ヴィーガン朝食とヴィーガナイズ・フォーミー
ホテルの朝食込みディールはヴィーガンにとっては大概嬉しくありません。
トーストにバターとジャム、卵、ベーコンかソーセージ、というありがちな組み合わせから動物性のものを引くと、トースト、ジャムだけになり、ジャムは大概が大量生産の糖分と着色料たっぷりの、口に入れなくて済むなら済ませておきたいものですから、結局トーストだけになります。
トーストのパンだってコストを下げて安く白い大量生産物を使ってる所が一般的ですから、それだけで食べて美味しいもんでもない。
スリランカもネパールも、アジアンな朝食もありますよ、という所だと、若干希望はあるのですが、スリランカはスリランカ式のパンケーキ、ココナッツロティという、小麦粉とココナッツを練った硬くて分厚いパンケーキのようなものが出てきたりして、これもまた微妙な品。
ネパールのバクタプールのホテルでは、何が食べたい?言ってくれたらそれを作りますよ、と言われ、じゃあ、ダールみたいなものとか、チックピーを調理したものとかとチャパティ、みたいな組み合わせで、、と現地のレパートリーと食習慣に歩み寄った提案をしてみたら、宿泊期間ずーっとそれが連日温め直されて出てきたので、最終日のチックピーは乾燥し始めたか煮詰まりすぎたか、かなり味が濃くて噛みごたえのある一品になってました。
逆に自分はなんでも食べるよー気にしないでー、と楽な客アピールした夫には、トースターがないのか、オーブンで低温で焼いたらしき、焦げ目はないけど乾燥してラスクみたいになったものが出てきて、頑張って食べようとしたものの、これはやっぱり食べられない、と焼き直しを依頼。
カチカチで食べられないから、これはトーストじゃないから、という夫を前に、何がいけないのか明らかに理解してない雰囲気の素人のお兄さん。
どんな器具で焼いたのか聞くと、オーブンでと答えたので、オーブンだと遠火の弱火になっちゃうから乾燥させるけどカリッと美味しく焼けないと思うよ、とだけ言うと、次に持ってきたのはほぼ焼き目も何もなく、ちょっと温めただけの白いスライスでした。
きっと火を入れすぎないように注意した結果だったのでは。
その翌日から夫のトーストは、連日まるっきり焼き色のない白いやわやわのスライスブレッド。
朝食って割とどの文化圏も炭水化物ばっかりだったりして、あまり栄養を考慮してない。
私はプロテインシェイクを連日飲むと言う今までにないルーティーンを身につけましたが、プロテインシェイクって面倒くさいし、ダマになるし、美味しいものじゃないし、、、。
ネパールの不思議なホスピタリティ産業
ネパールのレストランとかカフェで、ものすごく待たされたり、違うものが出てきたりと言うのは日常茶飯事で、間違っちゃったら、ああ、こちらの言ってた事が理解できてなかったのかな、と。
待たされる場合は忙しいのかと言えばそうでは無く、どちらかというと手際が悪いというか、注文が入ってから野菜を洗ってるのか?と思うほど。
ヴィーガンカフェで夫がアイスクリーム、私がチョコレートケーキを頼んだ時も、ただすくって器に入れるだけのものと、切り分けて乗せるだけのものを出すのに何十分?とおもってみていると、ウェイターは3人いて、みんな暇そうに突っ立ってたり携帯見てたりするんですよね。(テーブルは私たちが入った時点では一つだけ4人くらいのお客さんがいただけ)
あれー、ひょっとしてそんな注文すらキッチンで調理人がやってるのか?料理の注文を捌いた後に?
とちょっと呆れると言うか不思議な光景でした。
美味しいものを出してくれる店はもちろんいくつもありましたけど、手際という点ではどこも素人っぽくて、悪気は勿論ないのは明らかなんだけど、お金取ってその仕事?みたいな。
あと、おんなじものが沢山。
土産物屋も、何でも屋さんも、小さな村の一本だけのメインストリートに、おんなじ品揃えの日常雑貨屋さんが五軒おきくらいに連なってます。
この村のサイズを考慮すると、ここにトイレットペーパーを売る店が四軒もあっても、滅多に売れないんじゃあ、、、?って。
ガイド氏曰く、ネパールの人々は、誰かが成功するとみんな同じことをし始めるのだとか。
皆が、と言うのは大袈裟にしても、確かに全く同じ品揃えの土産屋やレストランやティーハウスが軒を連ねてるのはあちこちで見ましたっけ。
カトマンズのタメル地区なんて、ヒッピー系衣料品店の隣は曼荼羅屋さん、その隣には木彫りや金属の置物屋、その隣にはカシミヤやヤックの毛の織物屋さん、貴金属屋さん、数珠屋さん、であとは金属のボウル(仏壇に置いてあるようなあの金属ボウルの大小が売られてる)、、そんなバリエーションが繰り返し繰り返し延々と並んでて、たとえばこのヒッピー系衣料品店に並んでるズボンやドレスは5軒先にあるヒッピー系のお店やその角を曲がった所でも売られてて。
いかにも手作りだか手染めだか、なんと無く大量生産で大工場から来たものじゃなさそうに見えそうですが、実はものすごく大量に生産されてるはず、だってこのヒッピー系ズボン、スリランカでもみかけたし、きっとインドやバングラデシュにもあるはずだし。
売れる店では売れてるんでしょうけどもお店によっては日に焼けて色が褪せちゃってたり、埃をかぶってて、見るからに売れ残りが並んでる店も結構あったので、こちらが心配になるほどでした。
北米でそう言う店を見ると「きっとマネー・ロンダリングなんだよ」なんて冗談を言うのですが、ネパールでそれはあり得なさすぎだし。
ネパールでもスリランカでも、人は優しいし人懐っこいと言うか、ちょこっと世間話したりする分には楽しいんですけどね。
町や社会の構造は謎だらけ。
そんな話を、30年前にスリランカ訪問していた友人に呟いたら、所謂発展途上国とか第三世界と言われる国々や世界の問題をよりよく理解する助けになるかもよ、と本を勧められました。
それがこれ、Factfulness. 6年くらい前に出版されたものです。
帰国したら読もうかな、と思いつつ、検索したら最初の数ページをネットで読めるサイトを見つけ、ちょっと読み始めたら面白くて、滞在していたポカラという街の書店で在庫はあるかなと調べたらあったんです。
ポカラの書店で7ドルくらいだったんで、カナダでの価格36.5ドルとの差に、ついつい荷物を増やしてしまいました。
全てがこの本を読む事で納得はいかないけれど、興味深い本です。
兄が日本語訳で読んだと言うので、すでに随分前に訳も出ていたのかもしれません。