食いしん坊、北米でヴィーガンになる

北米で植物性食品を食べて強く生きる記録

食品保存の危険なゾーンとコミュニティ・キッチン

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写真はHorizons Community Kitchen Cooking Class - Fraserside Community Services Societyより拝借しました

 
コミュニティ・キッチン

先日、ダメもとで申請していた助成金がおりまして、職場で向こう1年間、コミュニティ・キッチンを運営できることになりました。

 

コミュニティ・キッチンって何?オーストラリアのコミュニティ・キッチンの定義がわかりやすいのでこちらに貼っておきます。

 

うちの職場に来る人々の中には、料理をしたことがないとか、食料の買い出しをきちんとしたことのない人とか、栄養の基礎知識のない人とか、様々な人たちがいますが、ほぼ全員が生活保護受給者なので、外食ばかりもしていられません。

 

そんなわけで、我が職場で提供するランチは一食あたり2ドル50セントと安価なのですが、ランチ製作に参加する人たちはいつも同じで、料理に縁のない人たちは「私なんかとてもじゃないけどキッチンに入って手伝ったりなんてできないわ」と怖じけずいてしまうのです。

 

我が職場のコミュニティ・キッチンは、そんな方たちに栄養や予算を考慮した献立の立て方と料理の基本を身につけてもらうためのプロジェクトです。

  

そこで現在うちに来ている栄養士のインターンにカリキュラムとワークショップをデザインしていただきまして、先週から導入編ワークショップを連日開催しています。

 

 

なにしろ台所にご縁のなかった人たちがぞろぞろとキッチンに入ってくることになるわけなので、キッチンの衛生観念についての基礎トレーニングから始めましょう、とインターン。

 

衛生観念の基礎って、当たり前な事ばかりだから、「わかってるわよそんな事」と思っている人が大半なので、しっかり聞いてもらえないものなのですが、インターン氏、とてもわかりやすいプレゼンテーションをしてくれました。

 

私は「わかってるけど」インターン氏がどのように説明しているのかチェックするために後ろの方に座っておりましたよ。笑

 

 

食品保存、どうしてますか

自宅で自分と夫だけが食べる食品に関しては、私と夫の「常識的」判断で冷蔵庫に入れたり、「まだあったかいから冷めるまで待って」いたり、「冷凍してあるからカウンターに置いといて自然解凍」してみたり。

 

冷蔵庫が普及する前の時代に暮らした人々は、「残り物は冷蔵庫へ」なんてマントラとは無縁でしたし、私が育った家庭では、台所が寒い部屋だったと言うのもあるのですが、煮物の残り物などは、台所の「みずや」と呼ばれていた引き戸がついた戸棚に入れて、次の食事の時に出して食べていました。

生物は冷蔵庫に入れてあったのでしょうけれど、ご飯の残りとか煮物の残りとかは多分全部「みずや」保存だったと思います。

 

夫と暮らすようになってからは、夫が「ご飯は冷蔵庫に入れなくていいのか」と気にするので、一食分ずつに分けてタッパに入れて冷凍庫へ入れるようになりました。

 

そんな次第で、あんまり目くじら立てて冷蔵庫へなんでも入れる方では無い私。

 

もちろん職場では、他人の口に入るものを扱うので、もうちょっと冷蔵庫寄りの保存を心がけていますが、心の底では「ちょっとくらいバクテリアに胃を慣らしておいたほうが却って丈夫になるんじゃないの?」なーんて気持ちがないとは言い切れません。

 

 

フード・デンジャー・ゾーン?

衛生ワークショップでインターン氏が言うには「食品のなかでバクテリアが繁殖しやすい気温=フード・デンジャー・ゾーンは4℃から60℃の間」だと。

 

それってすごく広範囲ですよね。

 

冷蔵庫の設定温度は4℃ですが、それ以上になるといきなりバクテリア繁殖のデンジャー・ゾーンなんですか。

 

冬場は台所の温度が低めだから、とすっかり安心しきってましたよ。

春先になって気温が二十度近くなってくると、室温に一晩以上置いたものは 気をつけないと、、とかなんとか思っていましたけれど、二十度じゃなくて四度だったとは!

 

冷蔵庫に入れたらなんでも永遠に持つわけじゃないですし、基本的には「保存食」以外のものを冷蔵や室温で長いこと置いておくことはしませんけれども、でもやっぱり残り物とか、室温放置はいけないんだ、、、(今更なんですが、、、)

 

それにしても、バクテリア慣れしてればお腹壊しにくいんじゃないの的発想、これについては栄養士インターン氏に言ってもきっと相手にされないことでしょうから、これはやっぱり秘密にしておきましょうか。

 

世間には私よりもお腹がセンシティブな方はたくさんいらっしゃいますし、大勢の方に食べてもらう食品が自分の保管方法の間違いで傷んでしまって、人々がお腹を壊してしまうのは嫌ですからね、インターン氏の指導をもうちょっと真面目に聞いてみようと反省しましたよ。

 

 

コミュニティで選ぶ皆が好きなメニュー

 

実際にメニューを決めるのは、まだ先になりますが、皆が好きで、しかも誰もが一緒に料理できて、美味しくできて、安価で、栄養もあって、、、、というのはどんなメニューになるのか興味津々です。

 

私は職場でランチを作る作業をしてくれるボランティアたちをサポートする業務を週に二、三日担当しているのですが、人々の料理のスキル・レベルはかなり雲泥の差。

すごい包丁さばきとか、そんなことを求めてるんではないんですよ。

ジャガイモの皮を剥くとか、人参の皮を剥くとか、そんなもの、皮むき器でやるんだから時間さえあれば誰でもできるでしょ、、と思うじゃないですか。

 

これが、シャーっと皮をむいた部分を延々と皮むき器で削り続けてて気がつかない方とか、ジャガイモの皮をむいてから、ところどころにある芽とかちょっと傷が入ったところとかを除去するために、延々に皮むき器でその異物が見えなくなるまで削り続けるとか、そういうことする人、少数派ではないんです。

 

しかも、個々の食の好みってかなり幅広いです。

 

今日もランチでブラックビーンスープを作ったんですが、スープを食べたうちの二、三人が「これ、もう食べたくない」「好きじゃない」というので、あれれ、そんなにまずいとは思わなかったけどなあ、何か足らなかったかなあ、と思っていたんですが、別の数人は「ものすごく美味しい、ワンダフル、これすごく好きだわ」と言います。

だから、スープの出来が悪かったということではなくて、食べたくないと思った人たちの嗜好に合わなかっただけなんだろう、、、と思っているのですが、彼らがコミュニティ・キッチン参加者だったら、このスープは皆が喜ぶ、、とは行きません。

全員を喜ばせることは難しいですから求めていませんが、なるべく大勢に喜んでいただきたいですし、これ美味しいわ、と思ったら自宅で一人でもう一度挑戦したいと思ってもらえる可能性が高いですからね、そこを目標にしていきたい。

 

インターン氏がうちの職場の実習を終えてしまう前に、そこらへんも話し合って意見を聞きたいと思います。

 

日本でコミュニティ・キッチンをやるとしたらどんなメニューが喜ばれるんでしょうね。

 

 

ブラックビーンスープ、美味しくて簡単で、材料費も安いんですけどね。


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