食いしん坊、北米でヴィーガンになる

北米で植物性食品を食べて強く生きる記録

黄金の液体・メープルシロップ

 

 

 

 

11月25日付のNPRの記事(ラジオ?音声も)見出しは「カナダ、メープルシロップの大規模な不作に対応するために戦略的備蓄を活用」

 

記事の冒頭では米国のバイデン大統領による石油不足への対応としての石油の戦略的備蓄の活用と準えてケベックのメープルシロップ不作の話を紹介しています。

 

www.npr.org

 

メープルシロップの世界総生産量の約70%はケベック産で、その大部分は米国に販売されています。

今年は需要が21%増えたとかで、それに生産量がおっつかないとか。

 

The Canadian group Quebec Maple Syrup Producers recently announced it was releasing about 50 million pounds of its strategic maple syrup reserves — about half of the total stockpile.

 

そこで、不作の年に備えて戦略的に備えてあった備蓄の約半量である50ミリオン・ポンドを放出することで需要に間に合わせる方針なのですね。

 

1ポンドは大体454グラムですので50ポンドは約27キロ、50ミリオン・ポンドは大体27ミリオン・キログラムということですね。

ピンとこないですけど、大量ってことですね。

 

 

メープルシロップ生産の流れ

メープルシロップは砂糖楓の樹液を木の幹から抽出して収穫し、それを煮詰めて作ります。

樹液ならなんでも良いんでしょというわけではなくて、上に上がっていく樹液と下に下がっていく樹液のどちらかだけを収穫するんだ、と10年近く前にバーで世間話したメープル農家の人に聞いたことがありますが、ものすごい詳細を説明されてかなり大雑把に把握しただけなので、勘違いしてるかも。

しかもビール飲みながら聞いてましたからね。

 

当時、それまでは一缶540mlが5ドルちょっとで買えていたのに、急に値段が跳ね上がってどういうこっちゃ、と思っていたので、そういう質問をした私に「いかにシロップ農家が頑張っているのか」を説明してくれたんでした。

考えてみると、その頃から現在までの値段の推移もあんまり大したことがありませんから、今年不作なんだったらまた値上がりするのかもしれませんね。

 

あんまりしょっちゅう買わないので、久しぶりに棚の前に行って値段を見て驚く、というパターンでしょう。

 

NPRの記事では今年の収穫はかなり少なかったようで、そのような時のために戦略的備蓄を用意してあったそうです。

が、その備蓄って過去の樹液ってことでしょうか?

過去に生産してあった煮詰めたシロップってことでしょうか?

 

シロップの生産は毎年春先の3月頭くらいですから、日本の新米みたいなノリで「今年の収穫を煮詰めたシロップ」が春先に出回り、その前に「去年の売れ残り」がちょっと値段抑えめで出てきたりしていました。

最近はこういうのも「戦略的」な販売作戦が展開されているのか、あんまり消費者がうまいこと安い去年のを買い込んでお得な思いをできる機会もないような気がしますけど。

 

でもたまに安売りしてますので、そういう時に去年のであろうとなんであろうと買うようにしております。

 

あと大きめのチェーン店は値段が高めな傾向にあるので小さめの店を狙ってみたりします。

ケベック内でよく見かける大手スーパーのチェーンには、Provigo, Metro, IGA, Super C, Maxi などがありますが、最初の3軒に関しては、立地にも若干影響されますが、「よその店より割高じゃ?なんでここでこれを買う人がいるの?」と思うような値段が結構あります。

 

が、別に高級スーパーってわけじゃない(IGAと Metroはメガストアとか言って店舗の広さが増えて、なんだか高級スーパー路線を目指してるような気もしますが。)し、北米ジェネリックスーパーですので、私はあまり出入りしませんが、これらチェーン店で見かけるメープルシロップは大体よそよりちょっと高めな印象です。

逆にSuper CやMaxi は安さを売りにしているチェーンなのですが、こちらも、広告に載せてる今週の目玉商品みたいなもの以外はそれほど安いとは限らず、しかも大きなウェアハウスで大量に在庫してある野菜類が安売りに出てきても、買ってすぐに傷み始めたりすることもあるので私はやはりあまり行きません。

ああいう大きな店は加工食品を大量に買う人向けなのかな、という気もしますが、缶入りのメープルシロップの値段はどうなんでしょうね、今度機会があったら探してみましょうか。

 

 

メープルシロップはお好き?

カナダに旅行でいらっしゃった方がお土産にメープルシロップを買って帰る、というのはよくあることだと思うのですが、お土産屋さんや空港などで小さな素敵なボトル入りのを買うと量が少ないのに偉そうな値段がついていますので、私はいつも缶入りを買っていきます。

 

でも案外これって迷惑なのかもしれませんね。

 

我が母なんか夏に帰省した折に見たら、150ml入るかどうか、くらいの小さな陶器の瓶に入れて冷蔵庫に入れてあって、母作のホットケーキの時に私が普段通りの感覚で母にかけてあげたら「多すぎる!そんなドバーッとかけないで!」というんですよ。

「今回もたくさん買ってきたんだからそんなケチらなくても」と言ったら、ケチってるのではなくて、そんなにダボダボかけなくても十分甘みが足りてるのよ、失礼な、ということでした。

 

あんなにちょこっとしか使わないなら540ml入りの缶詰は持て余しそうですね。

そういえば「まだ前のがあるからもう持ってこないで」と友人に断られたこともありました。

 

日本は大口のお客さんじゃないのかもしれませんね。

 

NPRの記事にはさらに、ケベックでメープルシロップの不作がニュースになったのは初めてではなくて、2012年には何ヶ月かにわたり貯蔵庫から三千トンものシロップが盗まれたこともあるとか。

被害総額は約1,900万カナダドルと推定されているそうですよ。

This is not the first time Quebec's maple syrup reserve has made headlines. In 2012, more than 3,000 tons of maple syrup were stolen from the stockpile over the course of months. The value of the heist was estimated at nearly $19 million Canadian dollars.

一度にではないとはいえ、どうやって三千トンもの液体を盗めるんでしょう。

犯人はプロですよね。

もしくは同業者か。

 

 

パンデミックで2年ほど遠ざかっていますが、モントリオール市内でメープルシロップを買うときは、私は大概Marché Jean-Talonにあるメープルシロップ屋さん(市場内に何軒かあるので見比べます)もしくは、メトロ Côte-des-Neigesの斜向かいあたりにある小さな市場で買います。

たまにAtwater Marketで買ったりもしますが、わざわざ探しにいくというよりは、別の用で通りすがりにたまたまお得なのを見つけて買うこともある、という感じです。

Atwaterは比較的値段が高めで、近年は特にジェントリフィケーション後に近隣に入ってきたNoubeaux richesの人々を想定した市場という印象があります。

 

毎年3月ごろに田舎のメープル農家に建てられた小屋でcabane à sucre (sugar shack)と言われる、メープルシロップを大量に口に入れる口実のご馳走の宴が繰り広げられます。

田舎料理にシロップをドバドバ(私が母のパンケーキにかけた比ではなくて本当にドバドバ)かけて食べるので、胸焼けがするとかもういい、とか、多くの人たちが「一度行けば十分」という体験ですが、毎年行くのを楽しみにしてる人もいるし、この時期にケベック訪問された方はぜひお試しあれ。

 

ヴィーガン対応のcabane à sucreなんてあり得ないので私は行きませんが。


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