日本へ戻る機内で見た映画で、今回気に入ったのは、こちら。
Maudie, 2017 Aisling Walsh監督
アイルランドとカナダの合作みたいなクレジットが出てきたので、アイルランドのお話っていうことなのかな?と思いながら見はじめたら、実はノヴァ・スコシアを舞台にしたお話で、カナダのマリタイムスの田舎〜な風景が素敵なお話でした。
いや、マリタイムスの田舎風景も、去年行ったニューファンドランドの漁村の風景を思い出して良い感じでしたけれど(と思ったら、撮影が行われたのはまさしくニューファンドランドだったそうです)、Maudeさんのナイーブ・アート(映画の中に出てくるのは本物ではないと思います)やEthan Hawkeの言葉少ない仏頂面な演技も良かったんですけれど、私が妙に気になったのは、Maude役のSally Hawkinsさんが着ていたニットのセーター類なんですよ。
私、実は万年初心者ニッターなのです。
編み物の本みて、編み図を見て、複雑な編み方を駆使した素敵なニットを作ったことは一切なくて、大作といえばケーブルがたったの4本くらい入ったセーターが一枚と、大昔、父に編んであげると約束しつつ、片方終わったらコンが尽きてしまって放置した五本指の手袋、それくらいです。
あとは、まっすぐ編めば良いスカーフやらコースターやら皿洗いスポンジやら、、そんな小物ばかり。
でもね、手芸店で色とりどりの毛糸を見ると、おおお〜、そのうち、何かもうちょっとまともなものを作って見たいものだなあ〜〜〜、と買うあてもないのにじっと棚の前でワクワクしてしまいます。
実際には、カナダでの暮らしで私はセーターはほとんど着ません。
冬は暖房がバッチリ効いている建物内にいることが多いので、暑くてセーターなんか着ていられないのです。
外ではセーターだけでは凍えてしまいますからね、だから、使う場所がない。
我が家は暖房けちってますから、室内でもじっとしてると冷えますけれど、セーターはやっぱり着ませんね。フリースとちゃんちゃんこが「冷えそうな時用」に常備されていますけれど、セーター、なぜだか着ません。
夫がウールアレルギーなせいもあります。
映画の中では、Maudeさん、冬の寒い時期に、断熱とか暖房とかいうものが不備な掘っ立て小屋の中で寒そうに分厚いセーターを着て縮こまってるシーンなんかがあるのですが、こういうところならこういうセーターが(当時は)ちょうど良かったのかもな、と。
春先や秋口であろうシーンでも、薄手の半袖のニットなどお召しになっていて、これまたなかなか素敵なのですよ。
Hawkinsさんもまた、こういうニットがよくお似合いな方で。
ニットって、ちょっと野暮ったいというか、家庭的というか、ものすごく手間がかかっていて、作る人がすごい繊細な技術を駆使していなきゃできないようなものでも、なんだか「素朴」に見えてしまうのが不思議ですけれど、貧乏な上、arthritisで絵筆を持つのも苦労したMaudeさんが、これらの素敵なニットをどこで手に入れたんだろうという謎は残りますけれど、六十年代か七十年代風の田舎の風景によくなじんでいてとても素敵でした。
私はこんな上級なものはとてもじゃないですが編めませんし、すでに編んであるものがあったとしても、着て似合うタイプでもないのですけれど、Maudeさんのアートとともに、目に楽しく(おこがましいですが)自分の創作意欲も掻き立ててくれるような、刺激的な小道具だったなあ、と思います。
こんな記事を書く以上は作品中の素敵なセーターの写真をたくさんお見せしたいと思ったんですが、映画の写真を探しても、セーターがよくわかる写真はほとんどなくて。
みなさん、よろしければぜひ映画を見てセーターをチェックしてみてください。