食いしん坊、北米でヴィーガンになる

北米で植物性食品を食べて強く生きる記録

シェアー・エコノミーは本当にコストや収益をシェアしているのか

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夫作・日曜の朝食は豆腐スクランブル、じゃがいも、トースト。

覚書:豆腐スクランブルは在庫がこれしかなくて中華豆腐(firmじゃなくてソフト)ですが、夫はこっちの方が良いらしい。ふむ。

 
モントリオールでもAirbnbに迷惑する住民たち

Airbnbには10年くらいお世話になってます。

もっぱら旅先で滞在するゲストとして。

自分の家を他人に提供する気分にはなかなかなれないものですから。

 

でもここ最近利用した宿泊先の中には、自宅(の一部)を旅人に提供するというよりも、実は商売で普通のB&Bを経営していて、Airbnbの集客力も捨てがたいのでここにも登録してるのよ、というようなところや自宅とは関係なく所有する家やアパートを短期滞在者向けに貸し出しているオーナーとか、そういうパターンに遭遇することが増えている気がします。

 

日本で滞在したところなんかは、全く一切お互いに顔を合わせず、何かあったらどうなるんだろう、とちょっと不可解な気持ちにも。

 

でも大概は貸し手と直接会ってフレンドリーな雰囲気で鍵のやり取りがあり、「近所の人たちと良い関係を保ちたいですから、夜遅く帰宅する場合など、くれぐれも騒音などに気をつけて」というような意味合いのことをさりげなく言われます。

 

お互いに商売じゃない個人同士ですし、貸し手のお住まいは普通の住宅地だし。

こちらもホストからネガティブなレビューを書かれたくないですし、無意味に騒ぐ気もありませんから、大騒ぎしたり叫んだりなんてことはもちろん注意されるまでもなく、やりません。

 

でも何百人もの人たちに貸せば、中にはそういう迷惑な行動をする人たちも来るんでしょうね。

 

 モントリオールの英語新聞、Montreal Gazetteに載っていた関連記事です。 

montrealgazette.com

 

モントリオールでも、アパートに入居したい住民の数と市内に空室を提供しているアパートの数との需要と供給のバランスが崩れ、Airbnbで短期滞在者を優先するオーナーや、個人で借りておいてAirbnbに利用しているテナントが問題になっています。

 

条例やコンドミニアムの規制を破ってAirbnbで自分のユニットを貸していたテナントがついに罰金の刑に処せられましたよ。

montrealgazette.com

 

ホテル業界、タクシー業界とシェアエコノミー

ノヴァスコシアの美しい町出身の友人が以前、出身地のホテル業界がAirbnbをはじめとするシェアエコノミー系の宿泊サービスの普及のせいで被害を被っている、自治体に登録して税金を収め、地元の観光産業を盛り上げるために努力してきた伝統的なサービスが、素人が自宅の部屋を解放したり買ったばかりの住宅のローンの返済の足しにしようというつもりで改築して貸し出したりしているような、そんな人々のために倒産するところも出てきている、とFacebookで訴えていました。

 

個人の利益だけのために地元の人々の雇用機会を奪うことにつながるような行為をしている人たちのスペースに、ホテルより安いという理由だけのために泊まるのはやめてほしい、というのが彼の主張。

 

宿を決める際、値段はその宿の立地と共にかなり重視します。何しろ予算に限りがありますし、できれば安い値段で条件の良い所に泊まりたいのは人の情けですよね。

 

でもまあ、素晴らしい自然を守りつつ魅力的な町を維持しつつビジターを歓迎してくれるコミュニティでホテル業界が軒並み倒産なんてことになってしまったら大変ですから、そういう視点も持ちつつ宿泊先を選ぶべきかなあ、などと思ったものでした。

 

シェアエコノミーでもう一つポピュラーなのが、一般人が自分の車で空き時間を提供してタクシーもどきのサービスをする、Uberですね。

今やUberは世界中に広まり、Uberのドライバーで生計を立ててる、という人たちもいるくらいです。

Uber人気で仕事が激減して経営が成り立たない、とタクシードライバーたちが抗議行動を起こした街もいくつかあります。

 

「自分はタクシーに乗らなくても空港から自宅に戻れるようになってとても嬉しい。Uberに仕事を取られると怒る前に、タクシーの運転手たちは自分たちが提供している劣悪なサービスを見直すべきだ」と言っている人もいました。

 

私はタクシーはそれこそ空港への往復くらいしか使わないのですが、確かに芳香剤の匂いがきついタクシーとか、愛想が悪くて運転の荒いタクシーとか、ありますね。

でもUberのようなサービスはスマホを持っていないお年寄りやスマホを所有できない経済状態の人たちは使うことができませんし、Airbnbでホテル業界が困るのとUberでタクシー業界が困るのは基本的に同じ構図です。

 

お客の側は、便利でより心地よいサービスがより安価に得られるなら、そちらへ流れてしまう、それも同じこと。

 

 
シェアエコノミーは何をシェアしてるのか

発足当初はAirbnbもUberも、「たまたま自分が所有しているアパートや車を、空いてる時にほしい人に提供して小遣い稼ぎをできる」ことでサービスが安価に提供され、ネットや携帯でそのサービスがいつどこで可能なのかを即座に見つけて顧客がつく、というような流れで、素人同士が素人なりの助け合いをするエコノミー、という発想でした。

 

でもこれが人気を博し、世界中に広がるにつれて、素人なんだけど商魂の逞しい人々や商売の人々にもうまく利用されるようになり、今や元々の発想とは若干違った展開になってますよね。

 

だいたい、自分が持ってる家を貸すにしても自分の空き時間と車を使うにしても、商売で他人を巻き込む場合に伴う危険や細々とした目に見えない経費などをカバーして、それで常にそのサービスを提供している素人のホストやドライバーたちが本当に収益を得ているのだろうかと言えば、問題がない間は見えませんけれど、何かあった場合にやっぱり危険は素人もち、安全な所にいるAirbnbやUberの本社は危険を回避して儲けだけさらっていく、そういう構図になっているのではないかと思うのです。

 

こんな記事もありました。

こういう商売って結局鼠講と同じで最初に飛び込んで盛り上がった時期に儲けた者勝ち?

www.vox.com

 

自分が今まで泊まったAirbnbはどこも基本的にはポジティブで、便利にフレンドリーに事前にやりとりして決められてラッキーでした。

とは言えAirbnbの構造を悪用した詐欺もありますし、他人の迷惑を顧みず大騒ぎするお客もあり得ますし、だいたい宿泊してるところが夜中に火事になったとか、洪水になったとか、そういう場合には保険はどうなるのか、とか、実際はビジネスで基準に従って営業しているところならカバーされる細かい万が一の部分がAirbnbでは曖昧でよくわかりません。

 

お客として利用する分には一度の体験で「損した」「嫌な気持ちになった」程度ですみますが、自分の住宅や車、自分の労働を提供している方が被害を受ける場合は問題は長期的で深刻になりかねません。

 

そこらへんのコストを素人の個人持ちにしている母体のAirbnbやらUber は、ずるいと言えます。

 

 

とは言え次に旅行する際にAirbnbを全く考えないとも言い切れず。


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