食いしん坊、北米でヴィーガンになる

北米で植物性食品を食べて強く生きる記録

味の記憶とSpinning Plates

Spinning Plates観て見ました

 

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こんなドキュメンタリー見ました。

斬新で挑戦的、ハイエンドな食のアート、というような形容で語られるシカゴの高級レストランAlineaのシェフと、家族やコミュニティに根付いた150年の歴史を持つアイオワのレストランBreitbach's Country Dining、メキシコから来て新天地ツーソンで開店したレストランの生き残りをかけて頑張るこちらも家族や伝統に支えられたメキシコ料理、La COccia De Gabby. この三つのお店とそこで働く人々のお話。

 

 

SPINNING PLATES - THEATRICAL TRAILER from Spinning Plates on Vimeo.

いやあ、見ていて私、本当に庶民なんだわ、と実感しましたよ。

Alineaの料理、面白そうだなとは感じますけれど、行って見たいとは全く感じず。

大勢の料理人が朝早くから働いて仕込みをして、いろんな化学や物理の法則を利用して作り上げた一皿、そういうのがずらずらと出てくるんですから、すごいとは思うんですけど、すごいことを成し遂げて自分のクリエイティヴィティをとことん追求したいんだ、という情熱はわかりましたが、私は情熱はほどほどで良いから旨いもん食べさせてくれればそれで良いよ、と感じてしまう。

 

庶民派のお店の方は、ヴィーガン対応、してくれるかなあここ、説教されそうだなあ常連のおじさんたちに、、、とか、メキシカンの方は、むむ、ビーン・ブリートーなぞ頼んで、サワークリームやチーズは入れないで〜、などと説明したらこの奥さんならやってくれそうかなあ、なんて想像して見たり。

 

映画そのものとしては、なんだかちょっと取り止めがないかなと感じましたが、それぞれのお店の人々のお話そのものはなかなか興味深かったです。

この映画の後、きっとどの店も問い合わせや予約が殺到して行列ができてることでしょう。

 

内容ではないんですが、The French LaundryのシェフThomas Keller氏のインタビューで、マイクに洋服の擦れる雑音が ガンガン入ってるのにそれを処理しなかったのはなぜだろう、と映画としての完成度をそこで疑ってしまいましたけど。

 

 

味の記憶

初めて食べて「うわあ、美味しい、なにこれ、また食べたい、美味しい!」と感動した食べ物ってありますか?

もしくは、「ああ、子供の頃に食べた、あれが懐かしいなあ」とか?

記憶の中の味って、本当の味なのかなんなのか、とても強烈です。

いや、実際に味わってる時の味とは違って、記憶だから、印象というか、思い入れなのかもしれません。 

 

 

夜中に食べた焼きたてのベーグル

初めてベーグルを食べたのはモントリオールで、メトロも終電が終わってしまって道ゆく人も途絶えたような夜半過ぎ。

24時間延々と焼き続けているベーグル屋に入って、セサミのベーグルを一つ買って、焼きたてを口に入れた時のあの香ばしい香りと味わい!

 

当時はベーグル屋まで歩いていける界隈に住んでいたので、帰宅途中にふらっと立ち寄って一つ買って口に入れながら再び帰途につく、と言うようなことをしていましたが、ん〜、幸せだったなあ。

 

現在は街中からちょっと外れた地域に引っ越しましたので、ベーグル活動からも遠のきましたけど、たまにあの地区を通りかかると「ベーグル買って帰る?」と言う会話になります。

 

なんとなくいつも夫が買って来る担当だったのですが、ちょっと前に久々に自分で店に入ってみたらば、なんと、値上がりしてる!

 

しかも、私の中のベーグルの普通の値段(12個買うと一個25セントくらい)からものすごく値上がりしてて、12個買うと7ドルちょっと、いや、8ドルだったっけ?

