土曜日は朝買い出しに行き、それが済んだ後はせっかくだからと出先でちょっと散歩してランチしてから帰宅。
壁と床を入れる前のデモリションは9割以上終わってますが、資材の配達を受け入れる前に最後の埃っぽい作業を済ませて埃っぽいデブリをショップヴァック(shop vac)という工事現場的掃除機で吸い取ってしまいたいのですが、なんだかもう午後の半分が過ぎてしまってから帰宅した後、これから作業するのはかったるい。
何しろ埃がすごいですので、埃をかぶっても良いぼろ着に着替え、マスクとゴーグルを身につけて、それからの作業です。
作業着のままではトイレとかリビングルームに行くのも憚られます(埃を撒き散らすので)から、一旦作業に入ったらやれるだけやって、終わったらすぐシャワーを浴びて埃っぽくないものに着替えるようにしていますので、ほんの二、三時間のためにそれをやるのは時間がもったいない。
という次第で土曜は作業はお休みして夕飯をちゃんと作りました。
冷凍庫にまだ秋に買い込んだ時に刻んであったリークがあったので、それを炒めてジャガイモをむいてコロコロに切ったのを入れ、タイムとナツメグ、塩胡椒をして水を入れて火を通し、普段はイマージョンブレンダーでポタージュにするんですが洗い物を増やしたくないのでへらでジャガイモを潰すのにとどめて仕上げた、ジャガイモゴロゴロリークポテトスープを作りました。
仕上げに豆乳とか入れたいですが、豆乳もありませんので、本当に素朴に芋とリークの味が全面に出たスープです。
バゲットをちぎってたべ、オリーブを混ぜ込んだフーガスというパンもちぎってたべ、美味しい夕飯になりました。
Montreal, City of women/Montréal, ville de femmes
リノベーションの資材を買いに出かけた折、久々に乗ったメトロのポスターでこんなの見かけました。
モントリオール市内を走るメトロの地図の、駅名が全て地元社会に貢献した女性の名前になっています。
ほら、地上のストリート名なんかは過去の政治家の名前など、男の人の名前が多いですが、実際の女性の名前がついてる通りとか建物って案外少ない(セント・キャサリンとか聖人の名前はありますけど、実在した人の名前は女性のものは少ないです。)
パッとみて私が認知できた名前はSt-Henri駅のGabrielle Roy(ガブリエル・ロワ)と、あと苗字からきっとケベックの有名な政治家の妻だったんだろうなと推測できたAlice Parizeau(でも知っていたとはいえませんけど)くらいです。
この地図の中の名前を見て「ああ、あの人ね、これはあの人ね」とスラスラどの人がどんな人だったかを言える人は少数派だと思いますが、そんなことはよいのです。
フェミニズムというと、ちょっと身構える人もいいるでしょうけれど、性別、国籍、人種、宗教、政治や身体的な条件などを理由に不当に扱われたり権利を保障されなかったりということは一切あるべきではなくて、とはいえ特権のある立場にいるとそうでない人の権利について無意識のうちに蔑ろにしてしまったりしかねないのが人間のサガだとすると、それぞれの立場の人たちがやはり「私たちも存在しているのです」と声を出すことは重要です。
自分たちの権利を主張する、というと日本では我儘な人、という印象になりがちかもしれませんが、社会の中に不公平が存在すると、不当に扱われているグループの人々だけではなく社会そのものも健全ではないので、社会全体をより良く、すべての構成員がその社会に生きやすくするためにも問題をそのままにしない方が良いです。
女性といえば男女比率の半分ですけれど、その女性の中にも人種、障害、言語、宗教などとその中でのコンパートメントがあったりするので、この地図の中にある名前をクリックすると、ああこの人は先住民のコミュニティのために頑張った人、この人は社会の中で経済的な弱者の階層にいる人たちの権利のために声を上げた人、というのがわかります。
ローザ・パークスとか超有名人のことなら日本にいても聞いたことがある、その背景を読んだことがあるよ、という人は多いと思いますが、世界中には今も昔も無名のヒーローは多く存在するので、この地図の名前を一つずつクリックして彼女たちのことを知ろうと思います。
この試みはニューヨーク市の「City of Women 」プロジェクト(2016年)にインスパイアされて実現したものらしいです。
ニューヨークの地下鉄の駅名だとかなり大勢ですね。
てことは、東京なんかでやったらものすごい人数になりますよ。
誰かやらないかな、東京バージョン(大阪でも名古屋でも広島でも。)
ガブリエル・ロワの小説
セント・ヘンリという地域は運河沿いの、労働者が住む貧民街でした。
ここ20年来ジェントリフィケーションが進んで今では家賃の安い賃貸の物件とかもかなり減ってるようですが、2000年代初頭、私と夫も4&ハーフ(台所とリビングと2ベッドルームにトイレ)で425ドルという当時としてもかなり安い家賃であの辺に住んでいました。
その前はプラトーという地域に住んでいたんですが、先にジェントリファイされていたプラトーは当時でも家賃がぐんぐん上がって、同じ間取りだと倍以上はする感じで。
プラトー地区もその昔は貧しい人たちが住む地域だったんですけど、今ではかなり小綺麗になってて家賃もバカたかくなっちゃってるようです。
とはいえロンドン、パリ、ニューヨークなどに比べるとそれほどでもないから外国から来た人たちが空いてる物件を攫っていくんだよ、なんて言われます。
話をセント・ヘンリに戻します。
ガブリエル・ロワはアルバータ州のフランコフォンのコミュニティ出身なんですが、ケベック州に来てモントリオールのセント・ヘンリ(サン・アンリ)界隈で生きる労働者階級の若者たちの様子を描いた小説、『かりそめの幸福』(仏: "Bonheur d'occasion", 英: "The Tin Flute")で知られています。
働いても生活が楽にならない状況の中で必死に生きる若者たちの様子が描かれていて、不平等な社会構造の問題点について多くの人の心に訴える力強い作品だと思います。
この作品が描いていたケベックのフランス語系住民が置かれていた貧困の構造はその後1960年代からケベック社会をカソリック教会の政治的な影響力から解放する「静かな革命」やその後の分離独立運動などで大きく変化しましたが、ケベックのフランス語系住民の背景を理解する一端として、この小説はケベック以外でも広く読まれた作品です。
三月8日は女性の日でしたねえ。もう4月ですが。