天ぷらとオニオンバジ
天ぷらって結構難しい。
たまにしかやらないし、天ぷらはカリッとサクッと、こうあるべし!が骨の髄まで染み込んでいるというか、そうじゃなきゃ美味しくないと文句言う想像上の人物が耳元で「油の温度が低いんじゃない?あ、今度は高すぎるんじゃない?」と囁くような。
一方オニオンバジは、味にうるさい親父みたいな、架空の人物山岡さんみたいな人があれこれ耳元でうるさいことを言わない食べ物。
いや、美味しんぼって読んだことがないので、ひょっとしたらインド料理のエピソードもあるのかもしれませんけれど、知らないので耳に入らない。
いやいや、想像上の味にうるさい親父ってのは、美味しんぼだけじゃなく、なんとなく日本に住んでいるとどこからともなく耳に入ってくる「この料理はこうあるべきだ」「それなのに詰めが甘い」みたいなグルメ批評の分野ってのがあって、そこでうるさい文句を言う代表みたいな架空の存在です。
実際自分の親はそんなふうに文句を言わなかったし、誰かに作ったものに文句をつけられたことは記憶にないので、なぜそんな批評が頭をよぎるのだかよくわかりませんが。
誰かがどこかでどこかの店で出てきたものの批評をしてるのを聞いたのか、誰かが他の誰かが作った何かを批評してるのを聞いたのか。
文句言わずにありがたいと謙虚に味わいなさい、という意見もあるけれど、食に関してはやはり食べる側の主張が正義になりがち。
せっかく新鮮な食材が手に入ったのにそんなにクタクタに火を通しちゃったら勿体無い、とか自分でもそういうことを考えがちかも。
インドでオニオンバジを食べたことがない私にとっては、オニオンバジは自由なんです。
こうあるべし、っていうハードルがないと、何を目指すべきかわかりにくいけれど、何をすると失敗なのかもよく分からないので気楽です。
インドに行ったことはないけどインド料理大好きでインド飯屋はあちこち出入りしていますが、正直インド飯屋で出てきたオニオンバジのどれをとっても、別になんとも思わないというか、比較的雑に作られてる添え物っぽいもの。
ついでに言えば、モントリオールのインド飯屋(多分アメリカやカナダの他の州でも)で添えられてるフレッシュなサラダ(と言うか、きゅうりとトマトが一切れずつとアイスバーグレタスがちらほら乗ってる部分)はドレッシングがかかってなくて、こう言うのを添えたい理由は何なのか、一度お店の人に失礼にならないように聞いてみたいもんだといつも思っています。(でも失礼になるような気がするのでいまだに聞けていない。)
インド出身の知人に聞いてもあんまりはっきりした返事がこない(やはりこれも失礼になってはいけないと思うので、返事がはっきりしない時でも追求できないで今に至る。)
話がそれましたが
オニオンバジは作るたびに「これはインドのかき揚げやね」と思ってます。
かき揚げには自信が100%持てないんですが、オニオンバジは毎回「どや!」と自信を持って提供しています。
そうそう、こういう時の自信ありげな顔をドヤ顔、と言うと言うのはこちらにきてしばらくしてから知りました。
SNSで目にするようになって、それで調べて知ったので、つい最近ですよ。
ドヤ顔、っていつ頃生まれた言葉なのかな。
ドヤ街にいるおっちゃんの顔のことなのかとずっと思っていたので(文脈からどうやら違うらしいと薄々気がついていたけど)正しい意味を知った後も、この言葉を聞くとドヤ街にいるおっちゃん(これも想像上のユニコーンみたいな存在ですが)を思い浮かべてしまいます。
今日は、規定の少ない(私の中で)オニオンバジについて書いているので、実験的にフリースタイルで頭の中に浮かぶことを推敲なしでずんずん書いています。
オニオンバジの作り方
玉ねぎをたくさん(この日は小ぶりだったので10個ほど)スライスする
クミンパウダー、ターメリック少々、他にも好みのスパイスがあればそれも少々、そして塩小さじ1くらいをふりかけ、玉ねぎ全体に混ぜて放置する
しばらくしたらチックピーフラワーを1カップくらい入れて全体によく混ぜる
塩で玉ねぎから出た水分とチックピーフラワーがまとまって軽めの衣がついた状態になります。
この日はニラを日本で売られてる1把くらい3センチくらいに切ったのをチックピーが混ざったところで投入しました(ニラはあんまり水を出さない状態の方が良いかなと思ったため)
油を鍋に熱し、玉ねぎをなんとなくのひとまとめ(ゴルフボール二つ分くらいか)にしては油に落とし、揚げる。
インド料理屋ではまさにボール状にまとまった揚げ物が出てきますが、そんな形にすると中まで火が通りにくくなるから却ってあかんのでは、と思うので、そのままかき揚げ気分で揚げてしまいます。
1分くらいしたらくるっとひっくり返して両面ともカリッとさせたら油から引き上げてやります。
揚げ色が濃いめが好きなら濃いめに、狐色で良いなら狐色で良い。
揚げてる先から味見したい輩が出現しますので、どんどん揚げてもそれほど大量にはできない現象が起きます。
この日は六人でしたけど、写真を撮る前に全て消えていました。
揚げ物は揚げたてが一番美味しいので、これはこういうものだと思ってます。