どんぶり勘定な性格なので、驚いたとか言いつつ値段はすでに忘れましたが、びっくりしましたよ。

 

まあね、家賃の相場も最低賃金も上がってますし、私の記憶の中の適正価格自体が随分前過ぎて、それはあり得ないと納得もします。

 

最近は郊外のスーパーやベーグル屋系列のカフェで出すぶんなどの需要に追いつくべく、生産量がうんと増えたそうで、近隣住民への煙の害が深刻になっています。

 詳しくはこちらで↓どうぞ。

 

そうやって焼かれたベーグルはうちの近所のスーパーにも6個入りの小袋で並んでいて。

買ってみたことがありますが、やっぱり焼きたてじゃないから美味しさはガクンと落ちます。

 

不味くはないですよ。

でも、焼きたてを食べて感じるあの感動はない。

正直焼きたてじゃないベーグルって食べるのに値しない気がする、と思えるほどその感動の差は大きいのです。

 

ちなみにベーグルはニューヨークのを最初に食べて美味しいと感じている人がモントリオールのを食べると「なんだ小さいな、もちもちしてないじゃないか」と思うようですし、モントリオールの美味しいベーグルでデビューした私たちがニューヨークの馬鹿でかい塊を食べると「一体なんなんだこれ、質より量ってこと?」と思うんですよ。

 

日本でいうと、なんでしょう、白味噌と赤味噌?

関西の澄んだうどんつゆと関東の黒い汁の違い? 

身びいきとか慣れの問題でしょうけれども。 

元々は同じユダヤのパンですけれど、北米の二都市でこうも別々の発展を遂げたんですね。

 

まあ地域差の話はさて置き、、、

 

 

ベーグルは去年の今頃日本に帰った時、母に土産指定されました。

 

モントリオールのベーグルを知らない方からは絶対依頼されないお土産アイテムなんですが、モントリオールのベーグルが懐かしいと感じる人には喜ばれます。

 

 

 

でもね、たとえ焼きたてを買ったって、飛行機で乗り継いで20時間くらい経って、それからやっと口に入るんです。

 

美味しい感動は厳密に言えばかなりの部分が記憶貯金から出てきているのではないかと。

 

いつも母は「香ばしいわ〜、懐かしいわ〜」と言います。

 

焼きたてのホカホカじゃないのに、あの感動を自己追体験している母を見つめながら、きっと母の脳内では、母が初めて焼きたてのベーグルを食べた時の香りや味わいが走馬灯のように駆け巡っているんだろうなあ、とその走馬灯のイメージを想像してみたり。笑

 

 

母は私の土産を家族や知人友人に配るんですけれど、メープルシロップはまだしも、ベーグルはやめておいたほうがいいよ、と言いましたら、母もそこらへんは承知しているのか、「大丈夫、ベーグルは全部お母さんの。」と笑っていましたが。

 

だってね、このベーグルを食べて、あの焼きたてを思い出す記憶再生装置がない人には、多分やっぱり「ええ?ベーグルなんて日本でも買えるよ?」と思われておしまいですよね。

 

日本のベーグル、食べたことありませんけど、見た限りではとてもきちんとしていて日本らしい。笑

多分ニューヨークのベーグルがモデルなんでしょうね、形から見る限り。

 

モントリオールのベーグルは、つなぎ目とかひねり目とかがぐわん、としていてもそのまんま。まん丸じゃないのやちょっと他のよりこれ大きめじゃない?と言うものも。

何しろ手作業で延々と熱い釜の前で作業し続けて作ってるんですからね、細かい気配りじゃなくて、荒っぽい職人気質を感じます。

この記事にも、以前の記事にも、モントリオールベーグルの写真がありませんけれど、きっと、写真撮りたいと思うような美しい代物じゃないんでしょう。

 

ネット検索して見ましたのでここに拝借しておきます。

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ね、フォトジェニックじゃないでしょう。でも食べ物は見た目は二の次ですから。綺麗な方がもちろんいいけど、そうじゃなくてもいいこともあるのさ。笑


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