害する)が高温調理によって減り、この影響が軽減されます。
調理によってビタミンBとCの一部が失われるという負の側面はあるものの、加熱してカサがへるので食べられる量も増えるし、総合的には加熱した方が良いとのこと。
マッシュルーム(キノコ類)も加熱に軍配があがる
2016年のある研究では、フライパンで焼くことで吸収できるタンパク質、必須脂肪酸、炭水化物が増加する可能性があると報告されたとか。2020年に発表された別の研究では、乾燥キノコを調理すると、ヒ素などの有毒な微量元素の濃度を下げることができるとも。
キノコは調理すると味が良くなり、消化しやすくなるので、より多く食べることができます。
ニンニクは生の方が良さそう
生のニンニクをスライスしたり、刻んだり、潰したりすると、アリシンを含むさまざまな成分が酵素反応によって活性化するそう。
加熱するとアリシンが劇的に減少するらしいですが、調理前に刻んだりスライスするとある程度は維持できるそうです。
アリシンは心臓をより健康にするとか癌のリスクを軽減するなどの効果と繋がりがあるらしいという報告がありますが、その効能がどこまでのものなのかは今後の研究が待たれるところだとか。
普通に食事の中で摂取するニンニクの量はそれほど大量ではないし、生のニンニクってものすごく辛いですから、無理する意味はあんまりないような気がしますけれど、辛いのが好きな人なら翌日仕事とか学校に行かなくても良い場合は試してみるのも面白そうですね。
人参は加熱が良い
記事には触れられていませんが、家庭科の授業で人参に含まれるカロチンは油と調理することで吸収されやすくなると習ったのを今でも覚えています。
記事によると抗酸化物質であるカロテノイドは加熱した方が多く摂取できるとありますが、煮たり蒸したりすると効果的なのに対し、揚げるのは逆効果らしいとも。油で加熱の話はどうなっちゃったんだろう?(炒めるのは揚げるのとは違うから良いんでしょうか?)
電子レンジで加熱すると、ニンジンに含まれるカリウムとナトリウムが濃縮されるとも。
玉ねぎも生が良いらしい
ニンニクと同様、タマネギも生の方がチオスルフィネートという有益な化合物を多く供給するとか。特にタマネギをあらかじめ砕いたり刻んだりしておくと、調理による熱でこれらの化合物が破壊される模様。
一方、ほとんどの調理法で、特に弱火で5分以内だけ調理した場合、タマネギのフラボノイド(抗酸化物質)の濃度が上昇すると指摘されています。
生で食べるのが一番手っ取り早く、破壊されないうちに抗酸化物質を吸収できるみたいですね。
ビーツは生が良い
ビーツに多く含まれる硝酸塩は血圧の低下などを促します。他には、抗酸化作用、抗がん作用、抗炎症作用、肝臓保護作用があるベタレインという色素化合物や、フラボノイドも含まれていますが、加熱されすぎると、これらの効能はあまり得られないそう。特に茹でるとビタミンC、葉酸、フラボノイド、ベタレインが減少するらしいです。
ビーツはオーブンでローストしたのが好みなんですが(茹でちゃうのは栄養も風味も逃げるような気がするのでしません)生の方が良かったとは!
でも生だとせいぜいサラダやサンドイッチにちょっとだけ、しか食べられないので、まあ今後も主にローストして食べると思いますが。
インゲン豆は加熱すべし
インゲン豆(緑のさやに入ってるあれ)は大きくなると金時豆(ですよね、英語で言うKidney beans)になりますが、キドニービーンズは生で食べたらお腹を壊す、絶対加熱しなきゃダメ、と聞いた覚えがあって、そのせいもあってインゲン豆を生で食べてはいけないと思っていたのですが、基本的にこれは正しいみたいです。
お腹を下すとか吐き気、嘔吐などを催す原因はレクチンと呼ばれるタンパク質で、レクチンはカルシウム、鉄、リン、亜鉛などのミネラル分の分解と吸収を阻害するそう。
セロリも加熱した方が栄養価が上がる
セロリには抗酸化物質、食物繊維、葉酸、カリウム、ビタミンA、C、Kといった栄養素が豊富に含まれています。セロリを調理すると、煮る、圧力調理、焼く、鉄板焼き、揚げるなど、その方法を問わず抗酸化レベルが上がるとか。
しかし、多くの人は食物繊維を摂るためにセロリを食べるのであって、食物繊維は調理によって失われてしまう、とホー博士は言う。また、ほとんどの野菜と同様に、調理によってビタミンCの量も減少する。
ケールは生の方が良い
ケールにはグルコシノレートと呼ばれる化合物が豊富に含まれ、刻んだり噛んだりすると、グルコシノレートをイソチオシアネートという新しい化合物に変換する酵素が放出され、体内で抗炎症、抗酸化、抗がん経路を引き起こすことができるそう。加熱調理をするとこのグルコシノレート、ひいてはイソチオシアネートが減少するそう。
カリフラワー、ブロッコリ、芽キャベツ、キャベツなどアブラナ科の野菜にはどれもこのグルコシノレートが豊富に含まれているそうです。
他にも加熱調理によりカリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、銅のレベルが低下することも判明しました。
ケールを生で食べるのってあんまり好きじゃないんですけれどね〜。
サラダにする場合は塩で揉んでやると柔らかくなって口当たりが良くなると言いますので、来年はそうやって生で食べましょうかね(もうこの時期サラダをあまり食べたくない。)
トマトは加熱した方が栄養価が上がる
トマトに含まれる強力な抗酸化物質リコピンは、特定のがんや脳卒中などの心血管疾患のリスク軽減につながるとされています。リコピンは調理されることで体に吸収されやすくなるとか。
他の野菜と同様に、調理によってトマトのビタミンCの濃度は下がりますが、ビタミンCは果物や他の野菜からも取れるから、トマトの場合はリコピン吸収を優先したほうが良いと言う旨のことが書かれていました。
夏になったら玉ねぎとケールとビーツとニンニクでサラダしましょうかね