農薬って何?
日本語で農薬と呼ばれているものが指すのは正確には何だろうと思ってぐぐりましたら、「農薬工業会」というサイトに説明を発見。
「農薬」の定義は法律で定められています。法律、農薬取締法では、農作物の病害虫の防除に用いる殺菌剤、殺虫剤その他の薬剤、農作物の生理機能の増進又は抑制に用いる成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤を農薬と定義しています。その他の薬剤として除草剤、誘引剤、忌避剤、展着剤などがあります。さらに、薬剤ではありませんが、防除のために利用される天敵生物も農薬に含まれます。
法律で定められた定義によると、
病害虫の防除に用いる
- 殺菌剤
- 殺虫剤
- その他の薬剤
農作物の整理機能の増進または抑制に用いる
- 成長促進剤
- 発芽抑制剤その他の薬剤
その他の薬剤として
- 除草剤
- 誘引剤
- 忌避剤
- 展着材
だそうですが、「その他の薬剤として」とか「その他」っていうのが気になります。
専門家の間ではこの「その他」もきちんと定義されているのでしょうけれど、一般人(専門家以外)が目にするこういうウェブサイトでは詳細な説明をする必要がないと判断されているのかな。
農薬のことをよく知らなくても、「農薬で殺人」とか「除草剤を散布された農村で生まれた人たちの間で奇形や発癌の率が急増」とか、使用の仕方次第では大変恐ろしいものだという認識は素人にもあります。
だから「政府がしっかり管理している」「専門家がきちんと調査している」というこう言うサイトの文面は「心配しなくても大丈夫」と言うメッセージにつながっている印象が強いです。
でもちょっと一般人を子供扱いしてると言うか、ケムに撒こうとしてるような気がしないでもない。
日本だけに限らず、増え続ける人口を支えるためには天災や虫害などのために今年は農産物が獲れませんでした、と言うことはできませんから、なんとかして一定の食料供給を確保するために化学薬品やテクノロジーを駆使する必要があるんだ、と言うのは理解できます。
完全否定はできないけれど、手放しに信用しているわけにもいかない
こんな記事を読みました。
欧州連合が加盟諸国の農薬使用に関する規制を大変厳しく設けていると言うのは知られていますし、それに比べるとアメリカがいかに農業・食糧生産業のやりたい放題でひどいのか、と言うのも広く知られていることだと思います。
日本はどうなんだろう、と思っていたら、日本も結構規制が緩い方だったようです。
だから、EU圏内では使用できない「安全規制で許可されない」農薬が「そう言った規制が緩い」アメリカや日本などへ輸出されている、と言う記事です。
ちょっと気になりますよね。
上の記事で記述されている「農薬」の内訳は
農薬の種類別に見ると、輸出量が最も多かったのは、除草剤のパラコートで28,200トン。次が殺虫剤の1,3-ジクロロプロペンで15,000トン。2種類で全輸出量の5割強を占めた。日本は2018年、1,3-ジクロロプロペンを4,000トン、パラコートを250トン、いずれも英国から輸入したことになっている。
1,3-ジクロロプロペンは人への発がん性が疑われているほか、地下水の汚染や、野鳥や野生の哺乳類、水生生物などの繁殖への影響が懸念されている。日本では主に、農作物に被害をもたらす土中の線虫類を駆除するために使用されている。
パラコートは、強い毒性に加えてパーキンソン病との関連が疑われ、EUは2007年に域内での使用を禁止した。米国では先月、パラコートや殺虫剤のネオニコチノイドなど特に危険と見なされる農薬を禁止する法案が議会に提出されたが、この法案に対し、パーキンソン病と闘う俳優のマイケル・J・フォックスさんが設立した「マイケル・J・フォックス財団」は、強い支持を表明している。
(引用中の文字の色と太字はきゃすぴえが行いました)
日本、そんなの買い込んで使用しちゃってるの?
専門家がしっかり管理してるから素人は心配するな、、、って言われてもねえ、、と思いますよね。
こう言う記事を読むと、素人の私は「一体その薬品は何?」と知りたくなるのですが、大学在学中でもなし、手っ取り早く調べるのはいつもグーグル。
でもね、日本語でググると大概大した情報が出てこないのです。
特に「カタカナ」だったり科学的な話だったりすると。
カタカナだから、きっと元々は英語かヨーロッパ系言語よね、なんだろう、と上の記事で著者が触れていた英国紙ガーディアンを探してみました。
ふむふむ、日本語の冒頭の記事と同じような内容です。
で、ガーディアンの記事中に日本語記事にあったカタカナ名の一つ「パラコート」とみられるParaquatと言う言葉が。
パーキンソン病と関連づけられている以外にも、例え少量でも摂取すると死に至るし、長期的に晒される(肌を通して体内に入る)と肺、眼、腎臓や心臓などを損傷する可能性がある除草剤だとか。
下の3年前のガーディアンの記事では、この危険な除草剤の製造元であるスイス拠点の企業Syngentaが規制のない(危険をまだ知らないと言うことでしょうね)ブラジル、メキシコ、グアテマラ、ベネズエラ、インド、インドネシアなどと言った貧しい国々に売り付けていたことを英国政府が批判していることを伝えています。
日本はこれらの国々ほど貧しくはありませんが、規制のゆるさや危険への認知度の低さにつけ込まれている感じがしますね。
農薬の使用は、作物を口にする消費者の健康だけでなく、むしろ散布作業など日常的に薬品と接触する農業に携わる人々の健康への被害が心配されます。
そしてそう言った薬品の使用が続くことで土壌をはじめとした環境への悪影響も見過ごせません。
一つ一つの懸念材料を科学的にきっちり検証できる人材はいわゆる農業専門家以外にも日本にも存在するはずですし、専門家でなくても薬品について具体的な情報が公開されていればそれぞれの関心のレベルに合わせて調べて理解を深められます。
オーガニック農法だけで地球上全ての人間を賄っていくことはできませんけれど、無計画に農薬を濫用した農法には未来がないことも広く知られ始めて久しいです。
売り付けようとする側のダブルスタンダードも酷いですが、買う方も買う方。
常に施政者の挙動を批判的に監視する仕組みが機能していないと、どんな政府の元にあってもこう言うことはあり得ます。
国民による「批判」「監視」の活動は大切です。
民主主義の仕組み、大事です。