食いしん坊、北米でヴィーガンになる

北米で植物性食品を食べて強く生きる記録

モントリオールのメトロの話 

前日のお稲荷さんに詰めた酢飯が残ったので具を用意して巻き寿司に。何年振りかな。



パンデミックが始まって以来ですからここ2年と少し、メトロには乗っていません。

一度だけ乗ったような気もしますが、あれは夢だったのか。

たまに「今回は避けきれないかな?」という状況があるんですが大体毎回なんとか徒歩とか夫のついでに乗せてもらうとかで凌いでいます。

何しろとことん避けています。

 

モントリオールは東京やニューヨークに比べると小さな街、かなり広範囲を自転車で行けますが歩いて行ける距離と時間には限度があるので、冬場は若干厳しいです。

 

一生乗らないつもりはないし、そのうち乗り始めるとは思いますが、なんとなく避けられる限りは避けてみたい気分なんです。

 

パンデミック前から、メトロにうんざりしていたので。

 

これは冬の話ですが、何しろ通勤時間帯に同乗する人々の中に、必ずキッツイ匂いを漂わせる人が一人、二人、いやもっとかな、登場します。

 

体臭じゃなくて、コロンとか、アフターシェーブとか、洗剤もしくは乾燥機に入れるドライヤーシートとか柔軟剤の匂いとか。

 

こういう不自然な香料って年々匂いがキツくなってるように感じます。

 

 

日本ではあまり感じたことがありませんが、日本も北米の変な商業主義が伝染するのは早いので、最近はどうなんでしょう。

この数十年は日本の通勤時間帯に電車に乗ったことがありませんけれど、それでもたまにモントリオールの通勤ラッシュ程度の人混みに乗り合わせたりしたことはあります。

でも日本では香料の匂いでむせた記憶はありません。

 

 

そんなメトロですが、あともう一つ困ったことがあります。

 

そ、れ、は、電車に乗り込んで、いつものように本を取り出したりスマフォを眺めたりしながら油断していると、電車がいつまで経っても動き出さず、あれ?と気がつく頃には周囲の人々が一人、また一人とホームに降りて階段を登って地上に移動し始め、「ああ、また?」と思う頃に、ピンポンぱ〜ん(ちょっと違いますが)とアナウンスが入ります。

 

メトロが発車しないんですよ。

サービス停止もしくは遅延。

 

このアナウンスがまたものすごく聞き取りにくい。

最初は自分のフランス語の聞き取りのせいかと思いましたが、そうじゃなくてスピーカーシステムがバシバシっと雑音入りで誰が聞いても聞き取りにくいんです。

しかも聞き取れてもあんまり意味のあることは言ってない。

 

メトロがすぐに発車しないとなると、知りたいのは「いつまで止まったまんまなの?」「再開するまで乗ってるべき?それともバスに乗り換えて行き先へ急ぐべき?」「毎年値上げするくせに、しょっちゅうこんなんじゃやってられないわ」

最後のは知りたいことじゃなくて苦情ですが。

 

でもモントリオールのメトロ内にはメトロの社員はいません。

 

日本だったらホームにも改札にも質問しやすそうな職員が一人くらいいて尋ねることができますが、モントリオールのメトロには基本的に職員はいません。

改札にはいますけど、改札の人たちの仕事は決まっていて、それ以外のことを質問すると、小声で何か言ってて「え?聞こえませんでした、なんて?」と聞くと「ターミナルの駅へ行ってカスタマーサービスにきけ」とか、そういうようなことを言うばっかりですから、メトロ停止なんていう状況の時に彼らに聞きに行くのも時間の無駄です。

 

メトロが停まってしまった時、電車内の人たちの行動は二手に分かれます。

 

  1. さっさと降りて地上に出てバスで行き先を急ぐ人々。
  2. うーむ、どうしようかな、もうちょっと乗ってたら再開して動き出すだろうから待ってようかな、今バス停に行ってもきっと混んでるし、と動かない人たち。

性格次第なのか、行き先や目的次第なのか、本人にしかわからない(本人にもどっちが良いかわからないことは多い。)

 

気の毒なのは、モントリオールのメトロに不慣れな人たちです。

 

何しろ周囲で大勢の人たちがため息をついてさっさと降りていくから「何かあった?」とは察知できるものの、同じくらい大勢がそのまま動かないのだから「どういうこと?自分はどうすれば?」と混乱してしまいます。

 

特に気の毒なのはフランス語が苦手もしくは話せない人たち。

聞き取りにくいとはいえアナウンスらしき雑音はして、その直後に人が動き始めるのだから「自分は何を聞き逃した??」と思うのは当然。

 

「今なんて言ったんですか?どうすればいいんですか?」

なんて困惑顔で聞かれますから「今なんて言ったかなんてどうでもいいんですよ、どうせ意味のあることなんて言ってませんから。」と言いたいですが、それでは安心できないでしょうから「メトロがすぐに発車しないって言ったんです。いつ再開するのかはわからないから、急いでる人は地上に出てバス停に行きますが、もうちょっと待ってたら再開するかもしれないから乗ったままの人もいるんですよ。」というと「なんて文明の遅れた野蛮な街なんだろう」と思っているに違いない、抑えた驚きと軽蔑の眼差しを感じる気がしますが、不安感は拭ってあげられると思います。

 

どのバスが良いのかを改札の職員に質問しないとわからない、という状況の場合は困りますが、こういう場面で周囲の人に質問している人のことは、聞かれた人以外の人たちも結構聞き耳を立てているので、質問された人が仮にバスの路線に詳しくなくて答えられない場合でも「私知ってますよ、そこなら16番のバスで行けますよ」などと教えてくれる人が登場したり「私もそっちへ行くから一緒に行きましょう」なんてこともあり得ます。

 

なんというか、みんなの足を混乱させる憎っくきSTM(メトロの会社名)の被害に遭ってる人を助けてあげたいという市民の連帯感が出てきます。

 

通勤や通学で使ってる乗客の多くは慣れっこですから、メトロがストップしたせいで人生の危機に陥るようなことはなく、昔なら「到着したらこのことを言えば理解してもらえる」し、最近なら携帯を取り出して「ハロー、私です、そうなのメトロが、はいそうです、じゃ」で済みます。

 

今まで暮らしてきて、メトロ遅刻で職場で叱られるとか、余裕を持って家を出なさいと言われるとか、そういう経験がありません。

 

  

物事は予定通りに進まないことなんてしょっちゅうだからか、きっちりしっかりバッチリでなければならないことはもちろん沢山有りますが、そのバッチリ加減が日本よりも緩めなのか、よくわかりませんけれども、あんまりキチキチしていないのです。

 

でもできればやっぱりいきなり不可抗力で足止めされるのは避けたいですから、夏は自転車、冬は徒歩で移動し続ける所存でございます。

月極の乗り放題パス(バスパスと呼びます)の金額も毎年値上がりして、最近は90ドル近くまで上がってるようです。

 

高額支払ってるのに酷い目に遭うサービス、この界隈ではメトロとハイドロケベック(公共の電力サービス)です。

 

 

その話は別の機会に。


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